グリエール

グリエール 交響曲第3番「イリヤ・ムーロメツ」(ダウンズ)

CD

 ■ R・グリエール作曲/交響曲第3番「イリヤ・ムーロメツ」

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 ▲ E・ダウンズ指揮/BBCフィルハーモニック

 1991年録音。伝説上の勇士、イリア・ムーロメツの物語に基づく交響曲。

 4楽章形式で演奏時間は80分弱。オケは4管編成(ホルンは8本)。

 これまでの2曲の交響曲やバレエ音楽などと比べても、桁違いにスケールの大きい、聴き応えのある大交響曲。

 カットして録音される場合もあるけれど(オーマンディ盤など)、このダウンズ盤はカット無しの『全曲版』。

 明るめのキレイなサウンドでまとめられていて、この曲を十分に楽しめはするけれども、フィナーレのクライマックスでの金管楽器による大コラールなど、やはり、一昔前のロシア(ソビエト)のパワフルな音で聴いてみたい曲でもある。

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グリエール バレエ音楽「赤いけしの花」

CD

 ■ R・グリエール作曲/バレエ音楽「赤いけしの花」から

 中では「ロシア(ソビエト)水兵の踊り」が断トツに有名で、単独で演奏(録音)されるケースも多いです。

 【組曲盤】

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 ▲ E・ダウンズ指揮/BBCフィルハーモニック

 1992年録音。

 色彩感のある西欧風な演奏。ソフトな感触。この曲を楽しむには十分。

 組曲版は以下の7曲で、演奏時間は約25分。

  1.苦力(クーリー)の勝利の踊り
  2.タオ・ホアの情景と黄金の指の踊り
   a 情景
   b 踊り
  3.中国人女性の踊り
  4.フェニックス(不死鳥)
  5.ワルツ
  6.ロシア水兵の踊り

 中国を舞台にしたバレエで、中国娘タン・ホアとソビエト船長の恋愛モノ。音楽は、いかにも社会主義的。オリエンタルな中国風や、ロマンチックなアダージオ(こちらはグラズノフ風)。

 最後の「ロシア水兵…」はやっぱり面白い。ロシアのメロディが繰り返され、エンディングへ向けてテンポアップ、民族舞曲風に大いに盛り上がる。この曲だけがよく演奏されるというのも理解できる。

 華やかで力強い1曲目も、変化に富んだ曲想が楽しめる(これも中華風)。

 ただ、さすがに全曲盤までは手が...

 カップリングは「交響曲第1番」。


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 ▲ A・フィストラーリ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

 1956年録音。さすが、バレエ音楽を得意としているだけあって、とてもいい。

 明るく、オリエンタルな雰囲気。曲想のコントラスト。

 最後の「ロシア水兵…」も心地良いテンポ感があり、単体での録音も含めて、これが一番かも。

 「コーカサスの風景」とカップリングの廉価盤。両曲とも他に録音が少なく、演奏内容も考えると、ロシア音楽ファンにはお買い得の一枚。


 【バレエ抜粋盤】

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 ユーリ・ファイエル(Yuri Fayer)指揮/ボリショイ劇場管弦楽団

 1963年録音。

 収録曲は下記の通りで、組曲版とは若干異なっている(LPで出ていたバレエ抜粋盤からさらに抜粋したもの)。

  1.クーリー(苦力)の勝利の踊り
  2.タオ・ホアの入場と扇の踊り
  3.情景と黄金の指の踊り
  4.ソビエト水兵の踊り
  5.フェニックス~アレグロとロマンス
  6.全員の踊りとフィナーレ「赤い船」

 指揮のファイエルはこのバレエの初演者で、調べてみると、同じグリエール作曲の「青銅の騎士」や、プロコフィエフ作曲の「ロメオとジュリエット」、「シンデレラ」、「石の花」の初演も振っているという、ソビエトバレエ界の重鎮とも言えるような方。

 そういう意味でも貴重な録音だけれど、聴きものは何と言っても「3」の前半部(情景)。

 ここでの朗々たるトランペットは、今となっては聴くことができない昔懐かしいロシアン・サウンド全開。ここを聴くだけでも、この録音の価値は十分にある。

 また、フィナーレ(組曲版には無い)は、「いかにも」といった感じの『ソビエト色』が強い音楽。

 カップリングはクニッペル作曲の「コムソモール戦士の詩」で、これも貴重(指揮はドゥダロヴァ女史)。

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グリエール 交響曲第2番(ダウンズ)

