ヒンデミット 弦と金管のための演奏会用音楽
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■ P・ヒンデミット作曲/弦と金管楽器のための演奏会用音楽
編成ゆえに派手さはないものの、人気のある「ウェーバーの主題による交響的変容」などよりも、はるかに素晴らしい名曲だと思う。
そのタイトル通り、弦楽合奏と金管楽器(4+4+3+1)のための作品。
一緒に演奏するだけでなく、それぞれがアンサンブルとして演奏する部分もあり、スコアは実に見事に書かれていて、まさに(いい意味での)『職人技』だ。
しかし、この曲名もカッコイイ。
「弦と金管のための演奏会用音楽」...正にその通りであって、そこに余計な解釈、想像力が入り込む余地は全く無い。
同じような曲にタイトルを色々付け替えるだけのようなことはしない。ここに書かれている音符が全て。それ以上でも以下でもないのだ。
バリバリの硬派。甘っちょろい情緒は不要。
▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
1978年録音。
金管楽器はちょっと『軽く』感じる。また、第2部は金管が弦の後ろに引っ込んでしまっている。第1部後半の弦のユニゾンはさすが素晴らしい。
個人的にはもっとハードな演奏で聴きたいところ。
▲ L・バーンスタイン指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック
1961年録音。
冒頭からバリバリと鳴る金管。ユニゾンの旋律に重なる不協和音。第2部も元気いっぱいで、アメリカ的、ニューヨーク的な匂いが漂い、バーンスタイン作品を聴いているような気分にもなることもある。
イスラエル・フィルと再録音しているけれども、私はニューヨーク時代のバーンスタインの方が好きだ。
カップリングは「交響曲変ホ調」と「ウェーバーの主題による交響的変容」。
J・ビエロフラーヴェク指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団。1994年録音。
ビエロフラーヴェクは地味で堅実な印象があって、この録音でもそれは覆らないのだけれど、チェコ・フィルの『音』で聴かせてくれる演奏。
落ち着いた、暗めの色調。柔らかで豊かなサウンド。
金管バリバリの演奏も好きだけれども、こういった雰囲気の演奏も悪くない。
カップリングは「画家マチス」と「管楽器、ハープとオーケストラのための協奏曲」。
【映像】
▲ P・ヒンデミット指揮/シカゴ交響楽団
1963年4月7日のライブ録画。
あのヒンデミットの自作自演の映像。しかもオケはシカゴ響。
元はボストン響のために作曲された曲で、ジャズ的な雰囲気もある。
パワフルな弦楽器。安定感のある金管セクション。正にシカゴ響向けの曲ではなかろうか。カッコイイ!
この曲の演奏としては外せない。観るべし!
トランペットのトップを吹いているのはハーセス氏。
その他に、ライナー、ストコフスキー、ヒンデミットの貴重な映像が収録されています。
■ライナー指揮(1954年録画)
交響曲第7番(ベートーヴェン)
シバの女王の到着(ヘンデル)
エグモント序曲(ベートーヴェン)
■ストコフスキー指揮(1962年録画)
トッカータとフーガ ニ短調(バッハ/ストコフスキー)
ハイドンの主題による変奏曲(ブラームス)
スペイン奇想曲(R・コルサコフ)
■ヒンデミット指揮(1963年録画)
弦楽と金管楽器のための演奏会用音楽(ヒンデミット)
交響曲第7番から第1楽章(ブルックナー)
大学祝典序曲(ブラームス)
オーケストラはいずれもシカゴ交響楽団。
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