ヴィヴァルディ 調和の霊感 作品3
CD
■ A・ヴィヴァルディ作曲/「調和の霊感」作品3
ヴィヴァルディの「作品3」というのは12曲から成るヴァイオリン協奏曲集で、個人的には「四季」よりもはるかに好きです。
第6番は初心者用ヴァイオリン協奏曲として有名。
また、第11番はバッハによってオルガン独奏用に編曲され(そのため、昔はバッハの作品と考えられていたらしい)、それを基に「コンチェルト・グロッソ」「シチリアーノとフィナーレ」というタイトルで吹奏楽に編曲されています(古い世代の人には結構有名)。
▲ F・ビオンディ指揮&ヴァイオリン/EUROPA GALANTE(エウローパ・ガランテ合奏団)
1997、1998年録音。
で、これは本当に『自由奔放』な演奏。
よくぞここまでいろいろなこと(音楽的アイデア)を思い付くものだと感心してしまう。目まぐるしく変化するダイナミック、テンポ、アーティキュレーション、音符の装飾...イ・ムジチ合奏団の演奏なんかを愛好している人には全く別のジャンルの音楽。
当然、自由ということと好き勝手ということとは違い、与えられた楽譜からどこまでできるかという「境界線」は存在すると思うし、それを見極めるのが演奏者のセンス(技量)。
このビオンディ盤は、そのギリギリのところまで足を踏み出しているように感じる(ひょっとするとちょっとはみ出てしまっているかも...)。
ただ、何曲も続けて聴いていると、演奏のパターン(手の内)が見えてしまうような所もあり、また所詮『音(音符)の遊び』という気にもなってきて、なにかこの曲の持っている『音楽』の部分が抜け落ちてしまっているような...でも、たまに1、2曲聴く分にはちょうどよい刺激になる。
『正統派』の演奏としては...
▲ イタリア合奏団
1988年録音。
作為のない自然な音楽作り、そしてなにより美しいサウンド。
あの手この手の古楽器系の演奏が多い昨今、こうい演奏を聴くとホッとする。
▲ N・マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団
1972年録音。
通奏低音の演奏で参加しているホグウッドの監修による演奏。ヴァイオリンのソリストには後に指揮者としても活動するアイオナ・ブラウン女史の名前もあります。
「四季」と同様に発売時に話題になったけれども、今聴いてみると決して『過激』なことはなく、装飾なども決してやり過ぎない、程よい節度を感じる。
個人的にはこの演奏が一番気に入っている。
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