吹奏楽

吹奏楽作品集(フェネル&イーストマンWE)

CD

 Fennell

 ▲ F・フェネル指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

 収録曲は以下の通り。

  バンドのためのシンフォニック・ソング(ベネット)
  ファンファーレとアレグロ(C・ウィリアムズ)
  交響曲第6番(パーシケッティ)
  アルメニアの踊り(ハチャトゥリアン)

 1959年録音。その昔は同じ組み合わせでLPレコードで出ていました(ジャケットのデザインも同じ)。

 当時は数少ない貴重な吹奏楽のレコード。本当に何度も聴き、自分の中では「これぞ『吹奏楽オリジナル曲』」。

 そのおかげもあってか、いずれの曲も「一生のうちに一度は演奏してみたい憧れの曲」となっていて、おそらく同様に思う同年代の吹奏楽関係者も多いのではなかろうか。

 で、それ以上に頭に焼き付いているのが、この、髪の毛を短く刈り上げ、穏やかそうな中に精悍さも感じさせるフェネル氏の写真なのだ。

 Fennell_2

 佼成WO時代は「ファンキーなおじいちゃん」といった印象になり、ちょっと面喰いました

 ちなみに、フェネル氏は1914年(大正3年)生まれ、あの伊福部昭氏と同い年なのでした。

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須川展也デビュー20周年記念コンサート(映像)

DVD

 ■ 須川展也デビュー20周年記念コンサート

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 ▲ 山下一史指揮/佼成ウィンド・オーケストラ/須川展也(サクソフォン)

 2004年1月31日。サントリーホールでのライブ録画。

 収録曲は以下をご覧ください(画像クリックで拡大します)。

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 オープニングはA・リード「アルメニアン・ダンス パート1」。須川さんはコンサート・マスターの席に。

 前半ではなんと言ってもピアソラ3曲がかっこいい。

 後半、テクニックを駆使した「グラナダ」に続いて「追憶」のテーマ...ヤマハのニュー・サウンズで出版されていた浦田健次郎編曲版。冒頭のソロからなんともいえない懐かしさ。これ、何度となく演奏したよなぁ...と回想モード。

 そして極めつけは(この曲の)エンディング...ハーマン・ミュートのトランペットが「♪チ・チ・チ~」。

 そう、あの頃いつでも僕らは「♪チ・チ・チ~」だった。ポップスだけではない、オリジナルもクラシックも静かに終る曲はいつでも「♪チ・チ・チ~」...若かったあの頃。

 演奏を終えた須川さんは目に涙を浮かべていたけれど、私もいろんな意味で胸が一杯になってくる曲であり演奏でした。

 そして、プログラム最後はこれまでの興奮を鎮めるようなグレインジャー。この曲でも須川さんはコンサート・マスターの席に。自分がこの楽団の一員である(当時)という気持ちの表れか。余計なパフォーマンスのない山下氏の指揮、音楽も好感が持てました。

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O・リード メキシコの祭り(ダン&ダラスWS)

CD

 ■ H・O・リード作曲/交響曲「メキシコの祭り」

 Fiesta

 ▲ H・ダン指揮/ダラス・ウインド・シンフォニー

 1990年録音。

 第1楽章後半の「アズテック舞曲」で、通常はティンパニ("Hard mallets" の指定)で演奏されるリズムを、スコアに書かれている民族楽器 "Teponaxtle" で(おそらく)演奏している。

 Teponaxtle_2

 Teponaxtle はこんな(↑)楽器のようです。

 また、第1楽章最後の銅鑼の余韻の途中で第2楽章冒頭の鐘を鳴らし始めていて、スコアには「アタッカ(attaca)」の指定は無いけれども、ここで間を空けるよりも、この方が効果的だと思う。

 カップリングは「サンタ・フェ・サガ」、「シンフォニック・ダンス第3番」、「太平洋の祭り」、「ファンダンゴ」と、これも懐かしい曲ばかり。

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アルベニス セビリアの聖体祭(フェネル)

CD

 ■ I・アルベニス作曲(カイエ編)/セビリアの聖体祭(「イベリア」から)

