ウォルトン

ウォルトン 戴冠式行進曲「宝玉と王の杖」

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 ■ W・ウォルトン作曲/戴冠式行進曲「宝玉と王の杖(Orb and Sceptre)」

 1953年、エリザベス2世の戴冠式のために作曲された曲。

 構成はもう1曲の戴冠式行進曲、「王冠」とほぼ同じだけれども、音楽のつくりははるかに凝っていて、演奏の難易度も高い。

 とはいうものの、トリオのメロディは安定の『ウォルトン節』。ファンファーレ風に絡むトランペットがカッコイイ。

 また、特に主部は、もはや「行進曲」というよりも「祝賀曲」とでもいえるもので、さすがにこれで行進はできないと思う。

 調性がホ長調ということもあって(1回目のトリオはハ長調)吹奏楽で演奏されることはないようです。

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 ▲ A・プレヴィン指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

 1986年録音。カップリングの「王冠」共々、サウンドも含めてまず申し分のない演奏。イチ推し。


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 ▲ A・ボールト指揮/ロンドンフィルハーモニー管弦楽団

 1977年録音。ボールトはこの曲の初演者(「王冠」も同じ)。

 速めのテンポで活き活きと、しかし芝居っ気が無く、素朴、かつ、リラックスした独特の味わいを持った演奏。


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 ▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

 1969年録音。

 こちらは遅めのテンポで堂々とした雰囲気を持っている。ただ、ちょっと大味に感じるところもある。


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 ▲ J・ウィリアムズ指揮/ボストン・ポップス管弦楽団

 1980年録音。

 私が最初に聴いたのがこの演奏。「マーチ集」アルバム(LP)に収録されていました。明るく華やかなサウンド。途中ではスウィングするようなノリも聴かれる。


 【映像】

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 ▲ A・プレヴィン指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1982年、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライブ録画。

 指揮をするプレヴィンはとても若々しい。

 ウォルトンの「80歳記念コンサート」。客席には御本人の姿も見られ、トリオの部分では実際の戴冠式の時のニュース映像が挿入されて雰囲気を盛り上げる。

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ウォルトン 戴冠式行進曲「王冠」

music CD

 ■ W・ウォルトン作曲/戴冠式行進曲「王冠」

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 ▲ A・ボールト指揮/ロンドンフィルハーモニー管弦楽団

 1977年録音。

 1937年、ジョージ6世の戴冠式のために作曲された曲。1963年に改訂されてかなり短縮されている。

 吹奏楽で演奏したり、フェネル&イーストマンWE盤などを聴いていたものの、原曲のオーケストラ版は聴く機会が無く、最初に聴いたのはグローヴス盤だったと思う。

 「ABABコーダ」という、「威風堂々」と同様の構成で、その第1番をさらにスケールアップしたような音楽。

 オーケストラでは、作曲者自身による改訂版(短縮版)で録音されることが多いようだけれども(プレヴィン、グローヴス)、最初は吹奏楽版に親しんでいた身からすると、これは、いかにも『カット版』といった感じがして違和感がある(特にコーダ)。

 嬉しいことに、このボールト盤はカット無しのオリジナル版。私はこちらの方がシックリくる。

 確かに吹奏楽向けの音楽ではあるけれども、オーケストラで聴くと、晴れやかさ、厳かさ、気品がさらに加わるように感じる。

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 スコアは以下の2種類が出版されていて、収録されているバージョンが異なります。

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 2曲の「戴冠式行進曲」が収録されているスコア(Oxford版)。「王冠」は原典版。

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 1963年改訂版のスコア(Oxford版)。

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 ▲ A・プレヴィン指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

 こちらは改訂版での録音。2曲の戴冠式行進曲(「王冠」「宝玉と王の杖」)と「交響曲第1番」を収録。演奏は◎。


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 ▲ F・フェネル指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

 吹奏楽版。カット無しの初演版。

 【演奏時間】
  ボールト 8:31
  プレヴィン 6:28 (改訂版)
  フェネル 9:59

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ウォルトン 映画「リチャード3世」の音楽

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 ローレンス・オリヴィエ監督・主演による映画のために作曲された音楽をベースにした作品。

 ■ W・ウォルトン作曲/「リチャード3世」前奏曲

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 ▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

 1983年録音。ムーア・マシーソン(Muir Mathieson)が演奏会用に再構成した曲。

 金管楽器のファンファーレから行進曲風の展開。続く「ラルガメンテ」と指定された、弦楽器とホルンを中心に奏される第2のテーマは、「戴冠式行進曲」のトリオを思わせるような素晴らしいメロディで、ここまでで『ウォルトン節』全開。

 このテーマは「お約束」のように再現部で「マエストーゾ」で全楽器によって朗々と奏される。

 ウォルトンの映画音楽の魅力がビッシリ詰まっている名曲で、何度繰り返し聴いても飽きることが無いし、グローヴズの演奏も、サウンドも含めて申し分ない。


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 ▲ B・ハーマン指揮/ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団

