フランスの作曲家

サン=サーンス フランス軍隊行進曲

CD

 ■ サン=サーンス作曲/フランス軍隊行進曲

 当時、アルジェリアはフランスの植民地。そのアルジェリアを旅行した印象をまとめた「アルジェリア組曲」の終曲が、この「フランス軍隊行進曲」。コンサート・マーチの名曲。

 「軍隊行進曲」といっても、明るく楽しげな曲想。「国威発揚」的な勇ましさはなく、晴れやかさの方を強く感じる。

 吹奏楽に編曲されて、かつては頻繁に演奏されていたけれど、最近はこの手の曲はなかなか演奏されなっているように感じる。

 

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 ▲ P・パレー指揮/デトロイト交響楽団

 1959年録音。

 このパレー盤、ものすごい勢いで一気に突き進む。限界に挑戦しているような速いテンポ。吹奏楽ではさすがにこういう演奏は難しい。

 フランス的とかは置いておいて、ストレス発散系の爽快、かつ力強い演奏。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1966年録音。パレーに比べると、落ち着きのある堂々たる演奏。

 冒頭の弦楽器による第1テーマ、そして、それが金管楽器で再現する後半部のサウンドの素晴らしさ。吹奏楽でも演奏される曲ではあるけれども、中間部の弦楽器はオーケストラならではだ。最後はファンファーレで見事に曲を締める。

 このコンビ、こういう曲は本当に上手。申し分ない演奏。

 カップリングは「交響曲第3番」、「死の舞踏」、「バッカナール」。


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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

 2011年録音。この手の曲でのヤルヴィ(@父)の安定感は抜群。肩の力が抜けた軽やかな演奏。

 サン=サーンス作品をまとめたアルバム。4曲の交響詩や「バッカナール」などの定番有名曲から無名曲まで。

 しかし、サン=サーンスは「スパルタクス」なんて曲も書いていたんですね...


 【アルジェリア組曲】

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 ▲ 準・メルクル指揮/バスク国立管弦楽団

 2016年録音。

 「アルジェリア組曲」全曲が収録されているCD。演奏も手堅いし、とにかく組曲全曲が聴けるのが嬉しい。

 以下の4曲から成り、演奏時間20分弱。

  1.前奏曲(アルジェを目指して)
  2.ムーア風狂詩曲(ブリダにて)
  3.夕べの幻想
  4.フランス軍隊行進曲

 1曲目は異国の地へ向かうわくわくした晴れやかな気持ち。2曲目は3つの部分から成る舞曲風。最後の打楽器によるリズムは民族的な雰囲気。3曲目はビオラのソロに始まる南国風な情感を感じさせる音楽。

 録音が少ないのが不思議なほどの楽しい組曲。

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ラヴェル ボレロ(ヘルビヒ)

CD

 ■ M・ラヴェル作曲/ボレロ

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 ▲ G・ヘルビヒ指揮/ベルリン交響楽団

 なんともジミでシブい旧東独コンビによるラヴェル・アルバムの中の1曲。しかし、こういうコンビがたまに名演奏を聴かせてくれることもあるのだけれど...。

 演奏時間は15分、少し速目のテンポは快適。小太鼓のリズムは大きめにおおらかに叩き始める。

 各ソロは最初は無難に進むが、E♭クラリネットがいきなりペラペラの音でいただけない。

 その後のテナーそしてソプラノ・サキソフォンもパッとしない。

 音色も今一つだし、歌い回しも「とりあえず、譜面通り吹いてみました」みたいな感じ。サックスはもっと上手いエキストラいなかったのかしら。

 しかし、ヴァイオリンが旋律を受け持つあたりから、すごくいい音がしてくる。弦のサウンドは素晴らしく、そしてトゥッティの最後の主題提示、ソプラノ・トランペット頑張ってます(ちょっと音程がアヤしいけど)。

 管楽器のソロはパッとしなかったものの、全奏になるとすごく充実したサウンド。厚みもあり内声部も充実。

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ドビュッシー&ラヴェル作品集(チェリビダッケの映像)

DVD

 ■ ドビュッシー&ラヴェル作品集

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 ▲ C・チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

