東欧の作曲家

リスト 交響詩「フン族の戦い」

CD

 ■ F・リスト作曲/交響詩「フン族の戦い」

 絵画にインスピレーションを受けて作曲された交響詩。

 異教徒(フン族)とキリスト教徒の戦いを描いたもので、最後は(当然)キリスト教徒の勝利で終わる。

 前半は戦いの音楽。キリスト教徒が勝利し、オルガンによるコラールが次第に盛り上がり、ケレン味たっぷりのエンディングはリストの面目躍如。

 今でいえば『映画音楽』か『ゲーム音楽』のようなノリにも聞こえる、単純明快でカッコいい音楽なのだ。

 

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 ▲ Z・メータ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 1994年録音。

 生真面目な演奏だけれども、とにかくオケの上手さとパワーで聴かせてくれる。最初の一枚としては文句なし。


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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1959年録音。

 メータ盤と比べてしまうとオケの非力感は否めないけれども、活き活きとした情景描写はさすが。オルガンの音も見事に捉えられている。

 でも、アンセルメはなんでこの曲を録音したんだろうか。オルガンの音のデモンストレーション的な意味もあったのか。この2年前の録音であるシェルヘン盤と比べると、その『音』の差はあまりに大きい。


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 ▲ H・シェルヘン指揮/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

 1957年録音。

 冒頭のティンパニの「ポコポコ」とした音から不吉な予感がする。指揮者はテンポを煽るけれどもオケが全然ついてこれない。さらにはトランペットが完全に出を見失いカオス状態に。

 ライブならともかく、よくこれでOKが出たものだと思う。シェルヘン好き以外には全くオススメできない録音。オルガンの音も変。

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バルトーク 管弦楽のための協奏曲(ケーゲル)

CD

 ■ バルトーク作曲/管弦楽のための協奏曲

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 ▲ ケーゲル指揮/ライプチヒ放送交響楽団

 1971年のライブ録音。

 いわゆる「オケコン」、バルトーク晩年の作品。「外面的な軽い」音楽という風に言われることも多いような気もするけれど、このケーゲルの演奏ちょっと違うのだ。

 第1楽章の序奏からしてただならぬ雰囲気が漂う。低弦の動きを受けてのフルート、そしてトランペット・セクション。これまでは割と「軽い」音楽だと思っていたものが、ずっしりと重く響く。

 第4楽章、変拍子の木管に続くビオラが奏する旋律。ここも(この曲の後半部にも再現するが)従来は「きれいなメロディだな」くらいにしか感じなかったが、ここではそのイメージは一変して、とてつもなく深い感情を伴って迫ってくる。

 そして、いきなり狂ったように突き進む終楽章。弦楽器の16分音符の動きもオケ全体がうねるようで、コーダ前の上下する動きも不気味。そして、金管の主題再現から終結部まではますますテンポを速めて一気に曲を閉じる。

 譜面の表面だけをいじった、単なる小細工とは違う。とにかく聴き所満載ではあるけれども、万人向けでないことも確か。

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バルトーク 中国の不思議な役人(ドホナーニの映像)

DVD

 ■ B・バルトーク作曲/「中国の不思議な役人」組曲

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 ▲ C・ドホナーニ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 
 1977年録画。観客が入っていないホールでの演奏。

 組曲版での演奏(CD録音の方は全曲版)。

 若き日のドホナーニ(40代)、譜面台は置かずに暗譜で指揮。

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 黒ブチ眼鏡の風貌は、指揮者と言うよりも、大学の先生か、保険会社のセールスマンのようだけれども、眼つきは鋭く、指揮はハード。オケをビシビシとしばき上げ、強力に牽引する。

 コンサート・マスターはG・ヘッツェル氏。

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スーク おとぎ話(ペシェク)

CD

 ■ スーク作曲/おとぎ話

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 ▲ L・ペシェク指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

