マーラー

マーラー 交響曲第3番(ケーゲルのライブ録音)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第3番

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 ▲ H・ケーゲル指揮/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

 1984年のライブ録音(拍手付き)。とにかく終楽章(第6楽章)が最高の聴きもの。

 これまでの5つの楽章を受けての『帰着点』のような楽章、弱音から始まる冒頭から沈んだ雰囲気が続き、何かのきっかけが見えそうになっても、すぐに不安な音楽で打ち消されてしまう。

 しかし、フルートとピッコロのソロを受けての金管楽器のコラールで初めて光が射し、そこから音楽は素晴らしく高揚し、そして一段落した後の絶妙の静寂があってから、大団円へと向かってゆく。

 演奏後、しばらく間(ま)があってから拍手が起きるのも嬉しい。

 ライブだしオケ(特に金管)も決して『上手』とは言えないかもしれないけれども、それをはるかに超えた感動がここにある。

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マーラー 大地の歌(K・ナガノ)

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 ■ G・マーラー作曲/大地の歌

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 ▲ K・ナガノ指揮/モントリオール交響楽団/K・F・フォークト(テナー)、C・ゲルハーエル(バリトン)

 2009年録音。

 偶数楽章をバリトンが歌う男声版。古くはバーンスタイン&VPO盤から、個人的にはこちらの方が好き。

 やはり印象的なのはフォークトのテノール。朗々と歌い上げるというよりも、ソフトでリリカル、どこか中性的な雰囲気もある。好みは分かれるだろうけれども、私は面白く聴けた。

 しかし、驚くのがこのフォークトの歌が別録りであるらしいこと。

 録音データを見てみると...まず、バリトンがソロを歌う偶数楽章をモントリオールでライブ録音。

 そして、テノールがソロを歌う奇数楽章のオーケストラ部分のみ(カラオケ)をモントリオールでセッション録音。

 そして、それにミュンヘンで録音したフォークトの歌をかぶせて出来上がり。

 当然、音だけ聴いていれば何の違和感もないのだけれども、まさしく『レコード芸術』といったところだろうか。

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マーラー 交響曲第10番(バルシャイ版)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第10番

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 ▲ R・バルシャイ指揮/ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団

 2001年ライブ録音。指揮者のバルシャイによる補筆完成版。

 このバルシャイ版は中間3楽章では打楽器や金管楽器がかなり活躍する。また、終楽章は弦楽器を中心にクック版に比べるとかなり『素直な』オーケストレーションになっているように感じ、ここは、バルシャイ版の方がすんなりと曲を受け入れられる。もちろん、クック版あってのバルシャイ版であるのも確かだとは思うけれど。

 演奏は前向きと言うか、かなり外向的な感じ。

 ストレート勝負。不協和音なんかはそのまま思いっきりぶつけて鳴らす。

 それがマイナスに出たのが第3楽章か。この音楽の微妙なニュアンスが感じられず、結果中間3楽章がやや一本調子になってしまった。

 それでも終楽章、トランペットの引き伸ばされた「A」の音から、第1楽章の主題が再現されてから後の物凄い高揚感は、率直に感動的。

 それにしても第1楽章はマーラーの書いた音楽の中で最も美しい楽章の一つではなかろうか。これはあの世、岸の向こう側の音楽。

 この未完の作品を補筆して完成してしまうことや、このバルシャイ版についてもいろいろと見解はあるだろうし、もちろん、マーラー自身が完成していれば、これとは大きく違ったものになっていたに違いないけれど、この未完の交響曲の全体像が見え、それを実際の『音』で聴けるという意義はとてつもなく大きい。

 全5楽章で、第5楽章の後半部に第1楽章クライマックスでの印象的な不協和音が再現する。それによって、この交響曲が大きなループを描いていることが分かるのだ。

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マーラー 交響曲第1番「巨人」(テンシュテット&CSOの映像)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」