 1994年(亡くなる2年前)のライブ録画。

 収録曲は以下の通り。

  道化師の朝の歌
  牧神の午後への前奏曲
  スペイン狂詩曲
  イベリア(「管弦楽のための映像」から)
  ボレロ

 まずは「道化師…」、出だしのテンポを指示した後、音楽の流れは基本的にオーケストラに委ねて、音楽の細かいニュアンスを指示することに専念する。

 そこから生まれる精緻な表現は見事で、なにやら「魔法使いのおじいさん」的な雰囲気を漂わせている。

 指揮台までは付添いの手を借り、演奏中もずっと椅子に腰掛けたまま。曲が終わってからの客席からの拍手にも振り返ることなくオーケストラやソロ奏者に合図して起立させるだけ。

 ただ、自分の思い通りに身体が動いてくれないというもどかしさがあるのだろうか、随所で気合を入れるような声を発したり、旋律を大声で歌ったりしている。

 テンポは非常に(異常に?)遅く、正直「イベリア」では(私の)緊張感が途切れてしまった。

 この指揮者についての世間の盛り上がりもかなり沈静化した感があるけど、なんとなくバーンスタインの晩年の音楽を思わせるアクの強さを感じさせる音楽。

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サン=サーンス 交響曲全集(マルティノン)

CD

 ■ C・サン=サーンス作曲/交響曲全集

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 ▲ J・マルティノン指揮/フランス国立放送管弦楽団

 番号付き3曲と番号無し2曲、計5曲の交響曲を収録した全集。

 各曲の録音年は以下の通り。

  交響曲第1番 1974年録音
  交響曲第2番 1972年録音
  交響曲第3番「オルガン付き」 1975年録音
  交響曲イ長調 1974年録音
  交響曲ヘ長調「ローマ」 1974年録音

 第3番以外の5曲はいずれも10代、20代の若書きの作品(例えばイ長調交響曲は15歳、第1番は17歳の時の作品)。習作感はあるものの、無名なだけで「ローマ交響曲」なども中々楽しめる。

 演奏の方は何と言ってもオーケストラのサウンドが素晴らしい。

 さて、この全集「ERATO(エラート)」の緑色のロゴが入っているけれど、内容はかつてEMIから出ていた録音。

 つまり、例えば以下のCDと同じ録音。

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 つまり、第3番のオルガンはベルナール・ガヴォティで、オルガンをマリー=クレール・アランが担当した本来の(?)エラート録音盤とは異なります。

 これは、ワーナーがEMIを買収したこちによる組織再編で統合されたことによるものだそうです。

 しかし、EMIレーベルがもはや消滅していたとは。そして(まさか)エラートへ統合されていたとは...。

 EMIといえばかつては、クレンペラー、カラヤン、ラトル、バルビローリ、ボールト、プレヴィン、ムーティ...等々を擁した老舗名門レーベル。

 その他にも、ケンペのR・シュトラウス全集、サヴァリッシュのシューマン交響曲なども未だによく聴く録音。

 時代の流れとはいえ寂しい限りだけれども、こう感じるのも昔からのレコード・ファン故だろうか...。

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イベール ディヴェルティメント(P・ヤルヴィ)

CD

 ■ J・イベール作曲/ディヴェルティメント

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 ▲ パーヴォ・ヤルヴィ指揮/タピオラ・シンフォニエッタ

 1993年録音。若かりしパーヴォの快演。

 まずは冒頭のトロンボーンのグリッサンドにビックリさせられる(別の曲が始まったかと思った...)。

 小編成オケによる歯切れのよい音楽はもちろんのこと、金管楽器も大胆に(大袈裟に)表情が付けられ、この曲の『遊び』の部分を思いっ切り強調する。

 木管楽器やピアノを活かした「ワルツ」もいい。

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 冊子に掲載されていたパーヴォの写真。今とはイメージが若干...。

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サン=サーンス 英雄行進曲(デュトワ)

CD

 ■ C・サン=サーンス作曲/英雄行進曲

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 ▲ C・デュトワ指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1980年録音。

