スッペ 「詩人と農夫」序曲
CD
■ F・スッペ作曲/喜歌劇「詩人と農夫」序曲
その昔は吹奏楽でよく演奏されていた曲。
ただ、オリジナルの調性が、前半が「ニ長調」、後半が「変ロ長調」という吹奏楽的には微妙なもので、私が昔演奏した版では前半のみ移調していたような記憶が...。
ちなみに高橋徹編曲版は原調通りです。
▲ Z・メータ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1989年録音。
金管楽器のファンファーレから、気品のある美しいチェロのソロ(吹奏楽ではアルト・サックス)。
ここが『詩人』で、元気のよい後半が『農夫』だろうか。
その後半の途中に8分の3拍子になるけれど、ここは、やっぱり「ワルツ」として演奏してほしい。
ということで、この曲はオケの魅力でこのメータ盤。ワルツはもちろん、冒頭の金管を受けての弦楽器の寂しげな表情もいい。
▲ N・ヤルヴィ指揮/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
2012年録音。
劇場的な雰囲気は薄いけれども、決して力任せにならない、いい感じに力の抜けた演奏。前半部などは意外に繊細さもあり、中でもチェロの独奏は素晴らしい。
スッペの序曲だけではなくマーチなども収録したアルバム。選曲的にも魅力。
▲ C・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団
1985年録音。
レガートで奏される冒頭のファンファーレ、それを受ける弦楽器の何と繊細なことか。そして、気品のある素晴らしいチェロのソロ。
後半部は金管や打楽器のバランスは抑えられて、とてもソフトな感触。ポルタメントがかけられたワルツ(8分の3拍子)もとても優雅だ。
ドイツ系オケのガッシリとした演奏とは全くの別物。オッフェンバックでも聴いているような感覚になる演奏。
▲ H・V・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1970年録音。
冒頭のファンファーレからして、どこか芝居がかった感じがする。チェロのソロも思いっ切り表情が付けられ、後半部ではやっぱりワルツの部分。
カップリングの「軽騎兵」同様、何とも大袈裟でカラヤン臭が強い演奏だけれども、そう割り切ってしまえば結構楽しめる。
ロッシーニとスッペの序曲集。
スッペは「軽騎兵」、「詩人と農夫」、「ウイーンの朝昼晩」の3曲。本当はもっと録音してたはずだけれども、ロッシーニと組み合わせのためにカットされたのか...。
【吹奏楽版】
▲ フランソワ・ジュリアン・ブラン指揮/ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
1967年録音。リシャール編曲の吹奏楽版。
私が若いころ、「詩人と農夫」と言えばギャルドであって、決してオーケストラの演奏ではなかった。
まず、冒頭の金管のファンファーレのサウンドからして痺れるけれども、その後のアルト・サックスのソロ。これはビゼーか、フランス音楽か!?
元々、サキソフォンのために書かれた譜面の様にさえ思えてしまう。もうチェロでなくても、これでいいではないか。
後半部、テンポを速めてからの木管楽器の存在感、バランスは、やっぱりギャルドだ。
「ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の芸術・第4巻」に収録。
収録曲は下記の通り。
トッカータとフーガニ短調(J・S・バッハ)
ハンガリー狂詩曲第2番(リスト)
「泥棒かささぎ」序曲(ロッシーニ)
「詩人と農夫」序曲(スッペ)
ファランドール(ビゼー)*
牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)*
ディオニソスの祭り(シュミット)*
マレンゴの総督親衛隊行進曲(不詳)
羽のついた帽子の行進曲(不詳)
指揮はすべてブラン。「*」の3曲は1961年東京(杉並公会堂)での録音。それ以外は1967年、パリでの録音。
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