ベルリオーズ

ベルリオーズ 「ロメオとジュリエット」から(バーンスタイン)

DVD

 ■ ベルリオーズ作曲/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」から「ロメオ独り~舞踏会」「愛の情景」

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 ▲ L・バーンスタイン指揮/シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭オーケストラ

 1989年、ザルツァウ(北ドイツ)での若い(学生?)オーケストラ相手のリハーサルと本番。

 曲そのものは余り有名でないけれども、曲を知らない人は興味を覚えることだろうし、知っている人にはいい曲目解説(アナリーゼ)になる。

 曲の表す情景を説明したり、「愛の情景」ではオリジナルの戯曲を読んだり、とても分かりやすい。

  バーンスタイン「シェイクスピアの戯曲を読んだことがある人は?」
  「(パラパラと手が挙がる)」
  バーンスタイン「部分的にではなく、全部読みましたか?」

  バーンスタイン「ゼッフィレリ監督の映画を観たことがある人?」
  「...」
  バーンスタイン「舞台を観たことがある人?」
  「...」
  バーンスタイン「では、『ウエスト・サイド・ストーリー』を観たことがある人は?」
  「(たくさん手が挙がる)」

 「愛の情景」で、「指揮が分かりにくいですか?」と聞いてから、「では、他の指揮者のように分かりやすく指揮してみましょうか」と言って、ありがちな(凡庸な)指揮者の真似をして見せるところは、面白いけれども、皮肉たっぷりでもある。

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 ちなみに、リハーサルと本番演奏は交互に収録されていて、コンサートのみの通し演奏は収録されていないので要注意。あくまでバーンスタインのリハーサルを観るソフト。

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ベルリオーズ 幻想交響曲(ミュンシュ&日フィルの映像)

DVD

 ■ H・ベルリオーズ/幻想交響曲

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 ▲ C・ミュンシュ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団

 1962年12月28日、東京文化会館でのライブ録画。映像はモノクロでも音はステレオ。

 兎にも角にも、「幻想…」と言えばミュンシュ。本当に「お宝」映像。

 スケールの大きい、熱い指揮が見物。映像が指揮者中心なのは嬉しい。

 オケも大健闘、とにかく指揮者によく付いて行ってる。

 ミュンシュは暗譜で譜面台を置かずに指揮。実際、スコアをめくりながらでは、この指揮はできないでしょう。

 で、思わずひっくり返ってしまうのが、曲を締めくくる、終楽章最後の和音のフェルマータ。

 音を伸ばす伸ばす・・・いつまでたっても伸ばし続ける...リハーサルでは「ここはどのくらい伸ばすか分からないから覚悟しておくように」みたいな事を言っていたのかは分からないけれども、とにかくひたすら伸ばす。

 当然、管楽器奏者は息が無くなる。ブレスし直しているのだろうけれども、音は段々アヤしくなってくる...それでも伸ばす。

 普通の指揮者がこんなことやれば演奏はボロボロになって崩壊しまうだろうけれども、とにかく持ちこたえさせるパワーがあるのだ。

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 正に、ここで音楽が生まれているという、ライブ的なスリル満点。

 演奏後の聴衆の拍手が意外に淡白な気もするけれど、実はこの「幻想…」はプログラム前半の曲(!)、後半にはラヴェル「ピアノ協奏曲」「ダフニスとクロエ」第2組曲が控えているのだ(!!)。

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ベルリオーズ テ・デウム(アバドの映像)

DVD

 ■ H・ベルリオーズ作曲/テ・デウム

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 ▲ C・アバド指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ホセ・カレーラス(テノール)

 1992年、フランクフルトでのライブ録画。

 「ホセ・カレーラス・コレクション」とあるけれども、そのカレーラスは第5曲のみに登場。

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 カレーラスはともかく、この珍しい作品の映像ソフトとして貴重。

 オーケストラ、コーラス、オルガンによる8曲から成る作品。

 オーケストラだけによる2曲、「プレリュード」(第3曲)と「行進曲」(第8曲)はカットされることもあり、ここでも省かれています。

 作曲者の指定だと、それぞれ100人の2群の合唱。600人(!)の児童合唱。その他は以下のスコア(1ページ目)をご覧ください。

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 この演奏ではスコア通りの人数ではないけれども、シンバルは作曲者の指定通り5人で叩かれます。