 その昔、大学時代に吹奏楽でこの曲を演奏したことがあるのだけれど、正直、その練習は退屈極まりなかった。

 金管や打楽器が派手に鳴るわけでもなし、どこが面白いのか全く分からず、欠伸をこらえながら休みの小節を指折って数えていた。

 今でも、その当時のツライ思い出(?)は忘れられないのだけれども、この曲のイメージを一変させてくれたのが、このデュトワの録音。

 もう、全く別の音楽。学生時代の、あのグダグダ感は何だったのだ...もちろん、この曲の良さが分からなかった自分自身の問題なのだけれども...。

 軽快で、また気品のある主部もさることながら、やはり中間部。

 3拍子に変わり、主部のテーマの断片をバックにトロンボーンのソロが旋律を歌う。こんな素晴らしいトロンボーンのソロがある管弦楽曲も他には少ない。

 後半は再現部となるけれども、この中間部のおかげで、この曲が単なる『行進の音楽』ではなく、一編の『音詩(交響詩)』のような趣きさえ感じられるのだ。

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イベール 交響組曲「パリ」

CD

 ■ J・イベール作曲/交響組曲「パリ」

 パリの様々な情景を描写した6曲から成る組曲。ジュール・ロマンの戯曲「ドノゴー」の付随音楽をベースにしている。

  1.地下鉄
  2.郊外
  3.パリのイスラム寺院
  4.ブローニュの森のレストラン
  5.旅客船「イル・ド・フランス」
  6.祭りの行列

 オケは小編成だけれども、ピアノとたくさんの打楽器が加わる。

 タイトルは「交響組曲」と仰々しいけれども、演奏時間は各曲長くても3分ちょっと、全体でも15分かからない。本格ドラマではなく、ショート・ムービーのオムニバス風。

 「1」はタイトル通り駅を出発して走る地下鉄の描写。アルト・サックスが活躍する「4」の洒落たワルツ。「6」は同じ作曲家の「喜遊曲」を思わせるような賑やかな音楽。「3」は殆ど全編オーボエのソロ(「寄港地」の第2楽章のよう)。

 理屈抜きに楽しめる組曲。録音の数が少ないのが残念。

 

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 ▲ C・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団

 1992年録音。

 この曲の録音は数少ないけれども、デュトワ盤があるので一安心。とりあえず、これを聴いておけばOK。

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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 2015年録音。ヤルヴィ(@父)もついにフランス音楽まで進出。でも、オケがスイス・ロマンド管であるのがミソ。

 デュトワよりもさらに描写的で、1曲1曲面白く聴ける。オケのサウンド(管楽器ではトロンボーン)も◎。

 ただ、4曲目のワルツは急ぎ過ぎだろうか。ちょっと落ち着かない。

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 ▲ Y・テミルカーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団

 1980年ライブ録音。

 ソビエト時代にこの曲をコンサートで取り上げてるという意欲は素晴らしい。そして、演奏は...

 地下鉄は脱線寸前。朝8時の時計(鐘?)は音を外す。

 「4」はデュトワ盤と同じ曲とは到底思えない。「6」のコーダはほとんどヤケクソ気味のトロンボーンのグリッサンド。

 この曲のタイトルは「パリ」ということをお忘れでしょうか>テミルカーノフさん。

 しかしながら、ある意味『期待通り』の(珍?)演奏。当然、一般人にはオススメできません。

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オッフェンバック 「美しきエレーヌ」序曲

CD&DVD

 ■ J・オッフェンバック作曲/喜歌劇「美しきエレーヌ」序曲

 オッフェンバックの序曲というと「天国と地獄」がダントツで有名だけれども、これは最後のカンカン(「♪カステラ一番・・・」)の部分によるものだろう。

 この「美しきエレーヌ」序曲はそれに負けない名曲だと思う。

 ワルツ(楽譜上は4分の6拍子)は、ロザンタール編曲のバレエ音楽「パリの喜び」の中で流用されていて、また、そのワルツから最後のギャロップへの移行は何とも洒落ている。

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 ▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 1960年録音。フランス序曲集。

 昔も今もこの手の曲はアンセルメで決まり。透明感のある明るいサウンド。ワルツの軽いリズム。華やかだけれど結構ラフな金管楽器。このコンビだからこそのもので、誰も真似のしようがない。


