リムスキー=コルサコフ

リムスキー=コルサコフ スペイン奇想曲(ストコフスキー&CSOの映像)

music DVD

 ■ リムスキー=コルサコフ作曲/スペイン奇想曲

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 ▲ L・ストコフスキー指揮/シカゴ交響楽団

 1962年の録画。

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 ストコフスキーの指揮姿を観ることができる、という点が最大の魅力。ストコフスキーが普通に(?)素晴らしい指揮者であることがよく分かる。

 その昔、日本の『正統派』クラシック・ファンからは、見向きもされなかったストコフスキー。しかし、その指揮は実に真っ当なもので、昨今の指揮者の方がよほど奇異に見える人もいる。

 カットがあったり、スコアに変更が加えられたりしているけれども、ハープのカデンツァではグリッサンドに乗せてテーマの断片を演奏させたり、エンディングの打楽器のクレッシェンドはスヴェトラーノフのようだ。

 後半の「ジプシーの歌」は速いテンポで、さすがのシカゴ響も煽られている感じがする。

 ただし、音は良くないので、純粋にストコフスキーの「スペイン奇想曲」の演奏を聴きたい場合は、後のニュー・フィルハーモニア管とのステレオ録音盤(下記)を。

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 ▲ L・ストコフスキー指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

 1973年録音。ケレン味たっぷりの演奏。上記映像と同様のカット有。

 


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リムスキー=コルサコフ 「雪娘」組曲

music CD

 ■ N・リムスキー=コルサコフ作曲/オペラ「雪娘」組曲

 演奏時間は約12分。とてもコンパクトにまとまった組曲。

  1.導入(プロローグ)
  2.鳥たちの踊り(プロローグ)
  3.行列(第2幕)
  4.軽業師の踊り(第3幕)

 「導入」は鳥の鳴き声と共に春の訪れを描いた音楽で、そのまま続く「鳥たちの踊り」では管楽器が鳥の鳴き声を描写し、民謡風の楽しい旋律。スコアにはオリジナルのオペラと同じコーラスのパートも入っていて、アンセルメはコーラス入りで録音しています。

 荘重でコミカルな雰囲気もある「行列」。終曲の「軽業師の踊り」は単独でも演奏される元気のよい曲。無窮動風の弦楽器の16分音符。

 オーケストレーションは相変わらず見事で、1、2曲目の描写はもちろんのこと、「軽業師の踊り」の第2主題の再現部分では、打楽器と弦・管楽器のリズムの頭打ちと裏打ちが途中で入れ替わるという、非常にトリッキーなスコアを書いている。

 このページには、冒頭部分について「春の訪れを告げる鶏の声・・・」とあって、『鶏(にわとり)の声』とはオーボエとイングリッシュホルンによる、このパッセージのことだろうか。

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 確かに、そう言われてみれば、そのように聴こえてくるけれど、「鶏」と「春」というのは、どうも結び付かない(ロシアの鶏は春になると鳴き出すのか?)。

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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

 スケールの大きな豪快なサウンド。特に「軽業師…」はロシアのオケを思わせるような豪快な鳴らしっぷりで爽快です。


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 ▲ M・ユロフスキー指揮/ベルリン放送交響楽団

 1996年録音。指揮のミハイル・ユロフスキーは、活躍中の若手指揮者、ウラディーミル・ユロフスキーの父上です。

 ロシア的な雰囲気は無いにしても、まとまりがいい、クセの無い演奏はストレートに楽しめる。


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 ▲ G・シュワルツ指揮/シアトル交響楽団

 2011年録音。これも丁寧によくまとめられた演奏。


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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1957年録音。第2曲にコーラス入り。

 かなり古い録音だけれども、今聴いても決して聴き劣りすることが無い。


 【軽業師の踊り】

 終曲「軽業師の踊り」のみの録音。

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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1963年録音。安定のフィラデルフィア・サウンド。


 【オペラ全曲盤】

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 ▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 フェドセーエフがモスクワ放送響の音楽監督に就任してすぐ、1975年の録音。

