グレインジャー

グレインジャー 子守唄

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 ■ P・グレインジャー作曲/子守唄(「フォスターに捧ぐ」から)

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 ▲ ピアーズ・レーン(ピアノ)

 2001年録音。

 声楽とオーケストラのための「フォスターに捧ぐ」からのピアノ作品。

 細かい刻み音形をバックに、フォスター作曲の「草競馬」をベースとした子守唄のメロディが静かに流れる。

 夢見るような音楽...聴いている分には、「演奏者は刻みが大変そうだなぁ...」くらいにしか感じないのだけれども、楽譜を見るとビックリ。

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 メロディが、その刻み音形(耳で聴くとほとんど連続して聴こえる)のどのタイミングで演奏されるかということが、全てキッチリ指定されているのだ(要は微妙にズレている)。

 その細かさは尋常ではない。自身でも弾いていたのだと思うけれども、グレインジャーの頭の中は一体どのようになっているのだ??

 グレインジャーによるピアノ編曲作品集。「子守歌」(ブラームス)、「夢のあとに」(フォーレ)、「花のワルツ」(チャイコフスキー)などの有名クラシック曲から「私が愛した男」(ガーシュウィン)なども。

 収録曲の詳細は以下を。

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グレインジャー 戦士たち

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 ■ P・グレインジャー作曲/戦士たち

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 ▲ S・ラトル指揮/バーミンガム市交響楽団

 大編成のオーケストラ、3台のピアノ、多数の鍵盤打楽器。さらには3人の指揮者を必要とする『想像上のバレエのための音楽』。

 第2指揮者は舞台裏で演奏する金管アンサンブルを指揮し、第3指揮者は打楽器、ピアノ、ハープのアンサンブルを指揮する。

 そして、これらは第1指揮者の指揮するステージ上のオーケストラとは全く別個のテンポで進行するのだ。

 とにかく強烈な音楽で、膨れ上がった作曲者のイマジネーション(妄想?)が爆発した、ドンチャン騒ぎ。色彩感、生命力、リズムの躍動。

 ピアノや鍵盤楽器の活躍は正にグレインジャー。『乱痴気騒ぎ』という言葉がピッタリくる。

 大編成ではあるけれども、物量的に威圧するものではなく、ひたすら感覚的な音楽なのだけれども、その感覚には常人のものではない歪みを感じる。

 この大掛かりで、ややこしい音楽は、いかにもラトル好み。

 そうそう簡単に演奏できる曲ではないと思うので、まずコンサートでは取り上げられないだろうけれど、このラトルを初めとして、ガーディナー、ヒコックスなどの録音もあり、そこは恵まれている。

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 ラトル以外の録音。

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 ▲ J・E・ガーディナー指揮/フィルハーモニア管弦楽団


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 ▲ R・ヒコックス指揮/BBCフィルハーモニック


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 フル・スコアがこちらから比較的安価に入手できますで、興味のある方は是非。

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 体裁はフル・スコアとコンデンス・スコアの中間のような形になっています。

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グレインジャー 子供の行進(レイニッシュ)

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 ■ P・グレインジャー作曲/子供の行進(丘を越えて彼方に)

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 ▲ T・レイニッシュ指揮/王立ノーザン音楽大学ウインド・オーケストラ

 コーラス付き。「グレインジャー・エディション」の第8巻。

 この曲については、まずはこの演奏を聴くことをオススメします。

 グレインジャー初期の作品。1919年、作曲者の指揮で初演。編成にはピアノが使われていて、鍵盤打楽器も活躍する。

 最初は腕白坊主が1人で歩いている。そこへ1人、また1人と加わり、それが5人、10人、100人となって、子供たちは元気よく、気勢を上げながら行進していく(どこへ向かって?)。そんな光景が頭に浮かぶ。

 低音で現れるテーマは、「キラキラ星」のヴァリエーションだろうか。

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 「♪ドレミファ・ソ~ソ~・ララララッラ・ソラソ~」=「♪ドド・ソソ・ララ・ソ」

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 「♪ファ~ファファ・ミファミミ・レレレッレ・ド~」=「♪ファファ・ミミ・レレ・ド」

