R・シュトラウス ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら(チェリビダッケ)
DVD
■ R・シュトラウス作曲/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
▲ S・チェリビダッケ指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団
リハーサルと本番の演奏(1965年)が収録されているけれども、とにかく、リハーサルが断然面白い。
まずはエピローグ、冒頭の「昔々...」の音楽が戻ってくる部分から始まるが、ボウイングの指示もしつつ、しつこいくらいに何度も繰り返す。
さらに、演奏を止めた時だけではなく、演奏中もひっきりなしに大声で注意を与える。この部分がお休みの木管楽器は「まだやるのかよ・・・」といった表情で、集中力が切れたのか、自分の出番で入れなくなってしまう。
まだ若い(当時52歳)チェリはとにかくエネルギッシュでハイ・テンション。腕をブンブン振り回し、身体と顔の表情を目一杯使って音楽を伝える。トゥッティの部分で「ホルン!音が低い!!」と怒鳴りつけ、何度も同じ場所で演奏を止める。
スコアは見ずにリハーサル番号を団員に確認しながら進める(これは歳をとってからも同じ)。オケのメンバーは気が抜けず、相当に疲れるのではないかと思うけれども、意外に和気藹々とした雰囲気もあったりする。
本番演奏も素晴らしいけれど、リハーサルで求めていたものが100%出し切れているとは言えないようにも感じられ、彼がレコーディングを嫌った理由も分かる気がする。
要は、彼が求めている音楽をレコードという形して固定することは殆ど不可能であるということだろうし、それを良しとはできなかったのだろう。
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