 3枚組、演奏時間3時間強の長丁場。

 「軽業師の踊り」は『スピード感+重量感』を味わえるパワフルな快演。

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リムスキー=コルサコフ 「金鶏」組曲

music CD

 ■ N・リムスキー=コルサコフ作曲/オペラ「金鶏」組曲

 同名のオペラの音楽をベースに、グラズノフとシテインベルクがまとめた4曲から成る組曲。作曲者の生前に初演されているので作曲者公認のものと思われます。

 終曲の「結婚行進曲」は単独で演奏されることも。

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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団

 演奏はスヴェトラーノフとしてはクセが少なく、落ち着いたテンポでシットリと歌われるメロディックな部分の情感も十分あり、一般の人にも聴き易いし、組曲版の録音として十分オススメできる。

 とは言うものの、「結婚行進曲」のクライマックスで大見得を切るようにテンポを落とし、一気にテンッポ・アップしてのドンチャン騒ぎは本領発揮。

 組曲とは別に「前奏曲」と「結婚行進曲」が録音されていて(いずれもカット有)、こちらは耳に突き刺さるようなギンギンの刺激音と大爆発を楽しめます。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1959年録音。「シェヘラザード」にも通ずるところがある異国風、カラフルで華やかなオーケストラ作品として楽しめる素晴らしい演奏。


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 ▲ G・シュワルツ指揮/シアトル交響楽団

 2011年録音。シュワルツはアメリカの近現代作品の録音でしか知らなかったのだけれども、これが意外にいい。

 軽量級、『ロシア』の雰囲気は薄いけれども、丁寧でまとまりがいい、スッキリとした味付け。特にテンポの速いナンバーでは、きびきびとした音楽運びが気持ちいい。

 収録曲は下記の通り。

  1.組曲「雪娘」
  2.音画「サトコ」
  3.組曲「ムラーダ」
  4.組曲「金鶏」


 【オペラ全曲(映像)】

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 1989年、ボリショイ・オペラ来日公演のライブ録画。指揮はE・スヴェトラーノフ。

 管弦楽の組曲ではよく聴いていたものの、オペラそのものは観るのも聴くのも初めて。

 指揮のスヴェトラーノフは白いスーツにぴかぴかの蝶ネクタイというオシャレないでたち。オケは荒削りながらもパワフルで、第2幕の幕切れで大きくテンポを落としたり、結婚行進曲のクライマックスでも大見得を切る。

 豪華絢爛、バレエのシーンも多くカラフルなステージ、金鶏はバレリーナが演じて、声は吹き替え。

 演奏時間も2時間と手頃だし、国内盤なので日本語字幕つき。来日メンバーリスト付き。

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リムスキー=コルサコフ 「ムラーダ」から「貴族たちの行列」(スヴェトラーノフ)

music CD

 ■ リムスキー=コルサコフ作曲/貴族たちの行列(オペラ・バレエ「ムラーダ」より)

 吹奏楽で接する機会が多い曲で、私もこの曲を知ったのは、かつて所属していた吹奏楽団で演奏したのがきっかけでした。

 華やかなファンファーレに始まり、金管楽器が活躍する堂々とした音楽は吹奏楽に合っているし、かつては演奏頻度も高かったと思うけれども、今はどうなんだろうか。

 スヴェトラーノフ指揮による録音をいくつか。

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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団

 メロディヤ録音の旧盤。録音年は記載されていません。

 野太い金管楽器の音、パワフルでズシズシと大地を踏みしめるような重量感のあるサウンドとリズム。

 見事に統率された最強コンビによる最強演奏。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団

 1993年録音。BMG新録音盤。

 これはこれでいいけれども、個人的にはより強靭な統率力を持った旧録音盤の方が好きです。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1991年録音。「ムラーダ」組曲としての録音で、ホルスト作曲の「惑星」組曲のカップリング。

 オケのせいもあってか演奏はフツーで(「惑星」も同様)、要は面白くない。前2者とは全くの別物。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ロンドン交響楽団

 1978年のライブ録音。

 荒っぽく強打される打楽器はスヴェトラーノフらしさを感じる。

 しかしながらライブなのでこんなものかと思いつつも、冒頭のファンファーレから金管楽器が今一つピリッとせず、ロンドン響ならもっと上手く演奏できたのではと思ったりもするのだ。