 新しいテーマも加わり、次第に高揚し、エネルギーを増し、全楽器で駆け回るスケールからクライマックスを迎える。

 打楽器やピアノの特殊奏法のノイズの中を、遠くへ消えていくエンディングも印象的。

 メロディそのものはシンプルだれども、ハーモニーはグレイジャー以外の何物ではない。

 途中、男声によるコーラス(オプション)が加わり、昨今であれば、奏者が歌おうが、叫ぼうが、何をしても珍しいことではないけれども、当時は新鮮だったのではなかろうか。

 ちなみに、グレインジャーと親交があったディーリアスにも、全く同じタイトルの管弦楽曲があります。

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 その他の録音。

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 ▲ K・ブライオン指揮/ミシガン州立大学シンフォニック・バンド


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 ▲ E・バンクス指揮/英国空軍中央音楽隊

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グレインジャー合唱曲集(ガーディナー)

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 ■ グレインジャー 合唱曲集

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 ▲ J・E・ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団と管弦楽団

 1994、5年録音。収録曲は以下の通り。

   1.日曜日になればわたしは17歳
   2.ブリッグの定期市
   3.愛の詩(ソロモンの雅歌より)
   4.愉快な婚礼(祝宴の踊り)
   5.シャロー・ブラウン(船乗りのシーシャンティ)
   6.父と娘(フェロー諸島のダンシング・バラード)
   7.わが黒髪の乙女
   8.花嫁の悲劇
   9.アイルランド、デリー州の調べ(ロンドンデリーの歌/ダニー・ボーイ)
  10.スコットランドのストラススペイとリール
  11.行方不明のお嫁さんが見つかった
  12.三羽のからす(古いイングランドの歌)
  13.ダニー・ディーヴァー
  14.フォスターに捧ぐ(「草競馬」にもとづいて)

 グレインジャーと言えば、まずは「ロンドンデリーの歌」、そして「リンカンシャーの花束」。それと、いくつかの軽い小品。

 自分にとっては、それ以上のものはなかった作曲家だったのだけれども、そのイメージを大きく覆してくれたのがこのCD。全く新たな世界が広がったのだ。

 「1」はタイトルからも分かるように、ヴォーン=ウィリアムズの「イギリス民謡組曲」第1楽章で使われている民謡で、ここでもコーラスと金管楽器によって元気良く演奏される。

 「11」は「リンカンシャーの花束」の終曲のオリジナル合唱版。

 「7」はA・リード作曲の「シンフォニック・プレリュード」で使われている民謡。

 「2」はディーリアス作曲の同名の管弦楽曲のベースとなった曲。

 「12」もイギリス民謡による作品。人知れず死んでいる騎士の亡骸を三羽のカラスが狙っている...というインパクトある内容で、印象的なリフレインも頭に残り、シンプルな伴奏が歌の内容を引き立てている。

 「5」は船乗りの歌。グレインジャー作品の中でも最も好きな曲の一つ。

 「14」はフォスターの「草競馬」に基づくオリジナル曲。

 その他の曲も含めて、これほど多彩で魅力的な音楽を書いていたのかと、正しく『再発見』させてくれたCD。

 その後、色々な録音も出てきたけれども、「まずはこれ」という一枚として価値は変わっていないと思う。

 日本語解説が充実した国内盤を是非。

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グレインジャー シャロー・ブラウン

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 ■ P・グレインジャー作曲/シャロー・ブラウン

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 ▲ R・ヒコックス指揮/シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア

 1996年録音。

 シー・シャンティ。船乗りの男達が歌う「仕事歌」。

 陸にいる女性が、去っていった船乗りの恋人(シャローブラウン)への気持ちを歌うという設定ではあるけれども、実際に歌っているのは、あくまでも船に乗っている男達。船(海)の上から、陸に残してきた恋人(家族)を想って歌う歌なのだ。

 ソロ(独唱)が1フレーズ歌い、他のメンバーがそれに呼応して合いの手を入れる。何度も繰り返されるうちに、気持ちは次第に高まるが、最後はまた静けさが戻ってくる。

 演奏はこのヒコックス盤が素晴らしい。実際に波の音が聞こえ、大海原の情景が見えてくるようだ。

 長い航海、果てしなく広がる海。故郷を懐かしむ気持ち、寂しさ、孤独...数分間の音楽の中に、それらが全て収まっている。

 「グレインジャー・エディション」の第3巻。

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 ヒコックス以外の録音。

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 ▲ E・ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団