 Trittico

 ▲ F・フェネル指揮/ダラス・ウィンド・シンフォニー

 L・カイエ編曲による吹奏楽版。1992年録音。

 編曲者のカイエ(Lucien Cailliet(1891~1984)はフランス生まれ。フィラデルフィア管のメンバーで専属アレンジャー。吹奏楽関連では「エルザの大聖堂への行列」の編曲者として有名です。

 アルボスによる管弦楽版が知られているけれども、このカイエ版はおそらくオリジナルのピアノ曲からの編曲。所々に原曲に無いフレーズを加えたりもして、編曲者のカラーを出しているけれど、若干違和感を感じないでもない。

 一部、アルボス版が採用されている部分があるのは、元々そう書かれているのか、フェネルのアイデアなのかは不明。

 オケ版を聴き慣れていると、全体的に響きが厚くて重く、また、ちょっと単調な感じがする。

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スーザ名曲集(キース・ブライオン)

CD

 ■ 星条旗よ永遠なれ!~スーザ名曲集

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 ▲ キース・ブライオン指揮/王立砲兵隊バンド

 500円の格安CD。

 収録曲目詳細と録音データについては下記を(画像クリックで拡大します)。

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 ナクソスから出ているシリーズからの抜粋盤。有名曲はそれなりに押さえていて、演奏もイギリスのバンドらしい柔らかなサウンド、聴いていて疲れない。

 楽譜はブライオン自身の校訂版を使っているのだろうけれども、リピート時にオーケストレーションやダイナミックの変化を付けたり、コンサート風のアプローチ。

 また、マーチ以外の曲が収録されているのもミソで、「エル・カピタン」からの「ワルツ集」、「アメリカの旗の下で」、「柳の花」がとてもいい。いわゆる「ライト・ミュージック」。昨今のありきたりなオリジナル曲より余程楽しめる。

 収録時間50分弱。「せめて、マーチをあと2、3曲入れてくれれば...」とは思うけれども、値段が値段なので贅沢は言えない。

 何はともあれ「スーザ名曲集」としてコスト・パフォーマンスのいいアルバム。

 ちなみに、ブライオンはこのナクソスのシリーズの他に、Delos に「スーザ曲集」を録音しています。

 ■ スーザ!~スーザ作品集

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 ▲ キース・ブライオン指揮/ニュー・スーザ・バンド

 1990年録音。収録曲目は以下の通り(画像クリックで拡大します)。

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 こちらは珍しい曲を中心に集められていて、また、スーザ御本人の指揮によるスーザ・バンド演奏や、スーザのスピーチなど『歴史的録音』が収録されていて、愛好家向け。

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シュミット ディオニソスの祭り

CD

 ■ F・シュミット作曲/ディオニソスの祭り

 特に古い世代にはお馴染の、吹奏楽の名曲。

 日本楽譜出版社からフル・スコアが出版されました。解説は秋山紀夫氏。

 Schmitt

 http://nihongakufu.com/score/archives/post_247.php

 超難曲なだけではなく、野外演奏を想定していたために編成も大きくて、中にはビューグル、サクソルン(アルト、バリトン、バス、コントラバス)、オプションではあるけれどもサリュソホーンも編成に含まれる。楽器編成の詳細は上記サイトに記載されています。

 現代の一般的な吹奏楽編成には含まれていない楽器も多いので、今演奏するならば何らかの楽器で代用するか、「編曲」するしかない。

 

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 ▲ フランソワ=ジュリアン・ブラン指揮/ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団

 1961年。杉並公会堂での録音。ギャルドのために書かれ、ギャルドによって初演された曲。

 昨今のコンクール基準で聴いてしまえば、粗も目立つかもしれない。しかし、ここで聴くことができる「音」や「音楽」は、ほかに比べるものはない。

 サクソルンのサウンドもしっかり聴くことができ、まずは聴くべき演奏。


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 ▲ デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊