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 ▲ K・テンシュテット指揮/シカゴ交響楽団

 1990年のライブ録画。

 CDでも発売されていて名盤と定評のある演奏の映像版。LD時代から有名な映像ソフト。

 ハーセス(トランペット)、クレヴェンジャー(ホルン)をトップに据えた金管セクションは強力で、押しても引いても微動だにしない。終楽章のコーダでは、横一列に並んだ8本のホルンが起立して演奏。

 この時、ハーセス(1921年生まれ)は70歳目前。それで、この曲を(アシスタントを付けずに)1人で吹き切ってしまう。おそるべし。

 しかしながら、最大の見ものは、やはりテンシュテットの指揮。

 おそらく『職人的』に曲を作るというのとは最もかけ離れたところにあり、それでこれだけのレベルの演奏ができるのは、やはりシカゴ響という機能的にきわめて優れているオケだからこそか(下手すれば崩壊してもおかしくないような)。

 そして、パワーで押す『迫力』のある部分よりも、例えば第3楽章がここまで痛切に感じられたことはないし(ハーセスのプレイが光る)、第4楽章第2主題も素晴らしい。

 テンシュテットはどこか影を感じさせる、落ち着きのなさ、不安、強迫感...これはマーラーの音楽そのもののような気もするけれども、自信の病気(=死)と結び付けてしまうのは短絡過ぎるだろうか。

 ただ、演奏後の「ブラボー」の声は明らかに映像とずれていて、(映像ソフトとしては)ちょっといただけない。

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マーラー 交響曲第7番「夜の歌」(ケーゲル&都響)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第7番「夜の歌」

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 ▲ H・ケーゲル指揮/東京都交響楽団

 1985年、東京文化会館でのライブ録音。

 聴く前は一抹の不安もあったけれど、冒頭、ガシガシと刻まれる32分音符の弦楽器のリズムの上に、テノールホルンの朗々とした音で一安心。ケーゲルの他のライブ録音と比べても十分OKだと思う。

 今では「マーラー・オケ」とも言われている都響でも、当時は演奏経験が少なかったのか。残念ながら事故が何箇所かあり(第1楽章のクラリネットや、第4楽章のエンディングなど)、1回限りのライブとしてはともかく、繰り返して聴くには向かないかもしれない。

 それでも、この演奏は素晴らしい。次に一体何が出てくるのか分からない、得体のしれない音楽。

 もちろん、ルツェルン祝祭管(アバド指揮)などと比べれば、技術的には聴き劣りがするけれども、音楽そのものは断然こちらの方が面白い。

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マーラー 交響曲第7番(クーベリックのライブ録音)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第7番「夜の歌」

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 ▲ R・クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団

 1976年ライブ録音。

 冒頭、弦楽器のざわめき。何が起きるのかという期待感の中、テノール・ホルンが朗々と登場する。とても印象的なオープニング。

 このテノール・ホルンは第1楽章でお役御免だけれども(しかも、吹く部分は極めて少ない)、その大役は十分に果たしたと思う。

 フィナーレの最後は、打ち鳴らされる鐘とカウ・ベルをバックに第1楽章のテーマが高らかに奏され、そのままハ長調のエンディングかと思いきや、引き伸ばされた和音で現実に引き戻される。

 このクーベリックのライブ録音。アッサリとしているので、物足りない人もいるだろうし、ライブゆえ演奏のアラも見えるし、今の基準で見ればオケも非力に感じられる部分もあるかもしれない。

 しかし、何より音楽が自然体だし、単純に楽譜を音にしたというだけではない、活き活きとした生命力を感じる。

 ちなみに、同じコンビのスタジオ録音(国内盤)の記載では、第1楽章を「第1部」、第2~5楽章を「第2部」としている。

 スコアにはそのような区別は無いので何を根拠にしているかは不明だけれど、第1楽章の主部はホ短調(最後はホ長調)。それに対して後半4楽章はハ短調(第2楽章)に始まりハ長調(第5楽章)で終わり、そのような括り方も一理あるように感じる。

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マーラー 交響曲第7番(アバド&ルツェルン祝祭管)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第7番「夜の歌」