 1995年録音。ソロを女声で歌わせていて、アイデアとしては面白いけれども、前に書いたようなシチュエーションの面白さは全く無くなってしまっている。


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 ▲ アカデミー室内アンサンブル

 1994年録音。合唱部分も含めてソロで歌わせていて、完全に独唱曲にしてしまっている。まだまだグレインジャー録音が少なかったころなので、こういうのも『あり』だったのかもしれない。

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ラヴェル(グレインジャー編) 鐘の谷(ラトル)

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 ■ M・ラヴェル作曲(グレインジャー編曲)/鐘の谷(組曲「鏡」から)

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 ▲ S・ラトル指揮/バーミンガム市交響楽団

 原曲はラヴェル作曲のピアノ曲(組曲「鏡」の第5曲)。「正午にいっせいに鳴り響く、あちこちのパリの教会の鐘の音によって感興を催した」とのことです。

 グレインジャーは原曲の『鐘』の音の部分を鍵盤打楽器を中心に、旋律的な部分を弦楽器に演奏させている。

 アイデアとしては非常にシンプルではあるし、これが原曲の愛好家にはどのように聞こえるのかは分からない。

 「ピアノでこそのイマジネーションであって、わざわざ現実の音にする必要は無い」と言う人もいるかもしれないけれど(実際、ラヴェルは編曲しなかった訳だし)、実際に聴いてみると、ここには素晴らしく幻想的、非現実な世界が現出しているのだ。

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グレインジャー ガムサッカーズ・マーチ

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 ■ P・グレインジャー作曲/ガムサッカーズ・マーチ

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 ▲ T・レイニッシュ指揮/王立ノーザン音楽大学ウインド・オーケストラ

 「イン・ア・ナット・シェル(早わかり)組曲」の終曲の吹奏楽版。オケ版はホ長調だけれども、こちらは変ホ長調。

 ピアノや多くの鍵盤打楽器が活躍し(アマチュア楽団で演奏するにはここがハードルか)、ガチャガチャと賑やかで騒々しい。

 個人的には吹奏楽版の方が好きだし、演奏もこれが一番いい。

 この曲では「コロニアル・ソング」と同じメロディが現れる。

 「コロニアル…」では、生まれ故郷であるオーストラリア(そして、母親)への思いを謳って音楽にしているのだけれども、ここでは、それを茶化して、悪ふざけしているようにも見える。持って行き場の無い自分の気持ちを爆発させているようでもある。

 このアルバムでは、この2曲が続けて収録されていて、ここはペアで聴いてみてほしい。

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グレインジャー 「イン・ア・ナットシェル」組曲(ラトル)

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 ■ P・グレインジャー作曲/「イン・ア・ナットシェル(早わかり)」組曲

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 ▲ S・ラトル指揮/バーミンガム市交響楽団

 しかし「リンカンシャーの花束」も含め、よくぞ録音してくれました>ラトル

 4曲からなる組曲で、ピアノ、チェレスタの他に、たくさんの鍵盤楽器(チューンフル・パーカッション)が使われている。

 下記は「ガムサッカーズ・マーチ」の冒頭。

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 兎にも角にも、強烈な曲で、これに比べれば吹奏楽の難曲、「リンカンシャーの花束」など可愛らしいもの(それゆえ「花束」なのかもしれないけれど)。

 中でも聴きものは、グレインジャー作品としては演奏時間も長い(約10分)、3曲目の「パストラーレ(田園詩)」。

 冒頭は一見「変ホ長調(♭×3)」であるけれども、オーボエのソロは調性感が無く、不思議な響きがする。

 その後、ピアノや鍵盤楽器が、実に摩訶不思議で幻想的な世界を展開するが、そのセンスは完全に常人離れしていて、恐ろしささえ感じる。

 終曲は吹奏楽版でも知られる「ガムサッカーズ・マーチ」。ちなみに、調性は管弦楽版が「E」で、吹奏楽版が「E♭」。

 この曲で使用されているメロディの1つは、「コロニアル・ソング」でも使われているもの。

 宮澤淳一氏の解説も充実している国内盤を是非。

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 別の録音として...