 1974年録音。サウンド的には貴重ではあるけれども、録音のせいもあってかモヤモヤとクリアでない音、バランスも悪くて今一つ冴えない。


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 ▲ ユージン・コーポロン指揮/シンシナティ・ウィンド・シンフォニー

 1992年録音。現代の吹奏楽編成による演奏。

 もちろん普通に上手いのだけれども、ウィンド・アンサンブル的に小ぢんまりとした感があって、ギャルドの演奏を聴いてしまうと物足りない。

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「星条旗よ永遠なれ」のスコア(ニチフ版)

 日本楽譜出版社(ニチフ)から出版されている、「星条旗よ永遠なれ」(スーザ作曲)のスコアを購入しました。

 Sousa

 収録されているのは以下の3つのバージョン。

  1.オリジナル吹奏楽版
  2.スーザによるピアノ編曲版
  3.スーザによる声楽編曲版

 やはり気になるのは1の吹奏楽版ですが、同社のサイトによると...

日譜らしいコダワリをみせた当版では、スーザの自筆譜から新たに作成した《オリジナル編成》の「星条旗よ永遠なれ」がお楽しみ頂けます。

 この「自筆譜」は1897年4月26日と記載された手稿譜(手書きのスコア)だそうです(ちなみに初演は前年の1896年)。

 楽器編成は以下の通り。

  Piccolo in Db
  Oboes
  Bassoons
  Clarinet in Eb
  Clarinets in Bb 1,2
  Alto Saxophone
  Tenor Saxophone
  Baritone Saxophone
  Cornets 1,2,3,4
  Horns in Eb 1,2,3,4
  Trombones
  Euphoniums
  Basses
  Drmus

 内容的には、それほどビックリするようなものではないのですが(ごく普通のスコア)、最後のトリオの再現のリピート先(戻り先)が抜けているのは自筆譜もそうなっていたのか、単なる校正ミス(ミスプリ)なのか。

 スコアの解説にも記載は無く、「コダワリ」を売りにしているならば、ここら辺はキチンとしてほしかったです。

 また、青島広志氏による解説も、ごく一般的な楽曲解説でちょっと物足りないです。

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A・リード シンフォニック・プレリュード

CD

 ■ A・リード作曲/シンフォニック・プレリュード

 イギリス民謡「わが恋人の黒髪(Black is the colour of my true love's hair)」をベースにした吹奏楽曲。

 元のメロディが美しいこともあって、豊かな情感に溢れた個人的に大好きな曲で、昭和40年度(1965年)の吹奏楽コンクール課題曲(大学・一般)にも選ばれている。

 出版は1963年で、作曲者初期の作品に当たり、ここから先、数多くの名曲・人気曲を世に送り出す。

 

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 ▲ A・リード指揮/洗足学園音楽大学シンフォニックウインドオーケストラ

 これは、作曲者自身の指揮による2003年のライブ録音。
 
 雰囲気はいいのだけれど、プロではないにせよ、音大生の演奏にしては雑な部分が散見されるのはちょっといただけない。

 そのオリジナルの民謡を収録しているのが以下のアルバム。


 ■ イギリス民謡集

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 ▲ アルフレッド・デラー(カウンターテナー)

 イギリスのカウンターテナー歌手、アルフレッド・デラーによるイギリス民謡集。

 ギター(リュート)によるシンプルな伴奏、余分な『色』が付いていない分、音楽そのものをストレートに味わうことができる。

 静かな中に、透明感のある、素朴な歌声がしみじみと心に染みてくる。

 ちなみに、この民謡の邦題として「黒は我が恋人の髪の毛の色」と書かれていることもあるけれども、訳としては正しいにしても、あまりに情緒がない。

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グルダ チェロと管楽オーケストラのための協奏曲

DVD

 ■ F・グルダ作曲/チェロと管楽オーケストラのための協奏曲

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 ▲ H・シフ(チェロ)/F・グルダ指揮/ミュヘン・フィルハーモニー管弦楽団

 1988年のライブ録画。

 曲名が「チェロと吹奏楽のための…」と書かれることもあるけれど、楽器編成は木管(1+2+2+1)、金管(2+2+1+1)、打楽器、ベース、ギター。基本的にオーケストラの管楽セクションで、サックスは入っていません。

