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ホルスト ムーアサイド組曲(コリアリー・バンド)

CD

 ■ G・ホルスト作曲/ムーアサイド組曲

 Colliery

 ▲ G・カット指揮/グライムソープ・コリアリー・バンド

 1998年録音。

 この曲はやっぱり、このブラス・バンド版、つまりオリジナルが一番いい。

 基本的に(音色が同系統の)同族楽器のためのアンサンブル作品であり、ジェイコブによる管弦楽版や、ライトによる吹奏楽版の、楽器の種類を増やしたオーケストレーションは、どうも居心地が悪い。

 ホルスト自身による弦楽合奏版もいいのだけれども、さすがに「マーチ」は弦楽合奏では如何ともしがたいものがある。

 第1楽章でエコーの様に響く「タタタ・タン」という(運命の動機的な)モチーフ。第2楽章の最弱奏から始まるコラールのダイナミック。これはブラス・バンドでこその音楽だ。

 終楽章は第1組曲のマーチにも匹敵すると思うけれども、これもブラス・バンド版が一番。

 元はコンテストの課題曲として書かれた作品で、それ故もあってか、シンプルにキッチリと整えられたスコアになっている。

 編成ゆえに、一般の人がコンサートや録音で耳にする機会はまず無いかもしれないけれども、ブラス・バンド曲という枠だけに収まらない、アンサンブルの名曲だと思う。


 

 同じくコリアリー・バンドによる別の録音が、以下のホルスト作品集の2枚組CDに何気なく収録されています。

 Img402

 ▲ エルガー・ハワース指揮/グライムソープ・コリアリー・バンド

 1976年。録音年代によるのか、同じ楽団とはいえ、その『音』の印象はずいぶんと違っていて、こちらはビブラートがきつめにかけられ、より『クセ』のあるサウンドになっています。


 

 日本楽譜出版社からブラス・バンド版のフル・スコアが出ました。

 Moorside

 http://nihongakufu.com/score/archives/post_252.php

 解説は伊藤康英氏。

 その解説に、この曲をG・ジェイコブが1952年に「弦楽オーケストラのために編曲」とあるけれども、これは「オーケストラ(管弦楽)のために編曲」が正しいのでは?

 以下が、その管弦楽版のCD。

 Holst

 ▲ N・ブレイスウェイト(N.Braithwaite)指揮/ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団

 例えば、第2楽章の冒頭はオーボエのソロになっています。

 弦楽器が入ることによってずいぶんと雰囲気が変わるところもあって面白い。

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