プロコフィエフ 交響曲第3番(ムーティ)
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CD
■ S・プロコフィエフ作曲/交響曲第7番
▲ G・ロジェストヴェンスキー指揮/モスクワ放送交響楽団
1967年録音。
「青春」という副題が付けられることもあるけれど、亡くなる1年前に作曲された最後の交響曲で、「回顧モード」の音楽(特に第3楽章)。
この曲、プロコフィエフの音楽であるのは間違いないにしても、『交響曲』としてはあまりに平易に過ぎるだろうか。
「そんな生ぬるい音楽でいいのか?!」という囁きも聞こえて来るようではあるけれども、第3楽章の甘美な誘惑に逆らうことはできない。
第4楽章の最後でテンポを落として第1楽章の再現。その後、鍵盤打楽器とピアノによる印象的なリズム音形が繰り返され、弱音の弦のピチカートで曲を閉じる(A)。
スコアには別のエンディングが "Variant of the closing bars" として書かれていて、こちらはテンポを速めて、この楽章の第一テーマを再現して強奏で終わる(B)。
どちらを採るかというのは指揮者の好みだろうけれども、作曲者自身は「A」を希望していたらしい。
この曲録音は、結局このコンビの演奏に落ち着いてしまう。曲が曲なので所謂『爆演』にはなりようが無いけれども、音楽の流れが良く、全てが自然で、あるべきところに収まっている。
エンディングは静かに終わる「A」を採用。
▲ M・ロストロポーヴィチ指揮/フランス国立放送管弦楽団
1986年録音。個人的に『次点』はこれ。
まずは、オケの明るくて軽目の響きがこの曲にぴったりだし、指揮者の思い入れたっぷりの音楽が上手く中和されて、重苦しくなっていないのがいい。エンディングは静かに終わるバージョン。
▲ A・プレヴィン指揮/ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
1989年録音。強奏で終わる「B」のエンディングを採用しているのが、このプレヴィン盤。
肩の力が抜けた、穏やかで上品な雰囲気に終始していて、この曲ならそれも有りとは思うけど、やはり、なにか引っかかるものが欲しい気もする。
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CD
■ S・プロコフィエフ作曲/交響曲第6番
▲ M・ロストロポーヴィチ指揮/フランス国立管弦楽団
1986年録音。
このオケのソフトで明るいサウンドを活かした演奏。第2楽章冒頭などは本当に美しく響く。
しかし、曲そのものは有名な第5交響曲のような明快さは無く、第1楽章から何やら思わせぶりで、意味ありげ。
フィナーレ(第3楽章)の軽快な始まりにホッと安堵し、「このまま最後まで突っ走れ!」と思うけれども、コーダでテンポを落とし第1楽章のテーマが再現、一旦ホ長調で終止した後テンポを速め、不安な雰囲気を持ったまま(しかし一応変ホ長調で)曲を閉じる。
例えば、第2主題を金管楽器が高らかに演奏し、そのまま華やかなエンディングを迎えて「めでたしめでたし」、それでOKではなかろうかとも思ってしまうが...。
戦争の影響とも言われているけれども、相反するものがぶつかり合っている居心地の悪さを感じないでもない。
それに比べて、管楽器のコラールで始まる第2楽章は伸びやかな音楽が美しい。チェレスタ、ハープをバックにしたホルンのアンサンブルもいい。この楽章は好きだ。
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■ S・プロコフィエフ作曲(スタセヴィッチ編)/オラトリオ「イワン雷帝」
▲ T・ソヒエフ指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団
2013年録音。
エイゼンシュタイン監督の映画のために作曲された音楽から編曲されたオラトリオ。ナレーションはカット。
この曲にはいくつかのバージョンがあり、そのバージョンと録音がこのCDの冊子に記載されいます。
【フィルム・スコア版】
プロコフィエフが作曲したスコア。そのままコンサートで演奏するには適しないと思われる。
フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団
ポリャンスキー指揮/ロシア国立シンフォニー・カペラ
【オラトリオ版】
プロコフィエフのオリジナルから作成された演奏会用のバージョン。ただし、プロコフィエフ自身は関わっていない。