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 ▲ P・パレー指揮/デトロイト交響楽団

 1959年録音。フランスのマーチ&序曲集。

 キビキビとした運び。各場面のコントラストをハッキリつけた語り口の上手い演奏で、これもとてもいい。アンセルメが都会のオペラ・ハウスならば、こちらは田舎の芝居小屋の雰囲気。


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 ▲ H・シェルヘン指揮/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

 録音年不明。オッフェンバックとスッペの序曲集。スッペの方はルーデル指揮。

 こちらは遅いテンポでじっくりと曲を作っていて、コンサート風。弱音で奏されるワルツは独特の雰囲気を持っている。リズムは2拍目に重心がかかり、機械的にならないところも含めて、所謂『ウィーン風』。アンセルメ盤と聴き比べてみると面白い。


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 ▲ N・ヤルヴィ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

 2015年録音。

 ヤルヴィ(@父)の録音ということでイケイケ系かと思いきや、これが意外に繊細で洗練された味わいがある。オケのサウンドも明るく華やかさがあり、泥臭くならない洒落た雰囲気。同じオケでも(時代が違うためか)アンセルメ盤とは異なる味わい。とてもいいです。


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 ▲ B・ヴァイル指揮/ウィーン交響楽団

 1992年録音。

 ヴァイルというと古楽器オケを指揮した録音の印象が強い。ただ、このオッフェンバックは丁寧に手堅くまとめてはいるけれども、それ以上の魅力は感じられない。


 【全曲盤(映像)】

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 ▲ M・ミンコフスキ指揮/ルーヴル音楽隊・合唱団

 2000年、パリ・シャトレ座でのライブ録画。

 とにかく、これが滅法面白い。必見!

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サン=サーンス 動物の謝肉祭

CD

 ■ C・サン=サーンス作曲/動物の謝肉祭

 各パート1名による演奏(室内楽版)と、弦楽器の人数を増やした演奏(管弦楽版)の2種類の録音があり、最近は前者が主流かも。

 ただし、管弦楽版でも「白鳥」と「象」は、それぞれチェロ、コントラ・バスの独奏で演奏している場合もあります。

 

 【室内楽版】

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 ▲ ナッシュ・アンサンブル

 クラリネットはM・コリンズ。フルートはW・ベネット。

 これはとてもいいです。生き生き、溌剌と、楽しそうに演奏してます。

 ピアニストもたどたどしくではなくて、「どうだ!」とばかりに下手くそに弾く。

 チェロのクリストファー・ファン・カンペンはデュトワ盤(ロンドン・シンフォニエッタ)でも「白鳥」を弾いていた人。でも、こちらの方が伸び伸びと演奏しています。


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 「動物の謝肉祭」もオーマンディ&フィラデルフィア管の演奏だと思って購入したら違ってた...ネットで購入したのだけれども気付きませんでした(泣)。オーマンディ指揮の「動物の謝肉祭」が聴きたい方は要注意

 各パート1人の室内楽編成。

 1番ピアノと指揮がフィリップ・アントルモン。2番ピアノのギャビー・カサドシュは、名ピアニスト、ロベール・カサドシュの奥様。

 その他は、チェロがヨーヨー・マ、フルートがA・マリオン、1番ヴァイオリンが今は指揮者として活躍している、ヤン・パスカル・トルトゥリエ。

 アンサンブルは今一つだし、2台のピアノのバランスも悪い。まあ、ヨーヨー・マの「白鳥」が聴けるからOKか。

 カップリングはオーマンディ&フィラデルフィア管の「青少年のための管弦楽入門」と「ピーターと狼」。いずれもCBSへの旧録音(1957年録音)。


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 アルゲリッチ、クレーメル等々による室内楽版。メンバーが揃っているだけに楽しめます。

 「雌鶏と雄鶏」や「耳の長い登場人物」などは少人数のアンサンブルだからこその面白さ。

 「ピアニスト」は派手に乱れているし、「ライオンの王の行進」は(中味が無いのに)やたらと威張って踏ん反り返っている人の茶化し。

 音楽で聴かせるナンバーはシッカリと聴かせ、繊細な響きの「水族館」、「カッコウ」の静寂。「白鳥」はマイスキー。


 【管弦楽版】

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 ▲ C・デュトワ指揮/ロンドン・シンフォニエッタ

 1980年録音。ピアノはP・ロジェとC・オルティス。

 「ピアニスト」は『下手糞』ではなくフツーに弾いていて、そのまま演奏してしまえば、それはただのスケール(音階)。あまりにわざとらしい演奏も好きではないけれど、何か一捻りほしい。