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 【CD】

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 ▲ C・アバド指揮/ECユース管弦楽団

 映像の約10年前、1981年のライブ録音。映像と同じくカット版。

 テノール独唱はフランシスコ・アライサ。合唱指揮をリチャード・ヒコックスが担当しています。


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 ▲ J・ネルソン指揮/パリ管弦楽団

 2000年録音。カット無しの8曲版。

 テノール独唱はロベルト・アラーニャ、オルガンはマリー=クレール・アランという豪華メンバー。

 残響の多い録音が雰囲気を出しています。

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ベルリオーズ イタリアのハロルド(フェドセーエフ)

CD

 ■ベルリオーズ作曲/交響曲「イタリアのハロルド」

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 ▲ Y・バシュメット(ヴィオラ)/V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 1989年、モスクワでのライブ録音。

 基本、バシュメットがメインのCD。表紙にもバシュメットがどーんと写っているし、直輸入盤なので日本語解説の冊子が挟まれているのだけれども、そこには楽曲紹介とバシュメットについての記述があるだけで、指揮者とオケについては一言も(本当に1文字も)触れられていない。

 ちなみに、この曲は楽章が進むと共にヴィオラの出番が少なくなり、第4楽章ではほとんどがオーケストラだけの演奏になるという構成。決して、ヴィオラ独奏曲/協奏曲ではなくて、オーケストラのウェイトも大きい。

 それを考えると、ちょっと冷たいのではないかと思うけれど、私がこのCDを買ったのは『当然』フェドセーエフが聴きたかったから。

 弦を中心にした厚みのあるサウンド。曲が曲だけにそう変わったことはできないにしても、どかどかと重く打ち込まれるティンパニ、終楽章のコーダも突っ走るのではなく、一歩一歩踏みしめるような重さがある。

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ベルリオーズ 幻想交響曲(ガッティ&RCO)

BD

 ■ H・ベルリオーズ作曲/幻想交響曲

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 ▲ D・ガッティ指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

 2016年のライブ録画。

 ヤンソンスの後任として今年から首席指揮者に就任したガッティ。なんだか意外な人選だ...

 なにはともあれ、とても不思議な味わいの「幻想」。

 第1楽章主部の「恋人の主題」。遅めのテンポで細かく表情が付けられる。そのため、音楽が全く流れない。でも、こんなに覚めてていいのだろうか。

 指揮者が感情を昂ぶらせるのは第3楽章の途中くらい。その他では常に冷静に、(あえて?)一歩引いたところに立って音楽を作っていく。

 第4、5楽章も抑制された印象。第5楽章のエンディングの最後の和音も、短くスパッと切られる。

 しかし、ガッティってこんな指揮者だったんだろうか。何だか、無理しているようにも感じられるのだけど...。

 しかし、なぜにガッティ??...他に適任者はいなかったのか。

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ベルリオーズ 序曲「海賊」(ノリントンの映像)

DVD

 ■ ベルリオーズ作曲/序曲「海賊」

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 ▲ R・ノリントン指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団

 リハーサルとコンサート本番を収録。

 後半の演奏部分もさることながら、面白いのは前半の、ノリントンへのインタビューも交えたリハーサル部分。

 曲に対する講釈は、もちろんノリントン自身の解釈ではあろうけれども、なるほどと思うし、初めてこの曲のイメージが見えてきたように思う。

 要はハリウッド的、海洋冒険大活劇。架空のオペラのための序曲。主人公の海賊はベルリオーズ自身。

 トランペットはナチュラル・トランペット。弦のノン・ビブラート奏法は前半で効果が出ている。

 冒頭、弦楽器のスケールに続く、管楽器のリズム音形(↓)をホルンが最初は吹けないのはご愛嬌...?

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 もちろん、自分のパート(ホルン)だけ見れば難しくもなんともないのだけれども、木管が絡んでくるとややこしくなる。

 ノリントンの言うところの、メイン・テーマによる「凱旋パレード」からは一気にエンディングまで突き進む。

 ノリントンは英語とドイツ語でリハーサルを進めるのだけれど、英語の部分にしか字幕が入っていません。

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ベルリオーズ イタリアのハロルド(マゼール)

CD

 ■ H・ベルリオーズ作曲/イタリアのハロルド

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 ▲ L・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団

 1977年録音。ヴィオラ独奏のロバート・ヴァーノン(Robert Vernon)はクリーヴランド管の首席奏者。

 パガニーニの依頼で書き始められたという曲。第1楽章は独奏ヴィオラも活躍し、『協奏曲』的雰囲気もあるけれども、第2、3楽章と怪しくなり、第4楽章の主部では一切出番が無くなる。最後近くにまた少しだけ登場するものの、エンディングはオーケストラのみ。何とも不思議な(いびつな)構成になっている。

