ショスタコーヴィチ 交響曲第5番(ケーゲル)
CD
■ D・ショスタコーヴィチ作曲/交響曲第5番
▲ H・ケーゲル指揮/ライプチヒ放送交響楽団
1986年のライブ録音。
極めて人間的、また個人的な思いを吐露したような演奏。
第2楽章のデフォルメなどは今では聴くこともある解釈だけれども、第3楽章などはかなり異質な感じがする。そして第4楽章再現部から終結へかけての音楽は正にこの演奏の頂点。
「強制された歓喜」と言われることもあるけれども、「強制」する外的要因(社会、体制...?)はこの演奏には感じられず、ひたすら自己の内側からこみ上げてくる感情に拠る。ニ長調のコーダでもどういう形であれ「歓喜」などというものは微塵も感じられない。
終結部の改変(かなり強烈)は抵抗を覚える人も多いだろうけれど、聴き終わった後はしばらく立ち直れないくらいの、どんよりとした重苦しいものが残る。
演奏後、長い間(ま)があって客席から拍手が起こっているのも、この手の曲では珍しいと思うけれど、それも十分納得できる。どう反応していいのか分からない、といった気持ちだったのではなかろうか。
異形の演奏。オケが今一つなのが本当に残念。
ちなみに、初めてこの曲を聴く人には全くお勧めできません。
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