スペインの作曲家

アルベニス セビリアの聖体祭(フェネル)

music CD

 ■ I・アルベニス作曲(カイエ編)/セビリアの聖体祭(「イベリア」から)

 Trittico

 ▲ F・フェネル指揮/ダラス・ウィンド・シンフォニー

 L・カイエ編曲による吹奏楽版。1992年録音。

 編曲者のカイエ(Lucien Cailliet(1891~1984)はフランス生まれ。フィラデルフィア管のメンバーで専属アレンジャー。吹奏楽関連では「エルザの大聖堂への行列」の編曲者として有名です。

 アルボスによる管弦楽版が知られているけれども、このカイエ版はおそらくオリジナルのピアノ曲からの編曲。所々に原曲に無いフレーズを加えたりもして、編曲者のカラーを出しているけれど、若干違和感を感じないでもない。

 一部、アルボス版が採用されている部分があるのは、元々そう書かれているのか、フェネルのアイデアなのかは不明。

 オケ版を聴き慣れていると、全体的に響きが厚くて重く、また、ちょっと単調な感じがする。

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ファリャ 「三角帽子」第2組曲(ジュリーニの映像)

music DVD

 ■ M・ファリャ作曲/バレエ音楽「三角帽子」第2組曲

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 ▲ C・M・ジュリーニ指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

 1964年録画。

 ジュリーニと言うと『悠然と構えた大家』というイメージもあったのだけれども、(少なくともこの映像のジュリーニは)全くそんなことはない。

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 決してスマートさはないのだけれど、思いっ切り力の入った、また、熱のこもった指揮ぶり。

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 画面で観るだけで、そのパワーに圧倒されてしまう。

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アルベニス(アルボス編) 「イベリア」から

music CD

 ■ I・アルベニス作曲(アルボス編曲)/「イベリア」組曲から

 ピアノのための曲集「イベリア」からの、アルボスによるオーケストラ編曲版。

  1.エヴォカシオン
  2.セビリアの聖体祭
  3.トゥリアーナ
  4.港
  5.エル・アルバイシン

 これに、単独のピアノ曲から編曲された「ナバーラ」を加えて演奏(録音)されることもある(アンセルメ、バティス)。

cd

 Iberia

 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1960年録音。ピアノ曲からの編曲である「ナバーラ」を加えての6曲を演奏。

 「エヴォカシオン」の冒頭、アルボス版では原曲にはない2小節が追加されているのだけれども、アンセルメはそれをカットしてオリジナルに合わせている。

 「セビリアの聖体祭」は最も演奏時間が長く(8分)、ドラマチックな展開。

 原曲は元々オーケストラ的な曲想でもあり、鐘なども含む多彩な打楽器の効果なども加えたオケの効果は大きい。

 私がこの曲を最初に聴いたのはこのアンセルメのLP盤で、「恋は魔術師」とのカップリングだった。

 お目当てはファリャの方だったのだけれども、一聴してすぐに、この曲(演奏)が気に入って、それ以来、何度となく繰り返し聴いた。

 その後、いくつかの録音を聴いたけれども、やはりこのアンセルメ盤が一番。

 各楽器のソロが鮮やかに浮かび上がり、明るい太陽の光を感じさせるような色彩感がある。

 『スペイン風』ではなく、紛れもない『スペイン音楽』。同郷の作曲家、アルボスの編曲も踏み外すようなことはしていない。

 例えば「三角帽子」などが好きな人なら、間違いなく楽しめると思う。

 カップリングはヴィラ=ロボス作曲の「ピアノ協奏曲第1番」。


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 ▲ E・バティス指揮/メキシコ州立交響楽団

 「エヴォカシオン」の鄙びたローカルな雰囲気、「港」の熱っぽいリズムが魅力。

 ただ、「エヴォカシオン」でイングリッシュ・ホルンが2小節早く飛び出したり、「セビリアの聖体祭」の終結部の「鐘」のパートが、「鉄琴」で「♪チ~ン」と鳴ったり、相当に大らか(?)ではある。