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 ▲ ネヴィル・ディルケス(Neville Dilkes)指揮/イングリッシュ・シンフォニア

 この曲が注目されたのは、やはりラトル盤だと思うけれど、これはラトルと同じくEMI録音。おそらく注目されることもなく、今は寄せ集め廉価盤CDの中に収録されている。

 この指揮者のことは知らないけれども、これは埋もれさせておくにはもったいない演奏。

 弦楽器奏者は少なめの人数で演奏しているのだろうと思うけれど、それがいい雰囲気を出しているし、ローカルな魅力のある演奏だ。

 鍵盤打楽器も人数を絞っているようだけれども、スコアには省いてよい楽器の指示もあるし、ピアノやチェレスタがカバーしているので違和感はない。

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グレインジャー デリー州、アイルランドの調べ(吹奏楽)

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 ■ P・グレインジャー作曲/デリー州、アイルランドの調べ(Irish Tune from County Derry)

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 ▲ T・レイニッシュ指揮/王立ノーザン音楽大学ウインド・オーケストラ

 グレインジャーの吹奏楽作品の中で、最も演奏頻度が高いのがこの曲ではなかろうか。

 メロディは有名な「ロンドンデリーの歌(ダニーボーイ)」。これを2回繰り返すだけの単純な構成。イントロとか間奏は一切入っていない。

 譜面ヅラはさほど難しくはないので、メロディさえ演奏してくれれば、とりあえず形にはなる。

 ただ、このメロディそのものはグレインジャーのものではなく、かと言って単純な『メロディ+伴奏』というものでもない。

 スコアの全ての音がグレインジャーの音楽を作り上げていて、要はグレインジャー自身がこのメロディを歌っているのだ。

 冒頭はパートによって「mf」「p」「pp」と強弱の指定はバラバラであり、表情記号もパートによってまちまちだ。

 クライマックスのホルンと共に「ffff」まで感情は高まり、最後は「ppp」で消えていく。

 何気に演奏している曲ではあるけれども、スコアに書かれていることを表現するには、相当の技術が必要になると思われる。

 昔は「デリー地方(デリー州)のアイルランド民謡」という邦題が一般的だったけれども、今はタイトルの様に「…アイルランドの調べ」が主流になっているようです。

 【参考】 宮澤淳一氏による作品目録

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グレインジャー 北欧の王女へ

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 ■ P・グレインジャー作曲/北欧の王女へ(婚礼の歌)

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 ▲ ヒコックス指揮/デンマーク国立放送交響楽団

 演奏時間12分、グレインジャー作品の中では『大曲』の部類。

 この曲は、グレインジャーが1928年に結婚したスウェーデン人のエラ・ストロームに捧げられ、初演はハリウッド・ボウルの1万5千~2万人の聴衆の前で、作曲者自身の指揮による126人編成のオーケストラによって演奏されたという。

 「北欧の王女」というのは当然、奥さんのこと。

 最初は慎ましやかに始まるけれども、高鳴る鐘の音と共に壮麗に盛り上がり、終わり近くではサン=サーンス作曲の「白鳥」のメロディが引用される。

 甘美で、いかにも「幸せいっぱい」といった音楽は、あまりに臆面も無く、何だか気恥ずかしくなるくらいだ。

 ヒコックス盤は明るく華やかなサウンド。K・ブライオン指揮によるナクソス盤もあるけれども、まずは、このヒコックス盤だと思う。

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 ヒコックス以外の録音。

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 ▲ K・ブライオン指揮/スロヴァキア放送交響楽団

 K・ブライオンはニュー・スーザ・バンドの創設者であり指揮者。

 スーザ作品の校訂でも知られ、ナクソスにはスーザの吹奏楽作品をシリーズで録音している。

 グレインジャーの吹奏楽作品についても、ミシガン州立大学シンフォニック・バンドを指揮した録音がある(DELOS)。

 ナクソスでグレインジャーの管弦楽作品をまとめたアルバムはこれ1枚で、シャンドスに Grainger Edition があるため、スーザやL・アンダーソンみたいには深入りはしなかったのだろうか。

 オケはスロヴァキア放送交響楽団。素朴で垢抜けない音がして地味で、この「北欧の王女へ」もヒコックス盤のような華やかさは無く、別の曲のようだ。

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