ストラヴィンスキー

ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」(アンセルメ&NPO)

CD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「火の鳥」

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 ▲ E・アンセルメ指揮/ニュー・フィルハーモニ管弦楽団

 1968年録音。アンセルメ、最後の録音。

 今では「バレエ全曲版」も普通に演奏されたり録音されたりしているけれど、その昔は「組曲版(1919年版)」が主流だったと思う。

 そんな中、私が最初に聴いた「火の鳥」がこれで、それもあってか、その後に色々な録音を聴いたけれども、やっぱりこれが一番シックリくる。

 チャイコフスキーやR・コルサコフの延長としての「ロシア音楽/バレエ音楽」としての音楽。

 で、そちら側から見てみると、相当に斬新で前衛的な音楽として聴こえてくるし、オケとしても東寺は演奏機会は少なかったであろう、珍しかった『全曲版』を先入観なしに、手垢にまみれていない音楽を聴かせてくれる。

 今であればはるかに上手で、鮮やかに演奏している録音もあるにしても、自分にとってはかけがいのない演奏であることは間違いない。

 「リハーサル風景」のボーナスCD付き(日本では『特典盤』として出ていた)なのも嬉しい。

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ストラヴィンスキー 「火の鳥」組曲(作曲者指揮の映像)

BD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ組曲「火の鳥」

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 ▲ I・ストラヴィンスキー指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

 1965年9月14日、ロンドンでのライブ録画。

 この演奏で使用されている「1945年版」は、よく演奏される1919年版にさらに何曲か加えたもので、演奏時間約30分。

 全曲版の前半の曲が多く、当時の作曲者の(新古典的)好みが出ているのだろうけど、個人的には後半部の方がはるかに面白いと感じているので、「組曲」として聴くなら1919年版で充分かなとも思う。

 閑話休題。

 ストラヴィンスキーは杖をついてステージに現れる。

 冒頭、サッと両手を上げてオーケストラに合図するが、曲が始まるといきなり片手を下げて、右手だけでチョコチョコ指揮を始めるのが、妙におかしい。

 指揮姿はとても独特。(自分の曲なのだが)スコアを譜面台に置いての指揮。

 指を舐め舐めスコアをめくるが、めくる時にそちらに集中してしまうのか、指揮が全く止まってしまうときもあるのだけれども、それでもオケは進んで行く(指揮者の存在は??)...。

 曲が終わるや否やの盛大な拍手と喚声、そしてスタンディング・オベーション。

 何にせよ、あの「春の祭典」の作曲者、ストラヴィンスキー御本人。兎にも角にも盛り上がっています。

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ストラヴィンスキー 春の祭典(ラトルの映像)

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 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「春の祭典」

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 ▲ S・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 2009年、ヴァルトビューネ野外コンサートでのライブ録画。

 観る前に思ったのは、何で野外コンサートで「春の祭典」なのか...聴きに来た人だって、もっと『楽しい』『軽い』曲を期待しているのではなかろうか...??

 前半のプログラムは「くるみ割り人形」からとラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。

 そして、このコンサートの最中、雨が降ってくるのだ。遠くでは雷が光っている。

 やがて、音を立ててザーザーと降る雨の中、傘をさしたり、シートをかぶったり、ざわついている観客。

 その中から「春の祭典」冒頭のファゴットのソロがゆっくりと始まる。それが、何とこの場面にフィットしていることか!

 悪天候の中、屋外で正に『自然』を感じながら聴く「春の祭典」...そのシチュエーション全てがコンサートの演出のようにさえ感じられる。さらには、観客のいる広場がバレエのステージとなったような感さえある。

 雨はもちろん想定外だろうけれども、野外での「春の祭典」というのも実は考えられた選曲だったのかもしれない。この曲は、コンサートホールで演奏される、単なる音(リズム)の遊びではないのだ。

 そしてアンコールで演奏された、チャイコフスキー「くるみ割り人形」からの「アダージオ」(「パ・ド・ドゥ」から)。このロマンチックな音楽でこれまでの緊張感を解き、『自然』から『人間』の世界に引き戻され、いかにも野外コンサートらしい幸せな気分にしてくれる。

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ストラヴィンスキー 火の鳥(オーマンディ)

