チャイコフスキー 幻想序曲「テンペスト」(アバド&ルツェルン祝祭管の映像)
DVD
■ チャイコフスキー作曲/幻想序曲「テンペスト」
▲ C・アバド指揮/ルツェルン祝祭管弦楽団
2008年のライブ録画。
同様にシェイクスピアの戯曲を題材にした「ロメオとジュリエット」に比べると、ほとんど無名な曲だけれども、アバドはこの曲がお気に入りらしく、シカゴ響、ベルリン・フィルとも録音している。
まずは静かな海の情景に始まり、やがて嵐になり船は難破。静まったところでチェロが「愛のテーマ」を奏し、これはいかにもチャイコフスキーらしいメロディ。
で、何と言っても素晴らしいのは幕切れ近く。弦楽器が16分音符で駆け上がり、その頂点で「愛のテーマ」が高らかに歌われ、やがてテンポを速めて颯爽とコーダへ進んでいく。
この部分が実にドラマチックで、映画のクライマックス・シーンを観ているかのようだ。全速力で駆け寄った二人がひしと抱き合い、やがて冒頭の海の音楽が再現して、余韻を残して曲を閉じる。
この部分を聴くために、それまでの十数分間があると言っていい。
カップリングは「火の鳥」組曲と、ラフマニノフ作曲の「ピアノ協奏曲第2番」(ピアノ:H・グリモー)。で、このグリモーが極めて魅力的で、(個人的には)このラフマニノフこそがメインと言える。
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