ディーリアス ブリッグの定期市(ビーチャム)
CD
■ F・ディーリアス作曲/ブリッグの定期市(イギリス狂詩曲)
▲ T・ビーチャム指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
1958年録音。
グレインジャーが蒐集して合唱曲としたイギリス民謡「ブリッグの定期市」を聴いて感銘を受けたディーリアスが、その主題にを用いて作曲した変奏曲。
フルートの美しいソロに始まり、それにハープやクラリネット、2番フルートが絡んでくる。とても印象的な導入。
オーボエで提示される主題は、そこはかとなく寂しげで、ハーモニーなどグレインジャーの合唱曲と非常に似た雰囲気を持っている。
変奏は変化に富んでいて、ディーリアスの代表作の一つであり、入門用としても適していると思う。
LP時代はバルビローリ盤(だけ)を聴いていて、その演奏が頭にこびりついているのだけれども、それはバルビローリが好きだったということもあるにしろ、当時は他にこの曲の録音が見つからなかったというのもある。
これは、ディーリアスの理解者でもあったビーチャムの録音。
サラッと流しているような中にも情感があり、そこにディーリアスの音楽への愛情、思い入れが強く感じられ、この曲の録音の中では外すことができない。
ディーリアス・ファンは必携の2枚組。
その他の録音をいくつか。
▲ A・ディヴィス指揮/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
2011年録音。
A・ディヴィスはディーリアス作品をまとめて録音していて、その中でもこの曲の演奏はいい。作品を完全に自分のレパートリーにしている感がある。
ビーチャムやバルビローリとは異なったくっきりとした色彩感。
冒頭のフルートのソロは大きく表情が付けられる。全体的に速めのテンポの活き活きとした音楽が魅力的だ。その中にも情感があり、指揮者の個性で聴かせるタイプの演奏ではないにしても、申し分のない素晴らしい演奏。
ディーリアス作品集。カップリングは「ピアノ協奏曲(3楽章版)」、「春の牧歌」、「パリ」。
▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
1962年録音。「オーマンディのディーリアス??」と聴く前は違和感バリバリだったのだけれども、これがとてもいい。
管楽器のソロも素晴らしく、大編成のオーケストラのための変奏曲としての面白さを十分に楽しむことができる。
【映像】
▲ S・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2007年6月、ヴァルトビューネでのライブ録画。
緑の多い野外コンサートの雰囲気が、意外にこの曲の雰囲気に合っている。
ラトルのディーリアスというのも珍しいけれども、ベルリン・フィルのソリストのプレイも含めて、とても楽しめる演奏になっている。
▲ J・E・ガーディナー指揮/モンテヴェルディ合唱団と管弦楽団
この曲の元となったグレインジャーによる合唱作品。
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