 1997年録音。

 戯曲「ラドゥースとマフレナ」のための付随音楽から4曲の組曲にまとめた作品。

 各楽章には以下の副題が付けられています。

  1.ラドゥースとマフレナの誠の愛と悲しみ
  2.白鳥と孔雀の戯れ
  3.葬送の音楽
  4.ルナ王妃の呪いと愛の勝利

 第1楽章はロマンチックな音楽の途中に不安が影を落とす。第2楽章は「ア・ラ・ポルカ」と指定された軽快な楽章。

 第3楽章の葬送行進曲は深刻になり過ぎない。

 フィナーレは困難を乗り越えて愛が成就してめでたしめでたしの大団円。

 詳しい曲目解説はこちらを。(都響のサイト)

 スークはチェコの作曲家。ドヴォルザークの弟子で娘婿。

 ことさらチェコの民族的要素を前面に出してはいないけれども、副題通りの変化に富んだ展開。分かりやすく、コンパクトにまとまっているので(演奏時間30分弱)、是非。

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フチーク作品集(ノイマン&チェコ・フィル)

CD&DVD

 チェコの作曲家、フチークのオーケストラ作品集。

 古い世代の吹奏楽関係者にとって、フチークと言えば「雷鳴と稲妻」というサーカス・マーチの作曲者。A5版の小さな譜面を使って、当時は猛烈な勢いで演奏したものだ。

 そんなこともあって、何となく「アメリカの作曲家」という印象があったのだけれども、実際はチェコのプラハ生まれ、ドヴォルザークに師事したこともある人。チェコではJ・シュトラウスやスーザのようなポジションで人気があるらしい。

 「雷鳴と稲妻」の原曲である行進曲「剣士の入場」と並んで知られているのが「フローレンス行進曲(フロレンティナー)」。イタリアのフローレンス(フィレンツェ)の印象を音楽にした、行進曲風音詩。吹奏楽のレパートリーとして録音も多い名曲。

 チェコの名指揮者、ヴァーツラフ・ノイマン指揮による映像ソフトとCD。

 ■ J・フチーク作曲/行進曲とワルツ集

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 ▲ V・ノイマン指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

 1986年。スメタナ・ホールでの録画。

 ただし、客席に人は入っていないので、演奏会のライブではありません。

 ドヴォルザーク(「野鳩」)とヤナーチェク(「タラス・ブーリバ」)の特典として収録されている映像だけれど、やはり、こちらの方に目が行ってしまう。

 収録曲は以下の通り。

  1.行進曲「剣士の入場」
  2.ワルツ「ドナウの歌」
  3.序曲「マリナレーラ」
  4.行進曲「陽気な村の鍛冶屋」
  5.ワルツ「冬の嵐」
  6.フローレンス行進曲

 「1」と「6」は吹奏楽でもよく演奏され、特に「1」などは快速演奏の「サーカス・マーチ」の印象も強いけれど、まさしくオリジナルの『本場物』。

 素朴な雰囲気のある演奏で、また、弦楽器が旋律を受け持つと、吹奏楽にはない味わいがある。

 オケのメンバーにはケイマル(@トランペット)、ティルシャル(@ホルン)の顔が見え、「6」ではケイマル氏が活躍します。


 ■ J・フチーク作曲/管弦楽作品集

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 ▲ V・ノイマン指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

 1973年頃の録音。

  1.フローレンス行進曲
  2.序曲「マリナレーラ」
  3.ワルツ「ドナウの歌」
  4.行進曲「剣士の入場」
  5.年老いた熊
  6.ワルツ「冬の嵐」
  7.行進曲「ヘルツェゴビナ」

 上の映像版とは若干選曲が異なる。「5」はファゴットソロとオーケストラのためのユーモラスな作品(ポルカ)。

 落ち着いた渋いサウンドで、ローカルな味わいがある演奏。

 こちらはヤルヴィ(@父)による新しい録音。

 ■ J・フチーク作曲/管弦楽作品集

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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