 「象」と「白鳥」はソロ(一人)で演奏。

 でも、この「白鳥」(クリストファー・ファン・カンペン)が今ひとつ冴えない。この曲は有名奏者による録音も多いので、相当に分が悪い。

 デュトワ指揮ということで期待したけれど、全体的にはこれといった魅力は無し。もっと遊び心であったり、楽しげな雰囲気がほしい。

 これでオケがモントリオール響であれば違ったのかもしれないけれど...。

 カップリングは交響曲第3番。


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 ▲ G・プレートル指揮/パリ音楽院管弦楽団

 1965年録音。私がLP時代に聴いていた演奏がこれ。「象」と「白鳥」はソロ。

 これといって変わった事はしていない、スコアを素直に音にした演奏だけれども、当時のパリ音楽院管のサウンドと、明るく華やかな雰囲気で楽しませてくれる。

 チッコリーニとワイセンベルクのピアノ。フルートはM・デボスト。

 カップリングはプーランクの組曲「典型的動物」。


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 ▲ M・プラッソン指揮/トゥールーズ・キャピタル管弦楽団

 1992年録音。ピアノはM・ルディとT・バルト。

 学校の『鑑賞教材』として聴かされる曲だけれども、それをプラッソンはお洒落なオーケストラ作品に仕立て上げる。

 こういう演奏で聴けば、音楽の授業を忘れられる。決して「白鳥」だけではない、みんな素敵な曲ではないか。

 「象」のコントラバスはトゥッティ。「白鳥」はチェロのソロ。

 「ピアニスト」はスケール音形が半音づつ上がって4回繰り返されるのだけど(C→D♭→D→E♭)、最初はたどたどしく、だんだん上手になって、最後は速いテンポで鮮やかに弾き切る。

 カップリングは「ピーターと狼」(フランス語版)。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1968年録音。「白鳥」のチェロは独奏。

 こういった軽い曲も、キチンと演奏して録音してくれるのが、このコンビの有り難さ。

 明るく楽しく、もちろん上手。ただ、結構生真面目な雰囲気なので(「ピアニスト」など)、『遊び』を求める人には物足りないだろうか。

 カップリングは「交響曲第3番」「死の舞踏」「フランス軍隊の行進」「バッカナール」(「サムソンとデリラ」から)。サン=サーンスの有名オーケストラ曲を一通り楽しめます。演奏も◎。


 【映像(管弦楽版)】

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 ▲ S・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 2005年、ヴァルトビューネ(野外コンサート)でのライブ録画。

 ピアノはラベック姉妹。オーケストラは弦楽器の人数を減らしていて、「象」と「白鳥」はソロで演奏。

 演奏者もリラックスした野外コンサートの雰囲気もあってか大いに盛り上がり、1曲ごとに拍手が起きる。

 演奏の方は本気度の高いもので、ベルリン・フィルのソリストの演奏も楽しめるし、ラベック姉妹のピアノも手慣れた感じがする。

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ヴァレーズ アメリカ(笑うトロンボーン)

CD

 ■ E・ヴァレーズ作曲/アメリカ

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 ▲ C・ドホナーニ指揮/クリーヴランド管弦楽団

 1993年録音。

 ヴァレーズがアメリカに移住(帰化)して最初に書かれた作品。1926年、L・ストコフスキー指揮のフィラデルフィア管弦楽団によって初演。

 大編成のオーケストラ(打楽器奏者は11人)。

 妖しいアルト・フルートのソロに始まり、打楽器の騒めきの中にサイレンの音も聞こえてくる。最後は全楽器が「p」から「sffff」までクレッシェンド。

 この曲のトロンボーン・パートに「笑う(laugh)」という指示がある。

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 これは奏者が「ははは(Ha!Ha!Ha!)」と笑うのではなく、奏法として指定されているもの。同じ作曲家の「アルカナ」にも同様の指定があります。

 どういう風に演奏されるか興味のある方は、是非ご確認ください。このドホナーニ盤では13分あたりに現われます(一瞬です...)。

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