ピアノと管弦楽のための「宿命」(映画「砂の器」から)
CD
■ 菅野光亮作曲/ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」
▲ 熊谷弘指揮/東京交響楽団/(ピアノ)菅野光亮
映画「砂の器」(野村芳太郎監督)のサウンド・トラックから(TV版ではありません)。
以前、新宿タワーで「芥川也寸志」のコーナーに置かれていたけれども、芥川さんは『音楽監督』で、作曲は菅野光亮(ピアノも担当)。
全曲は大きく2つのパートから成り、LPではそれぞれがA面・B面でした。ちなみにCDの解説はLPのものと同じ。
映画を観ていない人には、どのように聴こえるのかは分からないけれども(オケもあんまり上手くないし)、曲については何も言う事はありません...あのメロディが流れてきただけで泣けてきます...
【映画DVD】
松本清張原作の小説の映画化であるけれど、原作を見事にアレンジして素晴らしい作品になっている。
クライマックスは(原作にはない)コンサートのシーン。会場は埼玉会館(JR浦和駅から徒歩10分)。
指揮とピアノは『世界的な』作曲家で指揮者の和賀英良(扮する加藤剛は影のある男前)。
オーケストラは東京交響楽団。演奏する曲は和賀英良作曲ピアノ協奏曲「宿命」、もちろん世界初演である。プログラムはこれ1曲だけだったのか、などと野暮なことは聞くまい。
会場は超満員。
重苦しいピアノによる導入の後のオーケストラの入りはバルトーク「オケコン」の第1楽章を思わせる。弦の早いパッセージが結構危なっかしいのは和賀英良(加藤剛)の棒の乱れか...。
そして、この「協奏曲」の演奏をバックに流れる回想シーンこそが、この映画のすべて。
もし「原作に忠実に」映画化したら、ここまでの映画にはならなかっただろう。完全に割り切って、父と子の物語に再構成したからこそであると思う。
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