 ちなみに、カップリングの「法悦の詩」(1968年ライブ)は超名演です。

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リムスキー=コルサコフ 「ムラーダ」組曲

music CD

 ■ N・リムスキー=コルサコフ作曲/「ムラーダ」組曲

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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団。

 同名のオペラ・バレエによる組曲。

  1.導入
  2.ボヘミアの踊り
  3.リトアニアの踊り
  4.インドの踊り
  5.貴族たちの行列

 「1」はゆったりとした抒情的な音楽で、アルト・フルートが使われている。

 「3」は小クラリネットやピッコロ・トランペットなどの管楽器が活躍する、R=コルサコフらしいオーケストレーションが発揮されたアップテンポのナンバー。

 「4」は「シェヘラザード」の第3楽章を思わせるような異国風舞曲。タンバリンなどの打楽器が効果的。

 金管楽器の華やかなファンファーレに始まる「5」は吹奏楽のレパートリーとしても有名な堂々とした3拍子。

 ヤルヴィ盤は大らかに、豊かに鳴らした演奏で、この手の曲では理屈抜きに楽しめる。

 私が所有しているのは昔購入した3枚組で、デザインはLP盤と同じ。R=コルサコフのオペラからの組曲や序曲を集めた優れもののセット。

 私がN・ヤルヴィ(@父)の名前を初めて知ったのがこの録音でした。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1991年録音。

 1曲目「導入」の暖かみのあるゆったりとした音楽は、後への期待が高まる。

 しかし、2曲目以後の舞曲系のナンバーになると、いたってフツーの演奏。

 重量感が無いのはやむを得ないにしても、金管楽器の鳴りも今一つ湿った感じがして欲求不満気味。

 組曲版の録音は少ないので、スヴェトラーノフ以外の指揮者であればこの演奏でも「まあ、いいか」となったかもしれないけれど...。

 終曲の「貴族たちの行列」はロシア国立響との録音には遠く及ばない。

 そもそも、「惑星」のカップリングに何故にこの曲を...。


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 ▲ G・シュワルツ指揮/シアトル交響楽団

 2011年録音。サウンドは軽量級だけれども、丁寧にまとめられていて悪くはない。

 「リトアニアの踊り」での加速するエンディングは聴かせてくれる。

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リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」

music CD&DVD

 ■ リムスキー=コルサコフ作曲/交響組曲「シェエラザード」

cd

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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1960年録音。昔から名盤として定評のある録音。西欧的な(非ロシア系の)演奏としては、私はまずはこれ。

 LP時代から聴いていたけれども、今聴き直しても本当にいい。

 何と言っても、サウンドに色彩感があり、カラフルな絵巻物を見ているような味わいがあり、でも決してどぎつく(けばけばしく)はならない。

 ローラン・フニヴのヴァイオリンは艶やか。

 冒頭のテーマも、迫力はあるけれども、決してやり過ぎない。ただ、デカイ音を出せばいいというものではない、そのバランスが素晴らしいのだ。

 第2楽章のフランス式バッソンの音。第3楽章は本当に自然に音楽が流れ、その中に何とも言えぬ叙情性が漂う。終楽章は落ち着いたテンポ、勢いだけで持って行くことはない。

 難破の場面でのトロンボーンの迫力、そしてトランペットの輝かしい高音。

 細かいミスや、技術的に危なっかしい部分などあるけれども、それを遥かに超えた魅力のある演奏。

 ただし、コッテリ味の演奏を求める方にはオススメしません。


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 ▲ E・アンセルメ指揮/パリ音楽院管弦楽団

 1954年録音。

 アンセルメの「シェエラザード」と言えばLP時代からスイス・ロマンド管盤が有名だけれども、これもそれに負けないくらいの素晴らしい演奏。

 何と言ってもオーケストラのサウンドが魅力で、ヴァイオリンのソロ、そして、ヴィブラートをたっぷり効かせたホルン。

 アンセルメは例によってスッキリと、これと言って変わったことしてはいないのだけれども、これで十分ではないか。

 例えば、第3楽章「若き王子と王女」の終わり近く(198小節目)のヴァイオリンの旋律。

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 アンセルメはイン・テンポでさらっと流しているようだけれども、ここで感じられる情感、名残惜しさは、他の演奏からは決して聴く事が出来ない。


