チャイコフスキー 交響曲第1番「冬の日の幻想」
CD
■ チャイコフスキー作曲/交響曲第1番「冬の日の幻想」
チャイコフスキーの交響曲では後半3曲(4~6番)がよく知られて演奏回数も多いけれども、前半3曲もそれぞれに魅力がある音楽。
▲ B・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1979年録音。
堂々とした立派な演奏で、オケも上手く、非ロシア系の演奏としては、まず申し分ない、
曲そのものも、明快でシンプルな音楽とロシア情緒は、後半の3つの交響曲とは違った面白さがある。何よりメロディがいい(特に第2楽章)。
交響曲全曲(「マンフレッド」付き)に、主要管弦楽曲が入ったセット。オススメです。
▲ L・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1963、1964年録音。若かりしマゼールの快演。ただ、感傷的な気分は皆無。
割り切ったドライな味わいであるけれども、まずはオーケストラのサウンドで聴かせてしまう(第2楽章のホルン!)。
突っ走り気味になる第4楽章も、しっかりと手綱を引いてオーケストラををコントロールしていて、30代でここまでやってしまうところは、やっぱり只者ではない。
第3楽章は慌てず忙しくならず、第4楽章コーダでは落ち着いた音楽運びで堂々とした演奏を聴かせてくれる。
▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団
1990年5月21日、オーチャードホールでのライブ録音。
最初の3楽章は意外に真っ当な演奏でとてもいい。それが第4楽章に入ると、一気に空気が濃厚になる。
野太いトロンボーンに、重量感のある大太鼓とティンパニ。
序奏のメロディが再現するコーダでは、打楽器もにぎやかに、若々しいエネルギーに溢れた青年チャイコフスキー。
コーダではさらにスピードアップ。エンディングは指揮者お得意のポーズが目に浮かぶようだ。
なお、以下の注意書きがあります...「演奏中にきこえる連続音は、指揮者スヴェトラーノフ氏愛用の譜面台にとりつけた送風機によるものです」
▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団
1984年録音のメロディヤ盤。
響きは厚く、リズムは重量級だけれども、とても流れの良い演奏。
よく聴くと、金管などは結構バリバリ(ブリブリ)吹いているのだけれども、録音のせいか響きが丸められてしまっている。
その分、聴き易くなってはいるけれども、このコンビならば、もっとアクの強いサウンドがほしい。
▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団
こちらは1998年録音のRELIEF盤。
基本、旧録音(メロディヤ盤)と同様だけれども、旧録音盤の方がより『昔ながら』の音がする。
▲ G・ロジェストヴェンスキー指揮/モスクワ放送交響楽団
1972年録音。最大の聴きものは第2楽章後半に現れる朗々たるホルンの音。
しかしながら、全体的に録音がぼやけた感じがして、また曲のせいもあるのか、このコンビとしては強烈なインパクトはない。
フィナーレのコーダも金管楽器は強奏されているものの、ティンパニの音があまり聞こえてこないので、サウンド的な魅力は薄い。
▲ マイケル・ティルソン・トーマス指揮/ボストン交響楽団
1970年録音。M・T・トーマス、若かりし日(まだ20代)の録音。現在活躍中の指揮者だけれども、当時からその才能は発揮されていた。
第4楽章途中のヴィオラから始まるフーガ風の部分でガクッと大きくテンポを落とす。そこから再現部へ向けて徐々にテンポを戻していく。
こういった『細工』をするのは今も変わらないけれど、後期の交響曲ならともかく、これくらいであれば『演出』として十分許容範囲内。むしろ、曲の冗長さを救ってくれている。
それ以外については若々しくストレートな音楽作り。第2楽章も湿っぽくならないし、終楽章コーダの加速もいい。
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