CD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ組曲「火の鳥」

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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1967年録音のCBS盤。1919年版による演奏。

 (スコアには無い)チャイムの音が印象的な「カスチェイの踊り」。この曲をここまで派手に、豪快に、またカラフルにオーケストラを鳴らした演奏は聴いたことがない。

 ゆったりとしたテンポのオーボエのソロに始まる「王女たちのロンド」のロマンチックな味わいもいい。

 金管のサウンドが素晴らしい「フィナーレ」ではホルンのグリッサンドがはっきりと聴こえてくる。

 スコアの変更もあって、違和感を感じる向きもあるだろうけれど、まさに「フィラデルフィア・サウンド」全開の爽快演奏。

 カップリングはR・コルサコフ作曲の「シェエラザード」。

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ストラヴィンスキー 春の祭典(トーマスの映像)

DVD

 ■ ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「春の祭典」

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 ▲ マイケル・ティルソン・トーマス指揮/サンフランシスコ交響楽団

 「キーピング・スコア(Keeping Score)」シリーズの中の一枚。ドキュメンタリーと演奏風景(「春の祭典」と「火の鳥」の一部)の2本立て。

 で、そのドキュメンタリーがとても面白い。

 リムスキー=コルサコフに始まり、ディアギレフのバレエ・ルッス、「春の祭典」初演時のエピソード。

 そして、演奏風景を交えた音楽の解説。トーマス自身だけではなく、プレイヤーの(奏者としての)話も加わる。

 演奏風景の方はコンサートでのライブ録画。最初にトーマス自身による簡単な紹介付き。

 トーマスは「難曲」ということを全く感じさせず、涼しい顔で鮮やかに振っていて、土臭さや、ドロドロとした原始的エネルギーは感じさせず、音を消して映像だけ観たら、バーンスタインかコープランドの曲でも振っているようなノリでもある。

 曲に過剰にのめり込むことなく、この曲の仕組みや面白さを知った上で、あくまで第3者的に一歩離れたところで眺めているような印象を受ける。

 それゆえ、好みは分かれると思うけれども、見事なパフォーマンスであるのは間違いない。

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ストラヴィンスキー ペトルーシュカ(スヴェトラーノフ)

CD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「ペトルーシュカ」

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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ロシア国立交響楽団

 録音年の記載はないけれど、オケの『音』の感じとかスタイルなどを考えると、かなり新しいもののように思われる。

 原典版(バレエ版)による演奏。とにかく、これまで聴いたことがないような「ペトルーシュカ」。

 遅いテンポと、重いリズム。しかし音楽の流れが止まってしまうことはない。

 まず第1場最後の「ロシアの踊り」でビックリ。場面転換のドラムは「ドコドコ・ドコドコ」やたら騒々しい。そして第4場の「馭者たちの踊り」は最大の聴き物。テンポが遅いだけに普段は目立たない、いろんな音が聴こえてくる。

 もちろんブラスは全開(しかしアクの強さは昔ほどでもない)。また、アンサンブルもしっかりしていて、雑なところがない。

 スヴェトラーノフとしても最良の演奏の一つでは。ファースト・チョイスには適していないかもしれないけど、とにかく強烈な演奏。

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ストラヴィンスキー ペトルーシュカ(オーマンディ)

CD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/「ペトルーシュカ」組曲

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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1964年録音。1911年版(オリジナル版)による演奏。

 ただ、第3場は最初の部分をカットして、いきなり「バレリーナの登場」(小太鼓のリズムに続くコルネットのソロ)の場面から始まる。

 また、エンディングは1947年版に付いている『演奏会用』の強奏で終わるバージョン。

 サウンドの素晴らしさはもちろん(ハープ、チェレスタの響き)、浮ついた感じがなく、堂々と落ち着いた音楽運び。とてもいい(上記のカットは気になるけど...)。

 魔法使いの登場のフルートのソロは実に見事な語り口で、その前口上が聞こえてくるようだ。

 この曲について、公式な『組曲』が存在するのかは知らないれども、『抜粋(カット)版』というようなニュアンスなのか。

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ストラヴィンスキー 春の祭典(マゼール&VPO)

CD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「春の祭典」

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 ▲ L・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1974年録音。