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 ▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 2003年のライブ録音。VISTA VERA盤。

 少々荒っぽいけれども、とても魅力的な演奏。

 冒頭のユニゾンによる「王の主題」、それに続く木管の和音はいともアッサリと演奏され、あっという間にヴァイオリンのソロに入る。

 主部は重量感がありながら前へ前へと進む音楽、チェロとヴィオラの上下する4分音符、大きな波をかき分けながら進んでいく船の姿が浮かんでくる。

 第2、3楽章はテンポや表情の変化が大きくつけられ、正に物語を聴いているようであり、終楽章の祭りのテンポ、難破の場面の迫力も十分。

 そしてコーダのヴァイオリンのソロの後、何と冒頭の主題が低音で再現する部分(10小節)をカットして、すぐに木管の和音に入ってしまっている...スッキリしているけれども、これはさすがに抵抗がある人もいるだろう。

 ちなみに、1994年録音のCANYON盤は意外に普通(一般向け)だったのに比べ、こちらはフェドセーエフのやりたい音楽をやり、それがこなれてきたような感じがする。

 なので、私は断然こちら(VISTA VERA盤)を取ります。

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 ▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 1994年録音のCANYON盤。ソロ・ヴァイオリンを(何故か)日フィルのコンサート・マスターである木野雅之氏が担当。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ロンドン交響楽団

 1978年録音のEMI盤。

 巨大なスケール、濃厚な雰囲気。他には真似のしようが無い、超ド級の演奏。遅いだけではなく、第4楽章のテンポの速い部分はガンガン攻める。

 スヴェトラーノフが西欧のオケを振ると、意外にフツーになってしまうこともあるのだけれども(例えば、このCDのカップリングのグラズノフ「四季」など)、この「シェエラザード」は大当たり。

 ソビエト国立響を振った古い録音もあるけれども、パワーはさすがにしても、音楽はやや単調で、こちら(ロンドン響)のほうが断然イイ。

 ちなみに、アンセルメ&スイス・ロマンド管盤との演奏時間比較は下記の通り。

  アンセルメ 10:07/11:09/9:34/12:26
  スヴェトラーノフ 12:38/12:46/11:47/12:19


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 ▲ M・ロストロポーヴィチ指揮/パリ管弦楽団

 1974年録音。

 冒頭から、かなり大袈裟な感じがするし、気持ちを前面に出している部分も多いけれども、何はともあれ、オケがパリ管であることが大正解。

 華やかな色彩感があるし、響きが決して重くならずに、指揮者の音楽と上手く中和されている。そして、何があっても、どんな場面でも、オーケストラの『音』で聴かせてしまう。

 これが例えばロンドン・フィルだったら、こうはいかなかったのではなかろうか。


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 ▲ H・シェルヘン指揮/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

 1957年録音。

 第1楽章の海の音楽。遅いテンポの弱音で、驚くほど静かに始まる。確かに『難破』するのは第4楽章なのだからこんなものか。それ以前に、まだ海へ出ていないような感じもする。

 しかし、なぜにそんなに思い詰めているのだ??>シンドバット。

 第2楽章はトロンボーンのソロがやたらと元気がいい。期待の第3楽章は速目のテンポでサクサクと進行する。

 第4楽章前半の「祭り」の場面では、トランペットが「プカプカ」と妙に野暮ったい音を出す。

 そして、クライマックスでの第1楽章の再現。ここは豪快に鳴らしたスケールの大きな音楽。その後の結びの部分も遅いテンポでじっくりと進める。


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 ▲ F・ライナー指揮/シカゴ交響楽団

 1960年録音。

 ロシア的な土臭さはもちろん、情景描写とか物語性とかにも無関心、スヴェトラーノフやロストロポーヴィチの真逆にいるような演奏。

 さすがにこれはアッサリ、スッキリし過ぎ。この曲に何を求めるかだろうけれども、あえてこの演奏を聴きたいとは思わない。

 ただし、第3楽章だけは別。遅めのテンポで、思い入れたっぷりにルバートをかけてメロディを歌わせてくる。

 基本スタンスは他の楽章と同じなのかもしれないけれど、ここだけはとてもイイのだ。ライナーってこういう演奏もするのか...。


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 ▲ V・ゲルギエフ指揮/キーロフ管弦楽団

 2001年録音。

 オケの響きは厚く、ぎとぎとの超濃厚な雰囲気。ヴァイオリンのソロによるシェエラザードのテーマは、美しいお姫様というより、怪しげな占い師のオバ●ンのよう。

 しかしながら、第1楽章はとても音楽の流れがいい。第2、3楽章も同様なのだけれども、基本『メロディ』で押してくる。よく見れば、この曲は単純にメロディがつながっていて、それにいかにお化粧するか、そういう音楽なのだ。