 5楽章形式。第3楽章はチェロ独奏。

  1.序曲
  2.牧歌
  3.カデンツァ
  4.メヌエット
  5.行進曲風フィナーレ

 「序曲」はいきなりロック風の音楽で始まり、途中からは一転クラシカルなメロディがクラリネットで歌われる。

 その後、民俗舞曲風、中世風など様々なタイプの音楽が現れ、フィナーレは楽隊風の景気のよい行進曲。

 固いことは言いっこなし。気楽に楽しむ音楽。

 CD(↓)で音だけ聴くのもいいけれど、グルダのノリノリで自由な指揮姿やシフの熱演もあって、映像で観ると数倍楽しめる。

 
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 ▲ H・シフ(チェロ)/F・グルダ指揮/ウィーン・ブラスアンサンブル

 1981年録音。初演メンバーによる演奏。

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ホルスト 吹奏楽のための第2組曲

CD

 ■ G・ホルスト作曲/吹奏楽のための第2組曲

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 ▲ F・フェネル指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

 1955年録音。一応「ステレオ」とはなっているけれども、モノラルに近い雰囲気。

 きびきびとした速めのテンポで、引き締まった固めのサウンド。颯爽とした演奏。

 昔から聴き慣れているので、自分にとってはこれが基準点になっているのだけれども、もう少しゆとりや、情感がほしいとも思う。


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 ▲ E・バンクス指揮/イギリス王立空軍中央軍楽隊

 1984年録音。こちらは、昔ながらの「軍楽隊」というイメージのある演奏。

 今となっては野暮ったさも感じるし、ユーフォニウムやコルネットも『上手い』という感じではない(結構危なっかしい)。

 また、テンポが遅めなので、フェネル盤の後に聴くと、どうしても間延びした感じがしてしまう(特に第4楽章)。

 楽章毎の演奏時間は下記の通り。(フェネル/バンクス)

  第1楽章 4:12/4:43
  第2楽章 2:25/2:45
  第3楽章 1:16/1:10
  第4楽章 2:43/3:35

 第4楽章で1分近くの差というのは、体感的に相当に違う。


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 ▲ F・フェネル指揮/クリーヴランド・シンフォニック・ウィンズ

 1978年録音。フェネル校訂版のスコアに「参考音源」として付いている演奏。ティンパニが入っていないことを除けば、ほぼフェネル校訂版。

 クリーヴランド管の管楽セクションのメンバーによる演奏で、ソロも含めて、当然上手い。

 イーストマン盤で感じた不満は解消されるけれど、この演奏に無いものといえば「イギリス的」雰囲気だろうか。

 第1楽章のユーフォニウムはトゥッティで演奏されているように聞こえる(フェネル版では solo の指定)。


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 ▲ T・レイニッシュ指揮/王立ノーザン音楽大学ウインド・オーケストラ

 1998年録音。

 丁寧で柔らかなサウンド。金管楽器のバランスは抑えられていて、「行進曲」の第1マーチはほとんど「mp」くらいに聴こえる(指定は「f」)。

 いわゆる『ブラバン的』な演奏とは程遠い。「これが最高!」とはならないけれども、「こういうやり方もあるのか」という感じの面白い演奏で、個人的には気に入っている。特に中間2つの楽章がいい。


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 ▲ H・ダン指揮/ダラス・ウィンド・シンフォニー

 1990年録音。メリハリの効いた、いかにもアメリカ的な演奏。

 速めのテンポの「行進曲」、華やかなサウンドが気持ちいい。ユーフォニウムのソロも上手いというよりも、何とも楽しそうだ。終曲の「グリーンスリーブス」も豊かに響く

 コルネット・パートは(おそらく)トランペットで演奏しているのだろうか。イギリス的なサウンドでもないし、(EWEのように)キッチリとしたアンサンブルを聴かせるわけでもない。

 しかし、まさしく「音楽を楽しむ」といった演奏であり、「こんなふうに演奏したいな」とも思わせてくれる。

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