(a) レフ・アトフミャン編曲(ナレーションなし)
録音なし
(b) アブラム・スタセヴィッチ編曲(ナレーションあり)
ソヒエフ指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団(ナレーション削除)
ムーティ指揮/フィルハーモニア管弦楽団
ゲルギエフ指揮/ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(ナレーション削除)
(c) マイケル・ランケスター編曲(ナレーションあり)
ロストロポーヴィチ指揮/ロンドン交響楽団
(d) クリストファー・パーマー編曲(ナレーションなし)
N・ヤルヴィ指揮/フィルハーモニー管弦楽団
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■ S・プロコフィエフ作曲/交響曲第5番
▲ L・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団
1978年録音。
クリーヴランド時代のマゼールは好きだ。そして、この演奏もいい。何よりオケが『巧い』。
管楽器もそうだけれど、弦も実に見事にアーティキュレーションが統一されて、一人で弾いているよう。指揮者のやりたい音楽を確実に『音』にしている感じがする。
また、どんな箇所でも全てが『音楽』になっていて、漫然と音が出ている箇所がない。
第1楽章「アンダンテ」、終始遅目のテンポだけれど、それが最後までキッチリとキープされていて、内容がぎっしり詰まった演奏。
第2楽章再現部から最後へかけての加速も全く危なげなく、終結部の金管楽器のアクセントも見事に決まる。第3楽章も本当に豊かに美しく響く。
あえて文句をつけると、あまりに安定しすぎていて、プロコフィエフの音楽にあるデリケートな『危うさ』が薄くなっているかもしれない。また「ロシア的」あるいは「プロコ的」な『何か』が足りないかもしれない(漠然とした言い方だけれど)。
しかし、それは贅沢な話で、このコンビの名演奏の一つであるのは間違いないと思う。
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■ S・プロコフィエフ作曲/交響組曲「1941年」
以下の3楽章から成る組曲。
1.戦闘の中で
2.夜に
3.人類の親和のために
1941年に勃発した独ソ戦争を背景とした曲。
▲ G・ロジェストヴェンスキー指揮/ソビエト文化省管弦楽団
1985年録音。
第1楽章では激しく打ち込まれる打楽器や、アクの強い金管楽器。曲が曲だけに、深く考えない、ひたすら突き進む、この手の演奏がピッタリだと思う。
いかにも社会主義的な題材ではあるけれども、プロコフィエフのモダンな音楽と、求められているものとのギャップ、それが「反人民的」「形式主義的」という『批判』につながったのだろうか。
さすがに第2楽章はもっと繊細さがほしい。
第3楽章は同時期に作曲された「シンデレラ」を思わせるような音楽。ニ長調のエンディングはかなり強引にまとめた感もある。
何はともあれ、珍しい曲であるのは間違いなく、それをこの最強(最凶?)コンビが録音してくれたのは嬉しい限り。
▲ A・ティトフ指揮/サンクトペテルブルグ交響楽団(?)
第2次世界大戦にまつわるプロコフィエフ作品を集めた "Echoes of Dark Years" というアルバム。
オーケストラ名の記載が無いのだけれども、調べてみるとドミトリエフの指揮で来日したり録音がある、いわゆる「第2オケ」らしい。
演奏はとてもよくまとまっていて、金管楽器の迫力も十分(さすがロシアのオケ)。
ただ、残念なことにティンパニの音が弱過ぎて、ロジェストヴェンスキー盤と比べると物足りないことこの上ない(特に第1楽章)。
▲ T・クチャル指揮/ウクライナ国立交響楽団
1995年録音。過不足なくまとめられた演奏。遅めのテンポで進められる終楽章がいい。
入手し易さも含めて、ファースト・チョイスとして問題なし。
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■ S・プロコフィエフ作曲/交響組曲「キージェ中尉」
同名の映画のために書かれた音楽を基にした組曲。
1.キージェの誕生
2.ロマンス
3.キージェの結婚
4.トロイカ
5.キージェの葬送
「ロマンス」と「トロイカ」には歌(バリトン独唱)入りと、オーケストラだけの2つのバージョンがある。
