グローフェ ミシシッピ組曲
CD
■ F・グローフェ作曲/ミシシッピ組曲
1.川の父 (Father of Waters)
2.ハックルベリー・フィン (Huckleberry Finn)
3.懐かしきクレオールの時代 (Old Creole Days)
4.マルディ・グラ (Mardi Gras)
【オーケストラ版】
私が所有しているのは以下の2種類。
▲ ウィリアム・T・ストロンバーグ指揮/ボーンマス交響楽団 【A】
収録されている「ナイアガラ大瀑布」組曲にちなんで、ナイアガラの滝がデザインされている。
▲ K・ロックハート指揮/ボストン・ポップス管弦楽団 【B】
"American Visions" というタイトルのアルバム。吹奏楽でもお馴染みの作曲家、ロイ・ネルソン作曲の "Savannah River Holiday" という曲も収録されている。指揮者のロックハートはなかなかの男前。
で、この2つの録音、オーケストレーションが大きく異なっている。『手を加える』というレベルではないので、スコア(版)そのものが違うようだ。
例えば1曲目。冒頭の金管のコラールに続くテーマ。「A」はホルンによって奏されるけれども、「B」では弦楽器。
3曲目のイングリッシュ・ホルンのソロは、「B」では後半部はトロンボーン(?)によって演奏される。
終曲のエンディングも異なっていて、その他、書き出したらキリがなく、ほとんど別物と言える。
総じて「B」の方が、現代風に洗練されたオーケストレーションではある。
ただ、個人的には、どこか垢抜けしないけれども、雰囲気のある「A」の方が好きだ。演奏そのものも、あっけらかんと、陽気で開放的な感じが楽しい。
追記
以下の録音を入手しました。
▲ フェリックス・スラットキン指揮/ハリウッド・ボウル交響楽団
1956年録音。フェリックス・スラットキンはレナード・スラットキンの父上。
使用しているスコアは(おそらく)「A」と同じ。ということは、オリジナル版を除けば2種類のバージョンが存在するということか。
演奏はよりリラックスした大らかなもの。ビブラートを目いっぱいかけたトランペットなど、いかにも『ポップス・オーケストラ』といった雰囲気が楽しめます。
カップリングは「グランドキャニオン組曲」と、作曲者自身の指揮による「デスバレー組曲」と「豪雨」(「グランドキャニオン組曲」から)。
【オリジナル版】
▲ スティーヴン・リッチマン指揮/ハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク
P・ホワイトマン楽団のために書かれたオリジナル版による演奏。
有名な「グランド・キャニオン」や、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」も、元はこの楽団(編成)のために作曲されている。
編成としては、フルート、ホルンが無い代わりに、サキソフォン、バンジョーが加わっていて、弦は小人数(この録音では 6+2+2+1)。
で、これがとても面白いのだ。
第3楽章はトロンボーン(ミュート付)とサキソフォンがメロディを担当。第4楽章の有名なテーマをバンジョーが演奏すると、抜群の雰囲気が出る(想像してみてください)。
陽気な楽しさだけではなく、第1、3楽章のノスタルジックな雰囲気も格別で、これこそが、この曲の魅力なのかもしれない。
しかし、何故か最後に銅鑼が...「?」。
同じCDに同様編成による「グランド・キャニオン」も収録されているけれど、こちらはそれほどでもない(部分的には面白いけれども)。
P・ホワイトマン楽団。スーザフォンらしき楽器も見えます。
【吹奏楽版】
ブレーン社から森田一浩編曲による吹奏楽版が出版されています。
以前、ビムズ・エディションからレンタルされていた時は、第1~3楽章は森田一浩編曲、第4楽章は瀬尾宗利編曲による『合作』だったけれども、これは全て森田氏の編曲で、さらに既存の第1~3楽章も見直されているとのこと。
スコアに記載されている森田氏による「解説」では、この曲には複数の版(オーケストレーション)が存在しており、この編曲はそれらを比較しながら行ったために、「すべてに合致する特定の原典は存在しない」とあります。
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