 で、問題は最後の「ナバーラ」。指揮者の気合いを入れる唸り声と共に、一気呵成に突っ走る。音楽のニュアンスも何もあったものではない。

 アンセルメやライナーが5分以上かけているのを、バティスは3分台。


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 ▲ C・ミュンシュ指揮/フランス国立放送管弦楽団

 1966年録音。グイグイ押してくる、熱っぽく大柄な演奏。

 「エヴォカシオン」冒頭の和音からハイ・テンション、「トゥリアーナ」などは思いっ切り力が入る。

 弦のポルタメントや、サキソフォンの一節、等々。あちらこちらに『フランス的』な香りが漂う。


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 ▲ Y・パスカル・トルトゥリエ指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1990年録音。 トルトゥリエ氏は有名なチェロ奏者、ポール・トルトゥリエ氏の息子さん。

 原色ではなく淡い暖色系。オケも上手いし、過不足無く、強烈なキャラが無い分、とても聴き易い演奏。ただ「この演奏でなければ!」という魅力は少ない。


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 ▲ J・P・ヴァイグレ指揮/ドレスデン・フィルハーモニー

 1989年録音。華やかさはないけれども、堅実に音楽を作っている。

 ただ、地味。色調は暗く、色彩感に乏しい。


 Spain

 ▲ F・ライナー指揮/シカゴ交響楽団

 1958年録音。「セビリアの聖体祭」「ナバーラ」の2曲を収録。

 「セビリアの聖体祭」は速目のテンポで、スッキリと軽快な演奏。で、とにかく上手い。

 オーケストラ曲として見れば、この演奏で申し分ないと思うけれど、どこかクールで醒めた感じがして、スペイン的な情緒であったり、祭りの情景描写としては物足りない。

 「ナバーラ」は一転落ち着いたテンポで、音楽のニュアンスを絶妙に表現している。所々、ラヴェルやドビュッシーの匂いもする。

 アンセルメが太陽の光がまぶしい『真昼』の音楽であれば、このライナーは妖しい気配も漂う『夜』の音楽。

 その他、ラテン系イケイケのバティスなど、同じスコアであっても、こんなにも演奏が違うものかと面白い。

 演奏時間は...

 ・ライナー 5:35
 ・アンセルメ 5:05
 ・バティス 3:49

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アルベニス(デ・ブルゴス編) スペイン組曲

music CD

 ■ I・アルベニス作曲(デ・ブルゴス編曲)/スペイン組曲

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 ▲ R・フリューベック・デ・ブルゴス指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

 1967年録音。ピアノのための組曲からの編曲。

 ただし、オリジナルとは曲順を変えて、「キューバ」を「コルドバ」(組曲「スペインの歌」から)に差し替え。カッコ内がオリジナルの曲順です。

  1.カスティーリャ(7)
  2.アストゥリアス(5)
  3.アラゴン(6)
  4.カディス(4)
  5.セビリア(3)
  6.グラナダ(1)
  7.カタルーニャ(2)
  8.コルドバ

 同じ作曲者の「イベリア」に比べると、はるかにシンプルな音楽で、ストレートにスペイン情緒を楽しめる。

 ブルゴスのオーケストレーションは打楽器も色々加え、カラフルで変化に富み、原曲にはないフレーズを加えたり、どことなくストコフスキーを思わせるところもある。個人的にはちょっとしつこい感じもするけれど...。

 そんな中、「グラナダ」は後半の再現部を情感豊かに盛り上げた名編曲。


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 ▲ E・バティス指揮/メキシコ州立交響楽団

 ブルゴス盤とは違い、最後の「コルドバ」以外の曲順を、オリジナル(ピアノ版)通りに並べ替えている。

 ブルゴス自身の指揮による録音に比べると、オケのせいもあってか、よりローカルな雰囲気が出ていて面白い。

 賑やかさ、元気のよさは相変わらずだけれど、それだけではなく、「グラナダ」の中間部のように、テンポを落としてじっくりと表現するような部分も見られる。

 最後の「コルドバ」も、ブルゴスよりもずっと遅いテンポで、素晴らしい余韻を持って組曲を閉じる。

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グラナドス スペイン舞曲集(管弦楽編曲版)

