ルロイ・アンダーソン

ルロイ・アンダーソンの音楽(DVD)

DVD

 ■ The Music of LEROY ANDERSON(ONCE UPON A SLEIGH RIDE)

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 "ONCE UPON A SLEIGH RIDE" というドキュメンタリー(ナレーションは英語)をメインとしたDVD。

 多くのアンダーソン作品の演奏風景が収録されていて、そんな中でも何と言ってもボストン・ポップスを指揮するA・フィードラーの姿が観れるのが嬉しい。

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 また「タイプライター」ではアンダーソン自身が指揮をして、フィードラーがパーカッション(ギロ)を演奏する微笑ましい(?)シーンも。

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 フィードラーは(指揮姿も含めて)意外にマジメな感じの方。上記のギロの演奏でも、真剣な表情で楽譜を見ている。

 私の世代にとってはボストン・ポップスと言えばフィードラー。こうやって実際の姿を見ることが出来るとは...これだけでこのDVDを買った価値があります。

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 また、F・フェネルがインタビューに登場し、吹奏楽団(アマチュア?)を指揮して「舞踏会の美女」を演奏する。

 ボストン・ポップスの他の2人の指揮者、J・ウィリアムズとK・ロックハートももちろん登場。

 さらには小澤征爾が本家ボストン・シンフォニーを指揮して「フィドル・ファドル」を演奏。ちょっとのんびりした感じだけど、金管奏者による歌の「余興」が入って盛り上がる。

 特典として「アメリカン・ミュージカル・シアター」というTV番組が入っていて、そこではL・アンダーソンがゲストとして出演し、自作を何曲か指揮するだけでなく、「忘れし夢」ではピアノも弾く。

 「L・アンダーソン」「A・フィードラー」「ボストン・ポップス」というキーワードに反応する人は観て損はないソフト。

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L・アンダーソン クリスマス・フェスティヴァル

CD

 ■ L・アンダーソン作曲/クリスマス・フェスティヴァル

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 ▲ L・スラットキン指揮/BBCコンサート・オーケストラ

 吹奏楽編曲版もよく演奏されるけれど、クラシカルなスタイルの『クリスマス・メドレー』としては、選曲も含めて最強、「決定版」と言えるのではなかろうか。

 もし同様のメドレーを作ろうとしても、どう転んでも、この曲の二番煎じにしか成りようがないし、吹奏楽版にしても、残るはポップス・テイストを加えた形での編曲しか道は無い。

 収録曲は以下の通り(登場順)。

  1.もろびとこぞりて(Joy to the World)
  2.ひいらぎ飾ろう(Deck the Halls)
  3.世の人忘るな(God Rest Ye Merry, Gentlemen)
  4.ウェンセスラスはよい王様(Good King Wenceslas)
  5.天には栄え(Hark! The Herald Angels Sing)
  6.牧人ひつじを(The First Noel)
  7.きよしこの夜(Silent Night)
  8.ジングルベル(Jingle Bells)
  9.神の御子は今宵しも(O Come, All Ye Faithful)

 「9」は「8」にかぶさってくる形で演奏され、この曲のクライマックスを築き、エンディングで加わるパイプ・オルガンが雰囲気を盛り上げる。

 録音としてはフィードラー&ボストン・ポップス盤が定番かもしれないけれども、このスラットキン盤はアルバムとしての選曲も素晴らしく、アンダーソン作品の2枚目のアルバムとしては最高の1枚。

 有名曲の歌入りバージョンや、「野ばらに寄す」のアンダーソンによるオーケストラ編曲版も収録されています。

 【収録曲】
  アイルランド組曲
  野ばらに寄す(マクダウェル作曲)
  夏の空
  スコットランド組曲
  ブルータンゴ(*)
  忘れられた夢(*)
  舞踏会の美女(*)
  アルマ・マター
  クリスマス・フェスティヴァル

 (*)この3曲は歌が入っています。


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 ▲ A・フィードラー指揮/ボストン・ポップス管弦楽団

 1959年録音。

 裸の楽器を袋に無造作に詰め込むのはいかがなものか...という気もするけれど、そんな細かいことは気にしない大らかさが魅力の演奏。

 「くるみ割り人形」や「ヘンゼルとグレーテル」などのクラシック曲からポピュラー作品まで。クリスマスのオーケストラ曲集として、いかにもアメリカンな雰囲気が漂う楽しい一枚。

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L・アンダーソン 忘れられし夢

CD

 ■ L・アンダーソン作曲/忘れられし夢

 ルロイ・アンダーソンと言っても、「トランペットの休日」や「タイプライター」のような、元気のいいアップ・テンポの曲ばかりではない。

 それが、この「忘れられし夢(Forgotten Dreams)」。

 曲の作りは実にシンプルで、メロディは2つしかない。

  A1 ピアノのメロディ
  A2 弦楽器による繰り返し
  B  新しいメロディによる中間部
  A2 弦楽器の再現
  A1 ピアノの再現

 ピアノのパートは簡単で、アンダーソン自身がピアノを弾きながら指揮をしている映像が残っている。

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 音楽はアンダーソンそのもの。どこか懐かしく、そして幸せな気持ちにさせてくれる。最後の「A1」の再現の前に現れる間(ま)の、何と絶妙なことか。