 2015年録音。

 明るく楽しく、収録曲も多く、ローカルな味わいを求めなければ文句なく楽しめる1枚。

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スメタナ 我が祖国(アーノンクール&ヨーロッパ室内管の映像)

DVD

 ■ B・スメタナ作曲/連作交響詩「我が祖国」

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 ▲ アーノンクール指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団

 2010年のライブ録画。メイキング(リハーサル)映像付きの2枚組。

 弦の編成は小さく、メンバー表によると人数は「10+10+7+5+3」。

 それはともかく、1曲目の「高い城」。「ここぞ!」というところで、ことごとくはぐらかされてしまうような感じがする。

 「モルダウ」の有名なメロディもぎくしゃくとして、多くの人がこのメロディに求めるであろう豊かな情感は全く感じられない。そういうところには興味がないのだろうか。ポルカ(婚礼の場面)のリズムは面白い。

 後半はダイナミックではあるけれども、指揮者のあの手この手がストレートに出てしまっているように感じる。オケがウィーン・フィルやコンセルトヘボウ管などだったら、自分たちの音楽と上手く中和されたのかもしれないけど...。

 とにもかくにもクセの強い演奏で、「この曲、かくあるべし」という、ありがちな表現を意図的に避けているようにも感じ、よくある(ベタな)「我が祖国」を楽しみたい人にはオススメできません。

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 トライアングルの形がお洒落。

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 チューバが妙に小さい。

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コダーイ ハーリ・ヤーノシュ

CD&DVD

 ■ Z・コダーイ作曲/オペラ「ハーリ・ヤーノシュ」

 先日放送された某テレビ番組(「ららら…」)では、最初から「組曲」として作曲されたように言っていたけれども、実際は同名のオペラに基づく演奏会用の組曲。

  1.前奏曲、おとぎ話は始まる
  2.ウィーンの音楽時計
  3.歌
  4.戦争とナポレオンの敗北
  5.間奏曲
  6.皇帝と廷臣たちの入場

 第2曲と第4曲は管打楽器のみによる曲。第3曲は登場人物による歌(二重唱)を管弦楽に編曲したもの。

 【組曲】

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 ▲ I・ケルテス指揮/ロンドン交響楽団

 1964年録音。やっぱり、「ハーリ・ヤーノシュ」と言えばこれ。

 まだ30代のケルテス。セルやオーマンディのような熟練はないにしても、「若さ」をストレートにぶつけた熱い演奏は魅力的だ。

 ケルテスはオペラ版も録音しています(下参照)。


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 ▲ G・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団

 1969年録音。LP時代から定評のある録音で、それに異論は無し。

 何と言っても素晴らしいのは第3曲の「歌」で、本当に各楽器が自在に『歌う』。この曲に関してはこれ以上の演奏は聴いたことがない。

 言ってもセルなので羽目は外さないけれども(サキソフォンのソロなど)、カラフルで賑やかな「音楽時計」、速めのテンポが熱い「間奏曲」、「ナポレオンの敗北」のトロンボーンのリズムはとぼけた感じがおかしい。

 「皇帝と廷臣の入場」では、ラスト3小節で突然テンポを落として、最後の大太鼓の一撃を「ドン!」と強調する。

 LPのジャケットと同じイラストが懐かしいです。


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 ▲ G・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団

 1993年のライブ録音。ショルティ氏、80歳を超えてのライブ録音。

 オケは上手いし、金管も鳴っている。で、ガチガチの直球勝負かと思いきや、意外に余裕、遊び心が感じられる。

 第4曲の「戦争とナポレオンの敗北」では、低音金管を(おそらく意図的に)弱く演奏させ、これが脱力感があって妙におかしい。

 また、小太鼓を響き線を外して演奏させているのだけれども、下記のライブでは普通に演奏させていて、まさか奏者のミスということは無いと思うのだけど...。

 「間奏曲」中間部の管楽器の自在なソロ、「歌」も十分に歌心を感じる。

 「ハンガリー名曲集」。ショルティさん、満面の笑顔(楽しそう!)。

 収録されているリスト作曲の「ハンガリー狂詩曲第2番」が珍しい編曲です(他で聴いたことがありません)。


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 ▲ C・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団