通常はオケ版だけれども、歌入りで録音しているのはスラトキン、小澤征爾。
そのオケ版もオーケストレーションが工夫されていて、単なる『歌の置き換え』にはなっていない。例えば「ロマンス」の冒頭はコントラ・バスのソロで始まり、途中はテナー・サックスのソロになっている。
終曲の「キージェの葬送」は重々しく厳粛に始まり、「ロマンス」のメロディを用いて悲しげな雰囲気が漂うのだけれど、そこに「キージェの結婚」でコルネットによって演奏された、おどけた感じの旋律が強引に割り込んでくる。
表面上は「悲劇」に見えながら、その裏にある「喜劇」が浮き彫りになってくる。ここらへんの描き方はとても面白い。
▲ G・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団
1969年録音。
このセル盤は昔から名盤として有名なもので、実際ケチをつける所は無い。コルネットは上手く、冒頭のソロもどことなく哀愁が漂う。
この曲を初めて聴く人にどれか一枚と言われれば、これになるでしょう。
▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団
1993年録音のCANYON盤。さすが色々と面白く、聴き所が多い。
冒頭のコルネットのソロ。なぜか1小節単位にフレーズを切って間(ま)を入れる。ここは2小節(または4小節)でフレーズを捉えるのが普通ではなかろうか。
ピッコロ・ソロのバックで叩く小太鼓はアクセントも軽やかに、とても楽しそうだ。
テナー・サックスは完全に『わが道を行く』。「キージェの結婚」のソロは1オクターヴ上げている(指揮者の指示?)。「まあ、固いことは言わず、好きに吹かせてくれよ」
その「キージェの結婚」の冒頭のホルンのレガート奏法はとても良い雰囲気。
「キージェの葬送」でコルネットのテーマが割り込んでくる部分は、そのバランスを弱くして(スコアにはそう指定してある)、独特の雰囲気を出している。
▲ L・スラトキン指揮/セントルイス交響楽団
珍しい『歌入り』バージョンで、聴きものはその『歌』。
ロシア語による歌が入ると音楽の雰囲気が一気に『ロシア』に変わるし、「トロイカ」の掛け声風などオケ版にはない面白さがある。
しかし、オケの方はというと丁寧に表情は付けられているけれど、サウンドはいかにも薄っぺらいアメリカン(ある意味『映画音楽風』)。せめてサックスくらいは、もうちょっと何とかならなかったものだろうか。
▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
1974年録音。
明るいサウンドで、肩の力が抜けた楽しい演奏。1曲目の金管楽器の開放的な音は気持ちいい。「キージェの結婚」のコルネットのソロは結構ラフな感じ。
【映像】
▲ A・プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団
1977年ライブ録画。
演奏そのものはラフな印象もあるけれど、貴重な映像ソフト
若々しいプレヴィンの指揮姿。
チューバを吹いているのはJ・フレッチャー。お顔が拝見できるのはこのショットのみ(画像クリックで拡大します)。
コルネットのソロは細かいビブラートがかけられた、英国ブラス・バンド風の音だけれども、楽器はトランペットを使っているように見える。
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■ プロコフィエフ作曲/「道化師」組曲
▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
1988年録音。
「道化師」は「アラとロリー」に続くプロコフィエフのバレエ第2作。続いて演奏される6場から成り、各場を同じモチーフによる間奏曲繋ぐ。
作曲時期としては第2交響曲の前。ソビエト復帰後に書かれた有名な「ロメオとジュリエット」や「シンデレラ」とは全く曲想が異なる。
ディアギレフからの依頼によるもので、ロシア民話をベースにしていることもあってか、「純粋にロシア的な音楽」というリクエストだったそうだけれども、聴いてみてもほとんど「ロシア」という感じはしない。メロディにロシア的な雰囲気を感じる部分もあるけれど、土臭さや素朴さは無く、はるかにモダンな響きがする。
そのバレエ音楽から作られた12曲から成る組曲。バレエの曲順に並べられているけれど、バレエ版からの単純な抜粋ではない。演奏時間はバレエ全曲版が1時間弱。組曲版が35分。