 第3楽章あたりで、さすがに胃がもたれてきて、第4楽章はテンポが速い上に、打楽器がガンガン鳴って、響きが混沌と訳が分からなくなってしまった。

 『ロシア風』と言うより、『ゲルギエフ風』。相当にキャラが強い演奏であるのは間違いなし。そういう意味では、今どき貴重ではある。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1962年録音。CBS盤。

 スコアの変更やカットはあるものの、何ら奇を衒うことのない自然な音楽。

 それを聴かせてしまうのは、指揮者とオーケストラの力だろうか。

 特に弦楽器を中心とした第3楽章は聴きもの、王子と王女の甘いラブストーリーが展開される。

 その第3楽章、ヴァイオリンの独奏に続くクライマックスの後が大きくカットされているけれど、個人的にはこれでもOKです(むしろこちらの方がイイかも)。

 表面的な『解釈』ではない、オーケストラと指揮者の音楽で聴かせる、素晴らしい演奏。

 カップリングは「火の鳥」組曲。


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 ▲ 山田一雄指揮/東京都交響楽団

 1980年5月16日、新宿文化センターでのライブ録音。

 素晴らしい演奏!

 決して大袈裟な表情は付けていないけれども、心のこもった音楽、音楽は自然に流れる。

 オーケストラもとてもいいサウンドがしているし、管楽器のソロも◎。

 そして何より当時のコンサートマスター、小林健次のヴァイオリン独奏が素晴らしい。

 「日本のオケ」と侮るなかれ。


 【映像】

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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1978年のライブ録画。

 奇を衒うことのない正攻法の演奏。オーマンディの指揮は力強く、時に熱い。

 木管だけでなく金管楽器も人数を増やし豊かにゴージャスに鳴らす。ヴァイオリンのソロはN・キャロル。

 どことなく『軽く』見られることもあるようなこのコンビだけれども、その認識を変えさせてくれるような映像ソフト。


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 ▲ S・チェリビダッケ指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団

 1982年、客の入っていないスタジオ(?)での録画。映像はカラーだけれども、音はモノラル。

 冒頭の王の主題からして、他の指揮者では聴けないような、独特の表情が付けられている。第2楽章最初のファゴットなど、テンポが極端に遅い部分もあるけれども、全てがそうではなくて、逆に煽るような部分もある。

 第3楽章の舞曲風の音楽は非常に遅いテンポで始められ、また色彩感も素晴らしい。何より、このテンポをキープしている、打楽器奏者(小太鼓)が「◎」。

 本当に楽しそうに身体を揺らして指揮をする場面もあれば、あからさまに不満気な表情をすることもある。

 最後の難破の場面の迫力、エネルギーは凄まじい。

 クセが強いので好き嫌いはあるだろうけれども、しかし緊張感が貫かれていて、逆にこのくらいでないと、この曲は面白く聴けないかもしれない。

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リムスキー=コルサコフ 「皇帝サルタンの物語」組曲

music CD

 ■ N・リムスキー=コルサコフ作曲/組曲「サルタン皇帝の物語」

 同名のオペラの音楽による3曲から成る組曲。

  1.王の戦場への旅立ちと別れ(行進曲)
  2.海原を漂う妃と王子
  3.3つの奇跡

 3曲目は演奏時間も長く曲想も変化に富んでいるため単独で演奏(録音)されることもあり、また、吹奏楽編曲版もいくつかあります。

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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団

 メロディヤ録音盤。

 1曲目「行進曲」。冒頭のトランペットのファンファーレの勢いからビックリする(日本のオケでは絶対に無理sweat02)。普通に演奏すれば洒落た感じの音楽であるけれども、ギラギラ、バリバリの圧倒的なパワー。