 独奏がヴィオラだったり、ソリストが手持ち無沙汰になるためか、コンサートで演奏される機会は「幻想交響曲」に比べると圧倒的に少ない。

 個人的には「幻想…」は前半3楽章がどうも退屈しがちで、「…ハロルド」の方がよりコンパクトにまとまっているので、通して聴くならこちらの方がいい。

 私がよく聴くのはこのマゼール盤。クセのある部分もあるにしても、全曲を通して引き締まった緊張感があり、何より響きがすっきりして重くないのがいい。

 ウィーン・フィルを振った「ロメオとジュリエット」(こちらもいい演奏)との2枚組CD。

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ベルリオーズ 幻想交響曲(フルネ&都響の映像)

DVD

 ■ H・ベルリオーズ作曲/幻想交響曲

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 ▲ J・フルネ指揮/東京都交響楽団

 2003年4月24日、東京芸術劇場でのライブ録画。このコンサートは会場に聴きに行きました。

 かつて、コンサートで何回となく聴いたこのコンビ。今、こうやって映像で観ることができるのは、とても嬉しく、そして懐かしい。

 フルネさん、当時90歳。その指揮は、びっくりするほど力強い時もあるけれども、危なっかしく、ヒヤヒヤするところも多い。思い入れなく純粋に観れば、ちょっとつらいかもしれない。

 この頃は、すでに体調を悪くされていて、この日もプログラムの変更があったと記憶している(当初のメインは「イタリアのハロルド」)。

 できれば、元気な頃のこのコンビを観たかった...歳をとってから崇められるのが世の常ではあるけれども...。

 演奏そのものは奇を衒うことのない、静かな中にも緊張感が漂う。この曲をフルネさんの棒の下で何度も演奏してきたからこその演奏ではなかろうか。

 昨今、やたらと芝居がかった演奏が多い中、こういう「幻想…」は貴重だ。

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ベルリオーズ 幻想交響曲(アルヴィド・ヤンソンス)

CD

 ■ H・ベルリオーズ作曲/幻想交響曲

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 ▲ アルヴィド・ヤンソンス指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

 1971年4月12日のライブ録音(ステレオ)。

 今では「マリス」かもしれないけれども、一昔前は指揮者の「ヤンソンス」と言えば「アルヴィド」でした。

 そのアルヴィド・ヤンソンスはマリス・ヤンソンスの父上。東京交響楽団とのつながりが深く、永久名誉指揮者の称号を与えられています。

 で、この演奏。かつてのソビエト系の指揮者にありがちな、マッチョなパワーや統率力で聴かせる音楽とは違う。ロシア的な土臭さも無く、西欧的に洗練された雰囲気がある。第1楽章の繊細で細やかな弦楽器などとてもいい。

 木管は当時のソビエトらしいペラペラな音。金管はよく鳴っているけれど、ロシア臭は少ない。鐘は音程のハッキリしたクリアな音。

 しかしながら、一番興味深いのは、例えば第4楽章のエンディングで音を一つ一つふくらませたり、第5楽章の「怒りの日」のトロンボーン etc. のコラールを弱音のテヌートで演奏させたり...こういったやり方が息子のマリスと全く同じなのだ。

 これは、マリス(@息子)が父親のアプローチを継承していると考えていいのだろうか。

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ベルリオーズ 幻想交響曲(ロジェストヴェンスキー&レニングラードPO)

CD

 ■ H・ベルリオーズ作曲/幻想交響曲

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 ▲ G・ロジェストヴェンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

 1971年9月9日、ロンドンでのライブ録音。音はずいぶん遠い感じがする。

 まずは、前半3楽章が(意外にも)とてもいいのだ。

 ロシア(ソビエト)のオケとは思えないような、細やかで繊細なニュアンスがある。さすがレニングラード・フィル。

 第3楽章、最後のティンパニは雷が次第に近づいてくる、不穏な雰囲気。

 で、第4楽章。ここからが問題で、ずけずけと無遠慮に金管楽器が割り込んでくる。

 当然、予想はしていたし、期待(?)もしてはいるのだけれども、それにしても、ニュアンスもない、無味乾燥な音は、前半とのギャップが激しい。

 金管が入ってこない部分、第5楽章の導入などはとてもいい。

 これが下手なオケ(文化省オケとか)ならば、笑って済ませるかもしれないけれども、上手なだけに、もうちょっと何とかならなかったのかと思ってしまう。

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