 ちなみに、アンダーソン自身による吹奏楽編曲版(B♭)もあり、ピアノ、フルート、どちらでも演奏できるように書かれている。ただ、フルートだと音域的にちょっと低目。

 私が所有しているCDは下記の3種類。

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 ▲ L・スラットキン指揮/セントルイス交響楽団

 この曲を初めて知った録音で、一番気に入っている演奏。洗練された繊細な音楽が、この曲にマッチしている。


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 ▲ L・アンダーソン指揮

 1954年録音。ピアノはアンダーソン自身が担当。より伸びやかに、ヴァイオリンの微妙なポルタメントがとてもいい雰囲気を出している。


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 ▲ M・アブラヴァネル指揮/ユタ交響楽団

 1967年録音。素朴な味わい。ピアノの旋律をフルートで演奏。


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L・アンダーソン ピアノ協奏曲(L・スラットキン)

 CD

 ■ L・アンダーソン作曲/ピアノ協奏曲

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 ▲ L・スラットキン指揮/BBCコンサート・オーケストラ

 ピアノ独奏はJ・ビーゲル。2006年録音。

 1953年に作曲、何回か演奏された後に作曲リストから外された曲で、それが作曲者の死後1989年になって復活演奏されたというものだそうです。

 形式的にもシリアスなコンチェルトではあるけれども、当然のことながらムツカシイ所が全くない、楽しく親しみやすい音楽。

 ロマンチックな雰囲気を持つ第1楽章はラフマニノフを下敷きにしているのか(後半のホルンのソロなど)。

 第2楽章の中間部のパーカッションのリズムとか、民俗ダンス風の第3楽章の冒頭のスネア・ドラムとピアノの掛け合いとか、色々と仕掛けが面白い。

 ただ、彼の小品に聴かれるような、一聴「これはアンダーソンだ!」というような唯一無二の雰囲気は(無くはないけど)少なく、そこがお蔵入りになった理由だろうか。

 カップリングは「トランペットの休日」「ブルー・タンゴ」「舞踏会の美女」「フィドル・ファドル」等々の小品。

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L・アンダーソン そりすべり(オーマンディ)

CD

 ■ L・アンダーソン作曲/そりすべり

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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1972年録音。

 クリスマスの定番ともいえるこの有名曲。

 オーマンディが使用しているスコアはオーケストレーションが変更(編曲)されていて、より華やかで、ゴージャスな雰囲気を持っている。

 演奏そのものも恰幅がよく、堂々としたもの。ちょっと立派過ぎ??

 しかし...途中、メロディがジャズ風にスウィングする部分と、最後のトランペットによる馬のいななきがカットされているのだ(別の音楽になっている)。

 早い話が、この曲の『キモ』とも言える部分が無くなってしまっていて、特に後者は「これ無くしてはアンダーソンの『そりすべり』ではない」と言っても過言ではない。

 こういった『遊び』はオーマンディの感性/趣味に合わなかったのだろうか...ちなみに、これがオーマンディの唯一のアンダーソン録音だそうです。

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L・アンダーソン作品集(スラットキン&セントルイス響)

CD

 ■ L・アンダーソン作品集

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 ▲ L・スラットキン指揮/セントルイス交響楽団

 1993~1995年録音。

 丁寧に、品良くまとめた演奏。

 アンダーソンと言えばフィードラー(&ボストン・ポップス)だけれども、このスラットキンもいい。

 NAXOSにシリーズで録音しているけれども、オケはこちらの方が断然上手い。

 CDになって収録時間が増えたおかげで、フィードラー盤には入っていない曲も入っていて、全25曲収録。

 中でも「クラリネット・キャンディ」や「忘れし夢」が入っているのは嬉しい。

 時代ゆえか、さすがに「クラシックのジューク・ボックス」は入っていません。

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L・アンダーソン アイルランド組曲

CD

 ■ L・アンダーソン作曲/アイルランド組曲

 演奏時間20分、下記の6曲から成る組曲。

 ボストンのアイルランド協会から委嘱されて作曲。指揮者のA・フィードラーに捧げられています。

  1.アイルランドの洗濯女 The Irish washerwoman
  2.ミンストレル・ボーイ The Minstrel Boy
  3.マローの道楽者 The Rakes of Mallow
  4.緑が野に The Wearing of the Green
  5.夏の名残のバラ The Last Rose of Summer
  6.別れたあの娘 The Girl I Left Behind Me