 小太鼓のリズムに続く第2主題はホルンで朗々と歌われる(全曲に渡ってホルンが素晴らしい音を聴かせてくれている)。

 2曲目は「シェヘラザード」風の海の情景。これといったメロディも無いのだけれども、スケールの大きさは他の演奏に比べるものはない。

 静かな夜の海、ぼんやりとした月明かり。やがて波がうねりだし、大波が襲ってきて沈没寸前。そして夜明け。遠くの方が少しづつ明るくなってくる。パワフルな金管が迫ってくる波を描写して、その情景が目に浮かぶような演奏。

 そして、終曲の「3つの奇跡」。突進する金管、騒々しく炸裂するシンバル。クライマックスで朗々と旋律を吹き鳴らすトランペット。

 今となっては懐かしい、爆裂ロシアン・サウンドが楽しめる、最高の演奏の一つ。聴くべし!


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 ▲ N・ゴロヴァノフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 1952年録音(モノラル)。

 ゴロヴァノフは1891年生まれ。コルサコフが亡くなったのが1908年なので、人生が20年弱オーバーラップしていることになります。

 1曲目の「行進曲」。猛烈な勢いのトランペット、シンバルは強打され、ハイテンションの音楽が続くがけれども、中間部直前で突然の急ブレーキ。

 その後に大きくテンポを落とした中間部。ビブラートを目いっぱいかけたホルンの音に痺れる。テンポはフラフラと変わり、ちょっと船酔いしたような気分になる。

 2曲目(海の情景)では静と動のコントラストの見事さ。そして、ここでもホルンの存在感が絶大。

 3曲目の「3つの奇跡」、金管楽器は相変わらずだけれども、意外に抒情的な音楽も聴かせてくれる。

 バイオリンの瑞々しい旋律から、それを金管が受けての盛り上がり、好きな人には堪えられません。

 最後は威勢のいいトランペットの掛け合いと、打ち鳴らされるシンバルで賑やかに曲を閉じる。

 スヴェトラーノフのメロディヤ盤をさらに過激にしたような、極めてアクの強い演奏。


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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1960年録N音。

 私が最初に聴いたのがこのアンセルメ盤(当時はLP)。なので、とても懐かしい録音。

 アンセルメはコルサコフの多くの管弦楽作品を録音していて、その中には他に録音の少ないオペラからの組曲や「ドゥビヌシカ」(民謡をベースにした行進曲)なども含まれていて、(当時は)とても貴重でした。

 で、この「サルタン皇帝…」。

 「3つの奇蹟」での色彩感のある「お伽噺」的な雰囲気は楽しめるけれども、ロシア系の演奏を聴いてしまうと、2曲目の海の情景や「3つの奇蹟」のクライマックスなど、そのスケール感などでかなり物足りなく感じてしまう。

 個人的には思い入れの強い録音ではあるけれども、昔と違って多くの録音が存在する今となっては、相当に分が悪いだろうか。


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 ▲ V・アシュケナージ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

 1987年録音。1曲目「行進曲」に2小節のカット有。

 オーケストラの明るいサウンド。抒情的な面が前面に出ていて、「3つの奇蹟」の後半部、たっぷりとしたテンポで歌われるクライマックスなどは聴かせてくれる。

 ちなみに、"Quasi canone" と指定された大太鼓の一撃が、これほど強烈に鳴らされた演奏は他に聴いたことがない。

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 これは楽器の音なのか、シンセサイザーなどの音を重ねているのか...??

 何はともあれ、これが強烈極まりなく、この一発がある限り、例えスヴェトラーノフ盤があろうとも、この録音の存在価値は不滅である。

 しかしながら...

 氏がN響の定期でこの曲を取り上げたとき、この大砲(大太鼓)は「ぼん・・・」と何とも気の抜けたフツーの音で、何の思い入れも感じられなかった。

 あのCDのバス・ドラムは指揮者の指示ではなかったのか、それとも時を経て考え(解釈)が変わってしまったのか...??