 1994年録音。

  「戦争とナポレオンの敗北」でも戯画的な面白さを強調することはなく、サックスのソロは表情たっぷりであるけれども、楽譜の範囲内。

 「音楽時計」はカラフルだけれど、「間奏曲」のリズムはソフトでスマート。「歌」の各楽器のソロはさすがに上手い。

 セルやケルテスなどのハンガリー系の演奏とはちょっと違う、あくまで華やかでカラフルなオーケストラ作品という演奏。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1975年録音。カラフル、かつ、ド派手にオケを鳴らす。

 この手の曲を『面白く』聴かせるのは得意とするところで、4曲目の「戦争とナポレオンの敗北」でのサキソフォンのソロの表情は大袈裟だし、さらにはチューバとバス・トロンボーンのブリブリ感。

 単に表面的なものではなく、「間奏曲」など、根っこに音楽の持っている民族性への共感があるようにも感じる。

 カップリングは「キージェ中尉」と「火の鳥」組曲(1919年版)。


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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/シカゴ交響楽団

 1990年録音。同じオケをショルティが振った録音とは違って、とてもリラックスした雰囲気。

 4曲目の「戦争とナポレオンの敗北」は、金管は思いっきり鳴っているけれども、個々の奏者が自由に楽しみながら吹いているような感があって面白い。低音金管も、無理して鳴らしている感が全くない余裕のプレイ。

 ただ、冒頭の「くしゃみ」から全体的にアッサリとした味付けで、正直ちょっと物足りない


 【映像(組曲)】

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 ▲ G・ショルティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 ウィーン・フィルとのライブ映像。1995年の収録。シカゴ響とのCDの2年後、亡くなる2年前。

 生真面目な感じだけれども、演奏はとても素晴らしく、「間奏曲」は大いに盛り上がって、まだ途中なのに演奏後に大きな拍手が起きる。

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 指揮者の正面に陣取るツィンバロンもしっかり映っています。


 【組曲+α】

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 ▲ イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団

 1998年録音。この演奏がとてもイイ。

 テンポ、表情にメリハリがあり、「戦争とナポレオンの敗北」の低音金管も、いかにも威張りくさってふんぞり返っている様な滑稽さがあって面白い。

 組曲以外に、オペラのナンバーから5曲が収録されています(いずれもオケだけの短い曲)。


 【オペラ】

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 ▲ I・ケルテス指揮/ロンドン交響楽団

 1968年録音。オリジナルのオペラ版。

 とにかく、組曲版に含まれていない(歌やコーラスの)ナンバーがとても面白いので、一聴の価値はあり。

 組曲版の第3曲の「歌」のオリジナルである二重唱や、エキサイティングな第3幕の兵士の合唱などは特に聴きもの。

 前者などは、これを聴いてしまうと、オケだけによる組曲版はカラオケのようで、何とも物足りなく感じてしまう。

 また、兵士の合唱は民族色も濃く大いに盛り上がり、思わず立ち上がって一緒に歌いたくなるような高揚感がある。

 この2曲を聴くためにだけでも、全曲盤の価値はあります。

 フィナーレは「歌」の旋律が高らかに奏され、そこに「間奏曲」の主題が重なり、最後は余韻を残してこのオペラを閉じる。

 イギリスの俳優ピーター・ユスチノフが語りと登場人物のセリフを担当。効果音も色々と入って、滑稽な雰囲気が強いので好みは分かれるかも...。

 カップリングは「孔雀変奏曲」と「ハンガリー詩編」。

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フサ プラハのための音楽1968(フサ&テンプル大学WS)