 アイルランド民謡をベースにした曲で、「5」は「庭の千草」としても有名なメロディがヴァイオリンのソロで歌われる。

 いずれもメロディはシンプルなものだけれども、それを3,4分のオーケストラ作品に見事に仕立て上げていて、それぞれ単独で聴いても楽しめる。アンダーソン、侮るなかれ。

 この中でのお気に入りは「2」。戦場へ送られた詩人を歌った曲で、穏やかなテンポだけれども、終始刻まれるドラムのリズムとトランペットの響きが戦いを暗示し、決して『暗い』メロディではないのに、心に滲みる哀しみを感じさせる音楽。

 ちなみに、当初は4曲から成る組曲(1,2,3,6)として初演され、その4曲については作曲者自身による吹奏楽編曲版が存在します。

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 ▲ L・スラットキン指揮/BBCコンサート・オーケストラ

 2007年録音。まずはこちらを。

 BBCコンサート・オーケストラはBBC専属のポップス・オーケストラだそうです。


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 ▲ A・フィードラー指揮/ボストン・ポップス管弦楽団

 初演コンビによるライブ録音。会場のざわめきがリラックスしたコンサートの雰囲気を感じさせます。

 「3」と「6」を入れ替えて演奏。

【余談】

 「ミンストレルボーイの主題による変奏曲」という吹奏楽が存在するようです。作曲はあの樽屋雅徳。

 また、P・グレイアム作曲の「ゲールフォース」でも、この「ミンストレル・ボーイ」の旋律が使用されています。

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L・アンダーソン クラシックのジューク・ボックス(フィードラー)

CD

 ■ L・アンダーソン作曲/クラシックのジューク・ボックス

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 ▲ A・フィードラー指揮/ボストン・ポップス管弦楽団

 「タンホイザー」(ワーグナー)の行進曲、「ファウスト」(グノー)のワルツ、「ハンガリー狂詩曲第2番」(リスト)という、有名クラシック曲のメドレー。

 ただ、この3曲を「『ジューク・ボックス(もちろんアナログ・レコードの)』で聴く」という趣向。

 曲の移り変わりが何とも可笑しいのだけれども、途中の「針飛びネタ」はCD世代やネット(ダウンロード)世代には、もはや意味不明ではなかろうか。そして、これが『分かる』世代は、やがては絶滅するであろう...。

 ちなみに、解説書では2曲目を「ファウストの劫罰」(ベルリオーズ)から「妖精の踊り」と書いているけれども、それは間違いです(「ファウスト」違い)。

 アンダーソンと言えば、やっぱりフィードラー。「一家に一枚」的なCD。

 ライブ録音の「アイルランド組曲」が入っているのも嬉しい。

 その他にも、「タイプライター」「ワルツィング・キャット」「シンコペーテッド・クロック」「トランペット吹きの休日」「そりすべり」等々...よくこれだけのアイデアが出てくるものだと感心する。

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L・アンダーソン名曲集(アブラヴァネル)

CD

 ■ ルロイ・アンダーソン名曲集

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 ▲ M・アブラヴァネル指揮/ユタ交響楽団

 1967年録音。

 アンダーソンと言えば、まずは本家フィードラー。そして、スラトキンや作曲者の自作自演盤あたりが思い浮かぶけれども、このアブラヴァネルもまた別の味わいがある。

 スラトキンのように今風、都会風に洗練されていない、ローカルな(田舎臭い?)雰囲気がとてもいいのだ。

 LPをそのままCDにしているので収録時間45分。今の季節にピッタリの「そり滑り」に始まって「セレナータ」まで15曲。有名曲はほとんど入っている。

 「忘れられし夢」は、ピアノではなくてフルートのソロ。

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L・アンダーソン 我が母校(L・スラットキン)

CD

 ■ L・アンダーソン作曲/アルマ・マータ(我が母校)

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 ▲ L・スラットキン指揮/BBCコンサート管弦楽団

 NAXOSから出ている管弦楽作品集の「第4集」に収録。

 以下の4曲から成る組曲で、演奏時間は6分半。

  1.教会の鐘(Chapel Bells)
  2.メイン・ストリートの新入生(Freshman on the Street)
  3.図書閲覧室(Library Reading Room)
  4.同窓会(Class Reunion)

 「アルマ・マータ(Alma Mater)」とはラテン語で母校(出身校)を意味し アンダーソンの母校であるハーバード大学への思いを綴った組曲。

 1曲目は、そのタイトル通りの美しい音楽。そして2曲目...。

 毎年4月になると、いかにも「私、新入社員です」といった風情の若者をよく見かけるけれど、この曲も、本人は得意気なのだけれども、周りから見ると何だか間が抜けている『新入生』と、それをからかう上級生を、効果音も入れて面白おかしく描写している。ふざけて吹いているとしか思えないクラリネットもおかしい。

 3曲目は静かな図書館の風景。心地よい3拍子のメロディが静かに流れ、やがて居眠りしたり、おしゃべりを始める学生が...(効果音入り)。

 そして、最後は母校への誇りを表すような、晴れがましい気分のフィナーレで曲を閉じる。

 とにかく抜群に面白い、アンダーソンの『隠れ名曲』。

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