 この頃のマゼールは、何をしでかすか分からない面白さがある。

 第1部「春の輪舞」は最初こそやや速めのテンポで始まるものの、トゥッティになってからはテンポを遅め、これでもかとばかりにリズムを引っ張って大見得を切る。

 第2部「いけにえへの讃美」の1小節前の4分の11拍子は、何の予備情報も無しにこの演奏を聴いたら、間違いなくひっくり返るだろう。

 「長老の行列」でのテナー・チューバの表情の付け方なども、その場の思い付きではないかと思ってしまったりもするけれど、とにかく刺激的なのは間違いない。

 しかし、40歳ちょっとで、ウィーン・フィルを振って、こんな強烈な(アクの強い)「春の祭典」を演奏するなんて、やはり只者ではない。

 ちなみに、カップリングはイスラエル・フィルを振った「ペトルーシュカ」。

 こちらは「春の祭典」よりも、さらに若い1961年(頃)の録音。原典版での演奏。

 ここでもマゼールは冴えていて、「春の祭典」のような奇抜さは無いけれども、熱気に溢れ、特に第1場、第4場は溌剌とした前へ前へと進む音楽が素晴らしい。ピアノはちょっと引っ込んだ感じ(あくまでオケの中の1パート)。

 しかし、これがアンセルメ盤のたった4年後の録音というのも、何やら感慨深いものがある。

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ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」(マルケヴィッチ&日フィルの映像)

DVD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/バレエ音楽「春の祭典」

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 ▲ I・マルケヴィッチ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団

 1968年2月29日、東京文化会館でのライブ録画。

 1968年...作曲者のストラヴィンスキーはまだご存命でした。

 私(の世代)にとって、マルケヴィッチがフィルハーモニア管をによる「春の祭典」のインパクトはあまりに大きく、マルケヴィッチと言えば「春の祭典」、「春の祭典」と言えばマルケヴィッチなのだ。

 デュトワのように鮮やかに変拍子を処理する棒とは真逆。

 第2部の後半など、拍を刻むというよりも円形を描くようであり、ヒヤヒヤすることもあるけれど、オケも見事に付いてきている。

 そして、音楽の緊迫感は半端ではない。

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 譜面台は置かず暗譜で、「分かってるな!?」とばかりにオーケストラに鋭い眼光を向け、淡々と拍を刻み続ける。

 この複雑なスコアを、いかに的確にカッコよく捌くかという事とは無縁。

 冒頭のファゴットのソロ、昨今では「どうぞ、お好きなように」といった感じで奏者に『任せる』指揮者も多いけれども、マルケヴィッチはそんなことはしない。奏者を睨み付けたまま、ゆっくりと長い指揮棒を振り下すのだ(コワッ!!)。

 確かにマルケヴィッチの棒は分かりにくいけれど、単に拍を刻む(オケのアンサンブルを整える)メトロノームではなく、やはり『音楽』なのだ。アンセルメや初演者モントゥーがこの曲をどのように振っていたのか、観れるものなら一度観てみたい。

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 コンサート・マスターはルイ・グレーラーさん

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 ワーグナー・チューバの2人組。

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ストラヴィンスキー ディヴェルティメント(シャイー)

CD

 ■ I・ストラヴィンスキー作曲/ディヴェルティメント

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 ▲ R・シャイー指揮/ロンドン・シンフォニエッタ

 「妖精の口づけ」はアンデルセンの「雪の女王」を題材にした、「チャイコフスキーの音楽にインスピレーションを得た」バレエ音楽。

 そこから抜粋して組曲にまとめたのが、この「ディヴェルティメント」。

  1.シンフォニア
  2.スイス舞曲
  3.スケルツォ
  4.パ・ド・ドゥ

 あくまで、演奏会用の組曲としてまとめられていて、舞台であるスイスの冷ややかな感触はあるものの、ストーリー性は感じられない。

 親しみやすいメロディもあり、またチャイコフスキーのバレエ音楽を思わせる部分もあるけれど(特に最後の「バ・ド・ドゥ」)、いわゆる『新古典主義』の音楽。

 このシャイー盤は、その『新古典』としての趣が強い、明るくメリハリの利いた演奏。

 ちなみに、バレエ版には有名な歌曲「ただ憧れを知るもののみが」のメロディが使われているけれども、組曲版では現れません。

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