 さらにはコーダの前、管楽器によってテーマが朗々と歌われる感動のクライマックス。CDでは遅目のテンポ設定で素晴らしい表現をしていたのだけれども、ここもフツーのテンポ。

 早い話が、全部フツーの演奏になってしまっていて、正直ガッカリした。何なんだ、これは...


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 ▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 1985年のライブ録音(拍手付き)。

 CDには「3つの奇蹟」とのみ記載されているけれども、実際は組曲版。ただし、1曲目の中間部を全てカットして、突然、2曲目のファンファーレが始まる。

 ライブ的な粗さは若干あるにしても、全体的には正攻法。

 金管も目一杯鳴っていて、そうなると、やっぱり1曲目中間部のホルンを聴きたかったです。


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 ▲ E・バティス指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1992年録音。

 バティスはメキシコの指揮者。『爆演系』としても有名だけれども、曲故に本領発揮とまではいかなかったようです。

 オケは鳴っているけれども、響きがモワモワしていて焦点が定まらない感じ。ただ、普通にまとまっている。

 2曲目などは雰囲気が出ている。

 「3つの奇蹟」の前半は遅めのテンポでジックリと持って行くけれども、後半部から何だか落ち着きが無くなってきて、急ぎ足でサッサと終わってしまう。

 エンディングはこれまでの鬱憤を晴らすように、やたらと荒っぽい。

 【「3つの奇跡」のみ】

 以下は、終曲の「3つの奇跡」のみの録音。

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 ▲ T・ソヒエフ指揮/トゥールーズ・キャピタル管弦楽団

 2007年録音。「ピーターと狼」をメインに、物語性のある音楽を集めて、曲の前にナレーション(フランス語)を入れるという企画のCD。なお、ナレーションは別トラックなので飛ばすことも可。

 ロシア的な土臭さとは正反対の洗練されたサウンドとセンス。

 よく鳴ってはいるけれども、迫力一辺倒で聴かせる演奏とは違う。後半部の情感が素晴らしい。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ロシア国立交響楽団

 1993年録音。ゴツゴツとした金管のサウンドや、エンディングの『決め』など、「いかにも」といったところはあるけれども、メロディヤ盤の魅力には及ばない。

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リムスキー=コルサコフ 組曲「クリスマス・イヴ」(アンセルメ)

music CD

 ■ リムスキー=コルサコフ作曲/組曲「クリスマス・イヴ」

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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1957年録音。同名のオペラによる組曲。昔から好きだった曲。

 「組曲」と言っても、オペラ全曲版を切り貼りしたものらしく、スコアには歌のパートも入っているし、リハーサル番号も連続性が無い。

 アンセルメ盤の解説(小林利之氏)によると、曲の構成は下記の通り。

  1.聖夜
  2.星たちの遊戯と踊り
   a.マズルカ
   b.6つ流れ星
   c.チャルダシュと流れ星の雨
  3.悪魔のクリスマス
  4.ポロネーズ
  5.真夜中のミサへの行進とキャロル

 オペラの詳細は知らないけれども、曲の雰囲気として、クリスマス・イヴの夜に起きる様々な出来事を、メルヘンチック、かつ、幻想的に描いた音楽(あくまでイメージ)。

 最後は、トランペットのファンファーレが華やかな「ポロネーズ」から、遠くに鐘の音が響き、賛美歌が静かに流れ曲を閉じる。

 このアンセルメ盤は何箇所かカットがあり、また、トランペットのピッチが相当にアヤシイなど、オケが決して上手くないけれども、しかしながら、私はどうしてもこのアンセルメ盤に手が伸びてしまう。

 聴き慣れているせいかもしれないけれど、色彩感の素晴らしさ、場面場面が実に上手く描き分けられていて、情景が目に浮かんでくるようだ。


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 以下はノーカットによる録音。

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 ▲ M・ユロフスキー指揮/ベルリン放送交響楽団

 1995年録音。演奏も手堅くまとめられています。


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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

 R=コルサコフのオペラからの組曲や序曲を集めた優れもののセット。演奏はちょっと大味。

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リムスキー=コルサコフ 交響曲第2番「アンタール」

N・リムスキー=コルサコフ作曲/交響曲第2番(交響組曲)「アンタール」。

 この曲には以下のバージョンがありますが、CDに記載されている版と、演奏されている版が異なっている場合があるので要注意です。

  初稿 1868年作曲
  第2稿 1875年改訂
  第3稿 1897年改訂(決定稿)
  第4稿 1903年改訂(第2稿の改訂)

