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ヴォーン・ウィリアムズ 交響曲第9番(スラットキン)

CD

 ■ R・ヴォーン・ウィリアムズ作曲/交響曲第9番

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 ▲ L・スラットキン指揮/フィルハーモニア管弦楽団

 1991年録音。

 イギリスを代表する大作曲家の「第9」(結果的に最後の交響曲になった)。少なくとも周囲(委嘱者や聴衆)の期待は大きかったと思う。

 作曲者はこの曲の初演後、数ヶ月で亡くなっていて、年齢的なことを考えると、自身も「ひょっとすると、そろそろ...」という意識はあったかもしれない。

 軽妙な第8番に比べると、取っ付きにくく、一般受けするような内容も持っていない。

 重苦しい第1楽章。後半に現れるヴァイオリンのソロは、ほんの少しだけ昔を思い出させてくれる。

 フリューゲルホルンのソロで始まる第2楽章。途中は元気のいい、しかし不思議な雰囲気を持った行進曲風(これも不思議な雰囲気)になる。何度か鳴らされる鐘の音が印象的。

 第3楽章は「8分の6」と「4分の2」が交錯したスケルツォ。不協和音、シロフォンの響き。この楽章ではサックス・セクションが大活躍する(楽譜としても相当に難しい)。

 終楽章は弦楽器のカノンで静かに始まり(ここはショスタコ風?)、第1楽章の気分が戻ってくる。最後はハープのグリッサンド、サキソフォンのハーモニーが彩りを加え、ホ長調の和音が遠くへと消えていく。

 3本のサキソフォン(アルト×2、テナー)は、冒頭やエンディングでハーモニーを聴かせ、第3楽章では独立したアンサンブルとして大活躍。

 また、フリューゲルホルンも全曲で使われ、この楽器が無い場合のキューはトランペットやホルンに書かれていて、「コルネットでの代用は<絶対に>行なわないこと」という注意書きがある。

 トランペットでOKならば別にコルネットでも...と思うのだけれども、そこまで拘るものがあるのだろう。

 ちなみに、この録音でフリューゲルホルンを吹いている David Mason は、初演時にも同じパートを担当されたそうです。

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