CD

 ■ K・フサ作曲/プラハ1968年のための音楽

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 ▲ K・フサ指揮/テンプル大学ウインド・シンフォニー

 1995年録音。

 この曲について多くの録音を聴いてはいないけれど、重量感のある素晴らしい演奏だと思う。

 作曲者の母国(チェコ)が軍事介入された事件を題材にしていて、スメタナ作曲の連作交響詩「わが祖国」でも用いられた讃美歌「汝ら、神の戦士たち」が使用されている。

 スメタナの曲は最後には祖国の栄光を高らかに歌い上げるのに比べ、こちらは全く別のニュアンスを持っている。

 第4楽章の終結部。各奏者が『自由に』演奏する混乱の中から迫ってくるドラムによる行進のリズム。

 それに抵抗するかのように賛美歌(の前半部のみ)がユニゾンで高らかに奏され、その対立・緊迫した雰囲気を残し、未解決のまま曲を閉じる。

 演奏の難易度は高く、スコアには様々な手法(奏法)が用いられ、各パートも細かく分かれているので、大編成(人数)が要求される。また、音楽の内容もハードで、聴き手にとっても取っ付き易いものではない(キレイなメロディがあるわけでもない)。

 それ故演奏される機会も少ないし、時間制限の関係でコンクールでも取り上げにくいだろう(そもそもコンクールという場に相応しいか、という気もするが)。

 様々な題材(史実など)を基に吹奏楽曲が作られているけれども、でも、結局は第三者的に表面だけをなぞっただけの、ステレオタイプになっている場合も多いと思う。

 しかし、この「プラハ…」には決して他人事ではない、当事者の音楽としての重みを感じる。吹奏楽曲の名曲。

 ちなみに、邦訳としては、「プラハ1968年のための音楽」の方が『正しい』かもしれないけれど、昔ながらの「プラハのための音楽1968」も私は好きだ。


 【管弦楽版】

 作曲者自身による管弦楽版の録音。

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 ▲ B・コルマン指揮/スロヴァキア放送交響楽団

 1993年録音。

 この管弦楽版は指揮者のG・セルの委嘱で作られ、1970年にフサ自身の指揮によるミュンヘン・フィルにて初演。

 吹奏楽版との違いがはっきり分かる箇所は、第2楽章のサキソフォンなどによるユニゾンの旋律が弦楽器で演奏されている部分。それ以外については聴いた印象はそう大きくは違わない(そもそも、第3楽章は打楽器のみのアンサンブル)。

 貴重な録音ではあるけれども、(演奏のせいか)それ以上のものは感じない。
 

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スメタナ 交響詩「モルダウ」(フリッチャイのリハーサル風景)

DVD

 ■ スメタナ作曲/交響詩「モルダウ」

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 ▲ F・フリッチャイ指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団

 1963年に48歳の若さで亡くなった名指揮者、F・フリッチャイによる、「モルダウ」のリハーサルと本番演奏。

 1960年の録画(モノクロ)。まずはアナウンサーの追悼のコメントで始まる。

 白血病を患い、この日も体調がすぐれなかったらしいが、そういった様子は見えず、自らメロディを力強く歌い、音楽を楽団員に伝える。

 フリッチャイが語る各場面の説明は的確で、「なるほど」と思わせる説得力がある。通俗名曲として親しまれ、ひょっとすると軽く見られているかもしれない、この「モルダウ」という音楽の奥深さ、素晴らしさを再認識できる。

 単なる情景描写ではない、人生(生命)そのものであり、そのテーマは(リハーサルの中でも語っていたように)「生きることは素晴らしい」ということなのだ。

 ちなみに、ホルンのトップを吹いているのは当時在籍していたH・バウマンでなかろうか(下の写真、前列向かって右)。

 狩りの音楽ではホルン・セクションが活躍するが、(それ以外の部分であっても)指揮者の指示を集中力をもって聞く姿は、まさに「名プレイヤー」としてのオーラが強烈に発せられている。

 Horn

 本当に素晴らしい内容のソフトなのだけれども、残念ながら廃盤なんですね...

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