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 ■ E・グラナドス作曲/スペイン舞曲集(管弦楽編曲版)

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 ▲ S・ブロントス指揮/バルセロナ交響楽団&カタロニア国立管弦楽団

 2000年録音。ラファエル・フェラールによる管弦楽編曲版。

 混成オケなのか、曲ごとにオケが違うのかは不明。

 原曲はピアノ独奏曲だけれど、やはり管弦楽編曲版が知られるアルベニスの「イベリア」組曲に比べるとはるかにシンプルで素朴な音楽。

 オーケストレーションは下手をすると常套的になってしまうし、凝りすぎても曲本来の良さが消えてしまうけれど、この微妙な境界を上手くクリアしている、とてもいい編曲。

 原曲の味わい、スペイン的な情感が、管弦楽の表現力をもってストレートに伝わってくる。

 全12曲から成る曲集(中でも第5番「アンダルシア」はギターなどでも演奏され有名)、通して聴くのが長ければ、それぞれ独立した曲としてお気に入りのナンバーを抜き出して楽しむのも良し。

 「スペインの管弦楽曲」というキー・ワードに反応する人は是非。


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ファリャ オペラ「はかなき人生」から「間奏曲とスペイン舞曲」(アンセルメ)

music CD

 ■ M・ファリャ作曲/オペラ「はかなき人生」から「間奏曲とスペイン舞曲」

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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1961年録音。昔所有していた「三角帽子」LP盤の余白に収録されていたのがこの曲。

 LP時代、「三角帽子」と言えばアンセルメ。そのLP盤の余白に収録されていたのがこの曲。

 「三角帽子」と同じくらい好きで何度も聴いていたし、「三角帽子」に負けないほどの名曲だと思う。

 なので、個人的には極めてポピュラーな曲なのだけれども、意外に録音が少なく、実は一般的には殆ど知られていないのかもしれない。私が持っているCDもこれだけ。

 激しく、悲劇的に始まる「間奏曲」と、続いて演奏される8分の3拍子の「スペイン舞曲」。

 揺れ動くリズムに、流れるような旋律。カスタネットなどの打楽器も華やかに加わり、途中の踏みしめるようなリズムなど...全てが『スペイン風』ではなく、スペインそのものの音楽。

 このアンセルメの録音はキレイに丸められていない、濃厚、かつ、生々しさが感じられる。

 「上手・下手」という基準には収まらない。決して聴き易くはないかもしれないけれども、今では聴くことのできない音だ。

 ちなみに「スペイン舞曲」の方はヴァイオリン独奏曲として演奏される機会が多いようです。

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アルベニス セビリアの聖体祭(ストコフスキー)

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 ■ I・アルベニス作曲(ストコフスキー編曲)/セビリアの聖体祭(「イベリア」から)

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 ▲ L・ストコフスキー指揮/ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団

 1976年録音。原曲はピアノ独奏曲(ピアノ曲集「イベリア」の中の1曲)。

 この曲はアルボスによるオーケストラ編曲版が一般的で、こちらはアンセルメやライナーなど、いくつかの録音がある。

 このストコフスキー版、アルボス版を聴き慣れていると、かなりクセがあるように感じるけれども、前半部の雑踏、喧騒、熱狂...「祭り」の情景が映像として目に見えてくるような、素晴らしい音楽だ。

 中間部の祈り。そして、後半部は再び前半の音楽が再現し、最後は余韻を残して静かに曲を閉じる。

 しかし、ストコフスキーの編曲のイマジネーションは見事で、曲の冒頭、微かにホルン、シンバルを響かせるところから、一気に彼の世界に引き込まれる。

 単に音符を楽器に割り当てるというだけではなく、音楽そのものを自分の方へグッと引き寄せる。

 原曲の忠実なオーケストラ編曲というよりも、全く新しいオーケストラ作品を生み出しているようだ。

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