正直、全曲版を(少なくとも音だけで)聴き通すのはツラく、この組曲版くらいがちょうどいい。ヤルヴィ(@父)はさすがに聴かせ上手。
カップリングは「鋼鉄の歩み」組曲と「3つのオレンジへの恋」組曲。
【バレエ全曲版】
▲ G・ロジェストヴェンスキー指揮/ソビエト文化省交響楽団
1985年録音。文化省オケなので一抹の不安はあったけれども、金管楽器のサウンドも含めて、演奏的には言うことなし。でも、やっぱり曲が...。
▲ ミハイル・ユロフスキ指揮/ケルン放送(WDR)交響楽団
1997年録音。指揮のミハイルは、活躍中の若手指揮者ウラディーミルの父上で、多くのロシア音楽を録音しています。
氏の他の録音と同様、きれいにまとまってはいるけれど、インパクトは弱い。
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■ プロコフィエフ作曲/バレエ組曲「シンデレラ」
「ロメオとジュリエット」と同様、バレエ音楽から編まれた3つの演奏会用組曲。
バレエ音楽 作品87
第1組曲 作品107
第2組曲 作品108
第3組曲 作品109
ストーリー的に悲劇的な要素はないので、明るい楽しさ、抒情性が前面に出ていて、そのためか「ロメオとジュリエット」に比べると、録音の数も演奏頻度も圧倒的に少ない。
以下は組曲版の録音。
▲ T・クチャル指揮/ウクライナ国立交響楽団
1994年録音。第1~3、3つの組曲を曲順に全て収録。
なにはともあれ、3つの組曲がすべて聴けるということでは貴重だし、演奏もそれなり。
全体的にソフトなサウンドが、この音楽の持つ抒情的な雰囲気には合っていると思う。
ただ、金管楽器が遠慮がちなのでメリハリ、盛り上がりに欠けるし、木管楽器などはもっと繊細さがほしい。
▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
1986年録音。第1組曲(2曲)、第3組曲(6曲)の抜粋。
これはとてもいい。指揮者お気に入りの曲を抜粋したのだろうか、抒情的な曲を中心に収め、響きも豊か。「喧嘩」もスピード感がありダイナミック。
「シンデレラと王子(アダージオ)」「アモローソ」も情感豊かに盛り上がる。
ヤルヴィの「シンデレラ」を聴くならば、下の組曲盤よりもこちらの方がいい。
▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
1986年、1990年録音。
上の1986年録音盤に、新たに録音した曲を加えて、第1、3組曲全曲を収録。どうせなら第2組曲も入れて欲しかった。
「第1組曲」は雰囲気はとても良いにしても(「序奏」とか)、「マズルカ」「ワルツ」などの舞曲系になると、どうしてもリズム、テンポの不安定さが落ち着かない。意外にキッチリとしたバレエ音楽はお得意でないのかもしれない。
残響を多くとった録音もモヤモヤとして、今一つまとまりがない。
「第3組曲」の方はとてもいい。派手さは無いけれども、いずれもプロコフィエフらしい音楽がいっぱいだし、「シンデレラと王子」はアダージオで盛り上がる。そして、最後は「序奏」のテーマを再現した「アモローソ」で静かに曲を閉じる。
▲ Y・テミルカーノフ指揮/サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団
2009年ライブ録音。第1組曲(6曲)、第2組曲(2曲)、第3組曲(1曲)の抜粋盤。
もちろんソビエト時代の強靭なサウンドではないけれども、バランスのとれた素晴らしい演奏。特に抒情的な(旋律メインの)曲がいい。
「シンデレラのワルツ」の雰囲気は抜群だし、続く「真夜中」での(12時を告げる時計の)鐘の音がとても効果的で、続くエンディングの迫力も十分。
▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
1961年録音。第1組曲、第2組曲(4曲)の抜粋。第1組曲は全8曲を収録。
このコンビの「ロメオとジュリエット」がとても素晴らしいので期待は大きいけれども、正直、こちらは今一つ。
オケの技術的なところも気になってしまうし、アップテンポの部分ももたつく感じがする。
曲との相性の問題なんだろうか。
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■ S・プロコフィエフ作曲/ピーターと狼
ナレーション付の音楽物語。