CD

 ■ R・グリエール作曲/交響曲第2番

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 ▲ E・ダウンズ指揮/BBCフィルハーモニック

 1991年録音。

 第1番より一回りスケールが大きくなり、ロシア的情緒は薄くなっている。できればバリバリのロシア(ソビエト)のオケで聴いてみたい。

 第1楽章冒頭のヒロイックなホルンのテーマは歴史ドラマのオープニングのようだ。

 第2楽章は4分の2と3拍子が交錯する、グラズノフ的スケルツォ。フィナーレは速い8分の12拍子の舞曲風。

 しかし、何と言っても第3楽章の「主題と変奏」。

 繊細な雰囲気を持った導入からイングリッシュ・ホルンによる主題。その後に、緩急変化に富んだ6つの変奏とコーダが続く。第5変奏はロシア舞曲風。

 コーダではテーマが再現し、ハープのアルペジオと共に高揚し、静かに曲を閉じる。

 グラズノフでもラフマニノフでもチャイコフスキーでもない素晴らしい音楽。この楽章だけを単独で聴いても十分楽しめる。

 カップリングは交響的絵画「サポロージェのコサック」。

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グリエール 交響曲第1番(ダウンズ)

 CD

 ■ R・グリエール作曲/交響曲第1番

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 ▲ E・ダウンズ指揮/BBCフィルハーモニック

 1992年録音。

 作曲者が学生時代に書き始め、25歳の時に完成された最初の交響曲。

 一般的な4楽章形式。第2楽章(Allegro molto vivace)は4分の5拍子が主体。

 西欧的でありつつも、グラズノフのような素朴なロシア情緒があり、『若書き』という感もあるにしても、これが意外に楽しめる。メロディもいい。

 ドラマチックで濃厚な展開は無いけれど、コンパクトにまとまっているので、気楽に楽しめる音楽だ。

 ちなみに、グリエールはウクライナ生まれで、父親はドイツ人、母親はポーランド人(ベルギー系と書かれているものもある)。ロシア人の血は入っていないそうです

 カップリングは「赤いけしの花」組曲。

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グりエール 偉大なる都市への賛歌(エルムレル&ボリショイ劇場管)

CD

 ■ グリエール作曲/偉大な都市への賛歌(バレエ音楽「青銅の騎士」から)

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 ▲ M・エルムレル指揮/ボリショイ劇場管弦楽団

 録音年は不明。

 曲そのものは単純で、一つのメロディが繰り返されるだけ、何のヒネリもない。しかし、「この曲、かくあるべし!」という確信に溢れていて、まさに『自分たちの音楽』なのだ。

 CD初期に購入した "Popular Symphonic Pieces by Soviet Composers" というアルバムに収録されている演奏。

 収録曲はこちら。

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 プロコフィエフ、ハチャトゥリアン、ショスタコーヴィチの(割と)有名な曲の他に、グリエール、フレンニコフ、メリコフ、カラーエフ、シチェドリン、スヴィリードフの珍しい曲が収録されている。

 「アダージオ」はお約束通りに盛り上がり、カラーエフ作曲の「行列」(バレエ「7人の美女」から)での炸裂するトランペット。

 そんな中でシチェドリン作曲の「少女たちの踊りとロシアのカドリーユ」(バレエ「せむしの子馬」から)は小技の効いた、なかなか面白い曲。

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グリエール バレエ組曲「青銅の騎士」(ダウンズ)

CD

 ■ R・グリエール作曲/バレエ組曲「青銅の騎士」

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 ▲ E・ダウンズ指揮/BBCフィルハーモニック

 1994年録音。「組曲」といっても、演奏時間は50分弱。

 聴き所は3曲目の「踊りの場面」。『ロシア風』なメロディもあり、賑やかな音楽が繰り広げられる。

 終曲の「偉大なる都市への賛歌」は、これこそ「社会主義的レアリズム」。レニングラードの市歌にもなったそうだけれども、逆に言えばそれ以上の曲ではないとも思う。

 ダウンズは明るめのサウンドできれいにまとめているけれど、その分、なんだかミュージカルの一場面でも聴いているような気分になることもある。

 こういう曲こそ本場(ロシア・ソビエト)のオケによる演奏で聴いてみたい。特に『アダージオ系』は、「ああ、ここのトランペットは...」などと妄想し、身悶えしてまうのだ。

 やはり、その時代だからこその音楽で、その中にいる人たちが、何の迷いも臆面も無く演奏する...それを聴いてみたい。

 とは言うものの、吹奏楽で演奏するときなどの『参考演奏』としては申し分ないと思う。

 カップリングは「ホルン協奏曲」。

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