 1974年録音。映画音楽作曲家のバーナード・ハーマン指揮による録音。

 イギリス映画の映画音楽を集めたアルバム。ハーマン自身はヒッチコック作品や「第三の男」などの映画音楽を書いています。

 演奏時間10分弱でグローヴズ盤よりも約2分長い。ちなみにスコアに書かれている演奏時間は7分半。

 オープニングから堂々と、ゆったりとしたテンポで進められる。楽器のバランスなど、より『映画音楽』の雰囲気が強い。

 そして、中間部から再現部も非常にゆっくりとしたテンポで進められ、確かに劇的かもしれないけれども、とても重々しく大袈裟にも感じる。そして、そのテンポ設定のせいかエンディングでは2小節のカットがある。

 一般的にはまずはグローヴズ盤がオススメ。


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 ▲ W・ウォルトン指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1963年録音。作曲者自身の指揮。演奏時間は7分半でスコアの指定通り。

 冒頭部分は何だか忙しない。再現部はゆったりとしたテンポ設定だけれども、最後のトランペットは苦しそう。

 やはり、本職のグローヴズに一日の長があるように感じる。
 

 【吹奏楽版】

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 ▲ E・バンクス指揮/英国王立空軍中央軍楽隊

 1986年録音。リチャードソン編曲の吹奏楽版。

 中間部が大きくカットされていて、演奏時間は約5分。

 カットはあるものの聴き所が押さえられているので、『コンサート・マーチ』的な雰囲気で意外に楽しめる。


 ■ W・ウォルトン作曲/「リチャード3世」~シェイクスピア組曲

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 ▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

 以下の6曲を組曲としてまとめたもの。編曲は「前奏曲」と同じM・マシーソン。

  1. Fanfare
  2. Music Plays
  3. The Princes in the Tower
  4. With Drum and Colours
  5. I would I knew thy heart
  6. Trumpet Sound

 「組曲」として見ると今一つ盛り上がりに欠けるけれど、それぞれの曲はとても面白く聴ける。作曲者自身の指揮による録音もあります。


 ■ W・ウォルトン作曲/「リチャード3世」~シェイクスピア・シナリオ

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 ▲ N・マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団

 1989年録音。こちらの編曲はクリストファー・パーマー。

 10曲で構成されて、第3曲「モノローグ」には英語によるナレーションが加わる。

 「前奏曲」と「シェイクスピア組曲」に含まれている曲は全て入っているけれど、オーケストレーションは異なっていて、チェンバロやパイプ・オルガンなども使われている。

 演奏時間は約45分。ちょっと長いけれども変化に富んだ音楽が楽しめる。

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 この映画が日本で公開されたときのパンフレット。近所の古物市で見つけました。

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 上記のパンフレットからスタッフのリスト。「前奏曲」と「組曲」の編曲者マシーソンが指揮を担当しています。

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ウォルトン 交響曲第1番(ハイティンク)

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 ■ W・ウォルトン作曲/交響曲第1番

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 ▲ B・ハイティンク指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1981年録音。

 ガッシリと重量感のある演奏。金管楽器の迫力も申し分無し。しかし、ホルンの鳴りは尋常ではない。

 ハイティンクは実績の割には人気が突き抜けてこないようにも感じるけれど、このウォルトンは本当に素晴らしい。

 『イギリスもの』という枠を超えた、ショスタコーヴィチにも匹敵するようなシリアスな交響曲として見事に演奏していて、テンポを遅目に取った第3楽章の『憂鬱な』表現も見事だし、終楽章冒頭もただ鳴らすだけではなく、コーダとの統一感を見事に保っている。

 冒頭、繰り返される弦楽器の刻みのリズムの上に前進する音楽はシベリウスが思い浮かぶ。

 氏の映画音楽系とは異なっているが、両端楽章はとにかくカッコイイ。30代前半のウォルトン、ひたすら押しまくり、『血気盛ん』という言葉がピッタリ来る。

 終楽章のコーダからは2台のティンパニが加わり、最後は「どうだ!」とばかりのエンディング。ここの間(ま)もシベリウスだ。

 そう頻繁に聴こうという気持ちにはなれない、高カロリーな音楽と演奏。

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ウォルトン 「ヘンリー5世」組曲

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 ■ W・ウォルトン作曲/「ヘンリー5世」組曲

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 ▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

 1983年録音。

 1945年に製作された同名の映画(監督・主演はローレンス・オリヴィエ)のために書かれた音楽から、ミューア・マシーソンが作曲者の承認を得て編曲した演奏会用組曲。

  1.序曲「グローヴ座」
  2.パッサカリア「ファルスタッフの死」
  3.突撃と戦闘
  4.彼女の唇に触れて分かれなん
  5.アジンコート・ソング

 「1」は、まさに「これからお芝居が始まる」といった雰囲気のルネサンス風音楽。華やかなトランペット。

 「2」と「4」は弦楽合奏のための繊細で美しいナンバーで、この2曲だけ取り出されて演奏されることも。

 「3」は打楽器、金管も活躍するドラマチックな展開を見せ、終結部では「オーベルーニュの歌」の「バイレロ」が引用。この曲はプロコフィエフ作曲の「アレクサンドル・ネフスキー」(「氷上の戦い」)の影響を受けているように思える。

 「5」は金管楽器が晴れやかに、高らかに民謡に基づくメロディを奏する大団円。

 構成もよく変化に富んでいて、とても聴き応えがある『組曲』になっている。

 そして、LP時代に愛聴していたグローブスの録音が、ようやくCD化されました。嬉しい!!