登場人物に決められたモチーフ(メロディ)を与えて、かつそれを特定の楽器に割り当てることにより、『楽器紹介』にもなっているという仕組み。
子供向けとはいえ、音楽そのものは紛れも無いプロコフィエフのもの。
ピーターの主題はハ長調に始まり、途中からハーモニーが揺らいで、変ホ長調へ転調する。フルートによる「小鳥」のテーマも、そのまま「フルート・ソナタ」にでも流用できそうなもの。
最後は登場人物総出による凱旋行進曲。
狼に食べられてしまったために物語の前半で出番が無くなってしまったアヒル君は、「狼が生きたまま飲み込んでしまった」というオチで、最後の最後に登場。エンディング前に見事な役割を演じる。
「青少年のための管弦楽入門」とは違ってナレーション無しでは成立しない曲なので、やっぱりナレーションが印象を大きく左右する。
【通常版】
▲ A・プレヴィン指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団。1985年録音。
プレヴィンによる語り(英語)は変な芝居っ気がない、落ち着いて上品な、また暖かい雰囲気。
音楽の方も同様。物語の描写よりも、まずはプロコフィエフの音楽が前面に出ている感じがする。
カップリングは「青少年のための管弦楽入門」(こちらはナレーション無し)と、オペラ「グロリアーナ」から「宮廷舞曲」。
▲ J・ランチベリー指揮/メルボルン交響楽団
1997年録音。
有名指揮者の録音が並ぶ中、あまり注目されてはいないようだけれど、この演奏がとても面白いのだ。
ランチベリーはバレエ指揮者であることもあってか、素晴らしく見事に物語を描写していて、その場面場面の情景が目に見えてくるようだ。
ナレーションのデイム・エドナ・エヴァレッジは『女装』キャラ(女性の声色)だけれど、決して悪ふざけしているわけではないので(見た目はともかく)、奇異な感じ(キワモノ感)はありません。
▲ M・プラッソン指揮/トゥールーズ・キャピタル管弦楽団
1992年録音。
ランベール・ウィルソンのナレーション(フランス語)。
ナレーションがフランス語だと、一気にフランス版のオシャレな「ピエールと狼」になる。
演奏もナレーションの雰囲気に合っていて、全く別の曲のよう。面白い!
カップリングは「動物の謝肉祭」。
▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
1957年録音。
ナレーション(英語)はシリル・リチャード。
さすがオーマンディ、文句無しの面白さ。理屈抜きに楽しんで聴ける『音楽物語』として、申し分のない演奏。
【古楽器版】
▲ ジャック・ペシ指揮/新パリ音楽院アンサンブル
レニー・ヘンリーのナレーション(英語)。
プロコフィエフのオリジナルとは異なり、登場人物が様々な伝統楽器(古楽器)で演奏される。
小鳥 シェン(中国版笙)
アヒル ティプル(オーボエの前身)
猫 オーボエ・ダモーレ
お爺さん セルパン
狼 アコーディオン
猟師 コルネット、サックバット
猟師の鉄砲 大太鼓、スチールドラム
ピーター 弦楽合奏
ピーターだけはオリジナル通りの弦楽合奏。
とにかく、各楽器の『音』の面白さ。
特にアヒルは高音域が苦しそうで、終始悲鳴を上げているようで、随所で存在感を出している。特に狼に食べられてしまうところは絶品(名演技)。
お爺さんのセルパンもピッチがアヤシク、ヨタヨタとしている。
ちなみに、コルネットは古楽器のコルネットで、現在のトランペット似の楽器ではありません。
http://orchestra.musicinfo.co.jp/~mvsic/instruments/cornett.html
ナレーションのレニー・ヘンリーはイギリスのコメディアンだそうで、声色を使ったりと、子供が聞いたら喜びそうな感じ(いわゆる「面白いお兄さん」)。
【番外編】
その昔、TV「題名のない音楽会」で放送された、井上道義版「ピーターと狼」。
途中までは確かに面白いのだけれども...。
このお話のエンディング、狼に食べられてしまったアヒル君、実は狼のお腹の中で生きていて、その狼も猟師に撃たれず、生け捕りにされて動物園へと送られる。
この手のお話(民話・童話)としては、最適な解が提示されていると思う。
にもかかわらず、「狼にだって人権(!?)はある」とか、「人間の方が沢山生き物を殺して食べているじゃないか」とか...その後に何かオチがあるわけでもなく、問題提起にしても何だか『場違い』感を否めなかった。
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