 私が所有しているスコアはこちら(第4稿)。

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 スコアを見ていないので「第2稿」と「第4稿」の差は分かりませんが、以下の録音では、2種のスヴェトラーノフ盤以外、上記スコアを見ながら聴いても違いは感じられませんでした。

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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団

 スヴェトラーノフのメロディヤ録音盤。版の記載は無し。「第3稿」。


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 ▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ロシア国立交響楽団

 1993年録音。「1876年版」と記載されているけれども、メロディヤ盤と同様の「第3稿」。

 中間2楽章は、このコンビらしいゴリゴリとした力強い音が聴こえる。


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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/エーテボリ交響楽団

 1987年録音。「1897年版」によると記載されているけれども、実際は「第4(2)稿」。

 このCDの解説には「『最終』版(第4稿)が一番入手しやすいが、これは信頼に足るものではなく、また演奏に用いるべきではない」とあるのだけれど...。

 演奏はイチ推し。この録音を聴くと、もっと演奏されてもいい曲に思える。


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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1954年録音。版の記載は無し。「第4(2)稿」。

 いつもながらのカラフルで華やかな演奏。硬質なサウンド。


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 ▲ L・マゼール指揮/ピッツバーグ交響楽団

 1986年録音。版の記載は無し。「第4(2)稿」。

 マゼールらしく丹念に描いている部分もあるにせよ、全体的に緩い感じがするし、終楽章もテンポが速く、あっさりし過ぎていて物足りない。

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リムスキー=コルサコフ 「見えざる町キーテジの物語」組曲

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 ■ N・リムスキー=コルサコフ作曲/「見えざる都市キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲

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 ▲ E・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

 1949年録音。BMG国内盤。UK盤(下記)には音の欠落があるので要注意。

 モノラルではあるけれども、もともと迫力一辺倒の曲ではないので十分に楽しめます。

 同名のオペラからの組曲。

  1.前奏曲<自然への讃歌>
  2.婚礼の行列~タタール族の侵略
  3.ケルシェネッツの戦い
  4.フェヴローニャの昇天と見えざる町の礼賛(アポテオーズ)

 最後から2つ目のオペラで晩年の作品。組曲版への編曲はR=コルサコフの教え子であるM・シテインベルク(「金鶏」組曲と同様)。

 ちなみに、このシテインベルクはリムスキー=コルサコフの娘婿。

 凝った大掛かりなオーケストレーションの中に、抒情的で美しいメロディが散りばめられた音楽。

 先日のノセダ指揮によるN響の演奏では「2」にバラライカも加わっていました。

 終曲は演奏時間10分の長丁場。

 淡々と終結へと向かう音楽は、下手すると単調で退屈になってしまうけれど、さすがムラヴィンスキー、テンポを落とした力強い金管楽器のコラールまで緊張感が緩むことなく持って行ってくれる。

 鐘の音が鳴り響くヘ長調の大団円は、音楽そのものは単純な(陳腐な?)ものではあるけれど、見事なオーケストレーションによって幻想的な世界を描き出している。

 カップリングは1949年録音の「悲愴」。この時、ムラヴィンスキーはまだ40代だけれど、基本路線は後年と変わらず、その演奏は凄まじいものです。

 以下はUK盤。

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 なぜか1曲目最後の弦楽器による和音が欠落しています。カップリングの「弦楽セレナーデ」でも同様の欠落がある欠陥品。要注意です。


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 ▲ ミハイル・ユロフスキ指揮/ベルリン放送交響楽団

 1996年録音。指揮のミハイルは、最近話題の指揮者、ウラディーミル・ユロフスキの父上。

 演奏は素晴らしく 柔らかく温かみのあるオケのサウンドがとてもいい。丁寧な音楽作りで、美しいメロディが際立つ。

 第3楽章の「闘い」の音楽も十分に迫力があり、フィナーレのクライマックスの金管のコラールで大きくテンポを落とす(ムラヴィンスキー張りの)演出も決まっている。

 ロシア的な土臭さを求めなければ、まず申し分ない演奏。

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