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 ▲ A・プレヴィン指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

 1986年録音。グローヴズの録音がCD化されるまではこれを聴いてました。大人しい感じがしてちょっと物足りない。ただ、カップリング(メイン)の「ベルシャザールの饗宴」は◎。


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 ▲ W・ウォルトン指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 作曲者自身の指揮による1963年の録音。活き活きとした演奏だけれども、『聴かせる』というところではグローヴズに一日の長が。


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 ▲ N・マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団

 弦楽合奏のための2曲(「ファルスタッフの死」「彼女の唇に…」)を収録。

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ウォルトン 「スピットファイア」前奏曲とフーガ

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 ■ W・ウォルトン作曲/「スピットファイア」前奏曲とフーガ

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 ▲ フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(PJBE)

 1976年録音。E・ハワースの編曲による金管アンサンブル版。

 映画「スピットファイア」の音楽による管弦楽曲。「スピットファイア」はイギリスの戦闘機の名前。

 私がこの曲を最初に知ったのが、このPJBE盤(LP)。

 「映画音楽による作品」と解説には書いてあったけれども、原曲がオーケストラ作品だと意識したことは無く、それほど金管アンサンブル作品として見事にハマッている。

 前奏曲のファンファーレと、それに続く気品のある行進曲は、ウォルトンのこの手の作品(そしてイギリス音楽)ならではの魅力がある。

 後半のフーガは単なるテクニックの披露だけではなく、活き活きとした、むしろ粗いくらいの音楽の勢いが素晴らしい。

 とにかくカッコよくて、何度も繰り返し聴いた演奏。

 オーケストラによる(原曲の)CDも持っているけれども、この曲を聴くときは何時でも、このPJBE盤なのだ。

 その昔、PJBEの来日公演がTV放映され、それを観た私と同世代の金管奏者が、どれだけPJBEに『かぶれ』たことか。

 このCDに収録されているP・リーヴ編曲の「フランス ルネサンス舞曲集」。冒頭のピッコロ・トランペットのソロを聴くと、演奏云々以前に、何とも言えない懐かしさで胸が一杯になる。


 【管弦楽版】

 以下は管弦楽による録音。

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 ▲ N・マリナー指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

 映画音楽による管弦楽曲を中心にウォルトン作品を収録した、ファンには堪らない1枚。

 収録曲は以下の通り。

  「スピットファイア」前奏曲とフーガ
  戦時のスケッチブック
  組曲「逃げちゃ嫌よ」
  「三人姉妹」映画からの音楽
  組曲「ブリテンの戦い」(空軍大戦略)


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 ▲ W・ウォルトン指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 作曲者自身の指揮による映画音楽をまとめたアルバム。収録曲は以下の通り。

  「リチャード3世」前奏曲
  「リチャード3世」組曲
  「ヘンリー5世」組曲
  「スピットファイア」前奏曲とフーガ
  「ヘンリー5世」映画からの情景

 「ヘンリー5世」は映画の監督・主演のL・オリヴィエの語り付き。


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 ▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

 グローヴズが指揮したイギリス音楽の録音をまとめたボックス・セット。ウォルトン作品も数多く収録されています。

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ウォルトン オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」(プレヴィンの映像)

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 ■ W・ウォルトン作曲/オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」

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 ▲ A・プレヴィン指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1982年ライブ録画。ウォルトンの「80歳記念コンサート」。

 大編成のオーケストラに大合唱、それに左右に配置された2群の金管部隊が加わる大スペクタクル。深刻なところはなく、映画音楽にも通ずるような分かりやすさで、グイグイと押してくる。

 プレヴィンもまだスリムで若々しく、コーラスも随分と気合が入っている熱演。

 演奏後はウォルトン氏も満足げな様子で、オーケストラ、聴衆からの拍手に涙ぐみ、会場からは「ハッピー・バースデー」の合唱が自然と湧き上がる。

 氏がイギリスでの『国民的作曲家』であることが実感される。演奏の素晴らしさはもちろんのこと、記念すべきコンサートのドキュメントとして、ウォルトン・ファンは是非。

 その他に戴冠式行進曲「宝玉と王の杖」、ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:チョン・キョンファ)を収録。

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