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 ▲ C・アバド指揮/ルツェルン祝祭管弦楽団

 2005年のライブ録画。

 音楽は屈託がなく終始明るい。そのまま晴れやかな終楽章に突入して、壮麗なエンディングを迎える。「どこが『夜の歌』だ?!」というところもあるけれども、あくまで名人揃いのオーケストラのパフォーマンスを楽むものだろう。

 第1楽章のテノールホルンはテンプレトン(@ロンドン・フィル首席)が演奏、彼はそのままトロンボーンに持ち替える。しかし、第1楽章で3人いたトロンボーン奏者(+テンプルトンのテナー・ホルン)、終楽章でも3人(トップはテンプルトン)。ということは、1人は途中で退席したのだろうか。

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 管楽器のトップは下記の通り。オーボエ、バスーンはBPOの首席。クラリネットはご存じザビーネ・マイヤー女史(さすが上手!)。ホルンのアレグリニは聖チェチーリア音楽院の首席。フルートのジャック・ズーンはボストン響の首席を務めた方。

 Flute:Jacques Zoon
 Oboe:Albrecht Mayer
 Clarinet:Sabine Mayer
 Basson:Stefan Schweigert

 Horn:Alessio Allegrini
 Trumpet:Reinhold Friedrich
 Tenor Hron/Trombone:Mark Templeton
 Tuba:Robin Haggard

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マーラー 交響曲第1番(ハイティンク&BPOの映像)

music DVD

 ■ G・マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」

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 ▲ B・ハイティンク指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 1994年のライブ録画。

 面白おかしく聴かせたり、自己陶酔型のマーラーではない。確信に満ちた堅実な音楽作りのストレート勝負、盛り上がりでの熱さも十分。

 『マエストロ』としての貫録十分の、素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

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 ホルンのトップは前年に入団したシュテファン・ドール。まだ20代で、見た目も若い!

 ちなみに、第4楽章コーダのホルンの起立は無し...しかし、起立するのを頻繁に見るようになったのは最近の事のように思うのだけれど、どうだろうか。

 木管やホルンのベル・アップも高さが不揃いだし、何となくぎこちなくて、慣れてない感がある。

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マーラー 交響曲第1番(アバド&ルツェルン祝祭管)

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 ■ G・マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」

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 ▲ C・アバド指揮/ルツェルン祝祭管弦楽団

 2009年のライブ録画。客席にはラトルの姿が。オケも聴衆もアバドを暖かく迎える雰囲気がある。

 第3楽章中間部(この曲で一番好きな部分)の繊細な音楽はとても印象的。完全に回顧モードの音楽。

 第4楽章コーダではホルン(と補助のトランペット、トロンボーン)が起立して演奏するが...。

 1989年、カラヤンの後任としてベルリン・フィルの音楽監督に決定、その直後のコンサートのリハーサルにて。

 件の箇所でホルン奏者が(自発的に?)起立すると、アバドは驚いて困惑したような表情を見せる。

 「立つんですか?」

 そしてこう続ける。

 「マーラーの時代ならともかく、今ではやり過ぎでしょう。座ったままで!」

 ...それから20年、心境の変化があったのだろうか。

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マーラー 交響曲第9番(アバド&マーラー・ユーゲント管)

music BD

 ■ G・マーラー作曲/交響曲第9番

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 ▲ C・アバド指揮/グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ

 2004年4月14日、ローマでのライブ録画。

 音は固い(若い?)ように感じるけれど、若い奏者がアバドの棒に懸命に応える姿。もちろん、それは嫌々ではなくて、心から楽しんでいるようにも見える。

 第4楽章最後のクライマックスあたりから会場とステージの照明が次第に暗くなるという『演出』があります。

 やり過ぎと思う人もいるかもしれないけれども、(映像的に)演奏後の沈黙を確保するには、その効果は大きいと思う。

 ただ、終結部の最弱音の効果(緊張感)というのは、会場(ナマ)でなければ味わえないものだろうとも感じる。

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