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プロコフィエフ 組曲「キージェ中尉」

CD

 ■ S・プロコフィエフ作曲/交響組曲「キージェ中尉」

 同名の映画のために書かれた音楽を基にした組曲。

  1.キージェの誕生
  2.ロマンス
  3.キージェの結婚
  4.トロイカ
  5.キージェの葬送

 「ロマンス」と「トロイカ」には歌(バリトン独唱)入りと、オーケストラだけの2つのバージョンがある。

 通常はオケ版だけれども、歌入りで録音しているのはスラトキン、小澤征爾。

 そのオケ版もオーケストレーションが工夫されていて、単なる『歌の置き換え』にはなっていない。例えば「ロマンス」の冒頭はコントラ・バスのソロで始まり、途中はテナー・サックスのソロになっている。

 終曲の「キージェの葬送」は重々しく厳粛に始まり、「ロマンス」のメロディを用いて悲しげな雰囲気が漂うのだけれど、そこに「キージェの結婚」でコルネットによって演奏された、おどけた感じの旋律が強引に割り込んでくる。

 表面上は「悲劇」に見えながら、その裏にある「喜劇」が浮き彫りになってくる。ここらへんの描き方はとても面白い。

 

 Kodaly_sz

 ▲ G・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団

 1969年録音。

 このセル盤は昔から名盤として有名なもので、実際ケチをつける所は無い。コルネットは上手く、冒頭のソロもどことなく哀愁が漂う。

 この曲を初めて聴く人にどれか一枚と言われれば、これになるでしょう。


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 ▲ V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団

 1993年録音のCANYON盤。さすが色々と面白く、聴き所が多い。

 冒頭のコルネットのソロ。なぜか1小節単位にフレーズを切って間(ま)を入れる。ここは2小節(または4小節)でフレーズを捉えるのが普通ではなかろうか。

 ピッコロ・ソロのバックで叩く小太鼓はアクセントも軽やかに、とても楽しそうだ。

 テナー・サックスは完全に『わが道を行く』。「キージェの結婚」のソロは1オクターヴ上げている(指揮者の指示?)。「まあ、固いことは言わず、好きに吹かせてくれよ」

 その「キージェの結婚」の冒頭のホルンのレガート奏法はとても良い雰囲気。

 「キージェの葬送」でコルネットのテーマが割り込んでくる部分は、そのバランスを弱くして(スコアにはそう指定してある)、独特の雰囲気を出している。


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 ▲ L・スラトキン指揮/セントルイス交響楽団

 珍しい『歌入り』バージョンで、聴きものはその『歌』。

 ロシア語による歌が入ると音楽の雰囲気が一気に『ロシア』に変わるし、「トロイカ」の掛け声風などオケ版にはない面白さがある。

 しかし、オケの方はというと丁寧に表情は付けられているけれど、サウンドはいかにも薄っぺらいアメリカン(ある意味『映画音楽風』)。せめてサックスくらいは、もうちょっと何とかならなかったものだろうか。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1974年録音。

 明るいサウンドで、肩の力が抜けた楽しい演奏。1曲目の金管楽器の開放的な音は気持ちいい。「キージェの結婚」のコルネットのソロは結構ラフな感じ。


 【映像】

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 ▲ A・プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団

 1977年ライブ録画。

 演奏そのものはラフな印象もあるけれど、貴重な映像ソフト

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 若々しいプレヴィンの指揮姿。

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 チューバを吹いているのはJ・フレッチャー。お顔が拝見できるのはこのショットのみ(画像クリックで拡大します)。

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 コルネットのソロは細かいビブラートがかけられた、英国ブラス・バンド風の音だけれども、楽器はトランペットを使っているように見える。

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