ウォルトン 映画「リチャード3世」の音楽
CD
ローレンス・オリヴィエ監督・主演による映画のために作曲された音楽をベースにした作品。
■ W・ウォルトン作曲/「リチャード3世」前奏曲
▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
1983年録音。ムーア・マシーソン(Muir Mathieson)が演奏会用に再構成した曲。
金管楽器のファンファーレから行進曲風の展開。続く「ラルガメンテ」と指定された、弦楽器とホルンを中心に奏される第2のテーマは、「戴冠式行進曲」のトリオを思わせるような素晴らしいメロディで、ここまでで『ウォルトン節』全開。
このテーマは「お約束」のように再現部で「マエストーゾ」で全楽器によって朗々と奏される。
ウォルトンの映画音楽の魅力がビッシリ詰まっている名曲で、何度繰り返し聴いても飽きることが無いし、グローヴズの演奏も、サウンドも含めて申し分ない。
▲ B・ハーマン指揮/ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
1974年録音。映画音楽作曲家のバーナード・ハーマン指揮による録音。
イギリス映画の映画音楽を集めたアルバム。ハーマン自身はヒッチコック作品や「第三の男」などの映画音楽を書いています。
演奏時間10分弱でグローヴズ盤よりも約2分長い。ちなみにスコアに書かれている演奏時間は7分半。
オープニングから堂々と、ゆったりとしたテンポで進められる。楽器のバランスなど、より『映画音楽』の雰囲気が強い。
そして、中間部から再現部も非常にゆっくりとしたテンポで進められ、確かに劇的かもしれないけれども、とても重々しく大袈裟にも感じる。そして、そのテンポ設定のせいかエンディングでは2小節のカットがある。
一般的にはまずはグローヴズ盤がオススメ。
▲ W・ウォルトン指揮/フィルハーモニア管弦楽団
1963年録音。作曲者自身の指揮。演奏時間は7分半でスコアの指定通り。
冒頭部分は何だか忙しない。再現部はゆったりとしたテンポ設定だけれども、最後のトランペットは苦しそう。
やはり、本職のグローヴズに一日の長があるように感じる。
【吹奏楽版】
▲ E・バンクス指揮/英国王立空軍中央軍楽隊
1986年録音。リチャードソン編曲の吹奏楽版。
中間部が大きくカットされていて、演奏時間は約5分。
カットはあるものの聴き所が押さえられているので、『コンサート・マーチ』的な雰囲気で意外に楽しめる。
■ W・ウォルトン作曲/「リチャード3世」~シェイクスピア組曲
▲ C・グローヴズ指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
以下の6曲を組曲としてまとめたもの。編曲は「前奏曲」と同じM・マシーソン。
1. Fanfare
2. Music Plays
3. The Princes in the Tower
4. With Drum and Colours
5. I would I knew thy heart
6. Trumpet Sound
「組曲」として見ると今一つ盛り上がりに欠けるけれど、それぞれの曲はとても面白く聴ける。作曲者自身の指揮による録音もあります。
■ W・ウォルトン作曲/「リチャード3世」~シェイクスピア・シナリオ
▲ N・マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団
1989年録音。こちらの編曲はクリストファー・パーマー。
10曲で構成されて、第3曲「モノローグ」には英語によるナレーションが加わる。
「前奏曲」と「シェイクスピア組曲」に含まれている曲は全て入っているけれど、オーケストレーションは異なっていて、チェンバロやパイプ・オルガンなども使われている。
演奏時間は約45分。ちょっと長いけれども変化に富んだ音楽が楽しめる。
この映画が日本で公開されたときのパンフレット。近所の古物市で見つけました。
上記のパンフレットからスタッフのリスト。「前奏曲」と「組曲」の編曲者マシーソンが指揮を担当しています。
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