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シベリウス 交響曲第2番

CD&DVD

 ■ J・シベリウス作曲/交響曲第2番

 シベリウスの交響曲の中で最も演奏頻度の高い曲。私もこの曲から入りました。

 

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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1957年のCBS録音盤。シベリウスとオーマンディとのツー・ショット。

 作曲者自身が高く評価していたというオーマンディのシベリウス。

 1957年というとシベリウスが亡くなった年。

 いたずらに煽らない、とても素朴な印象の演奏。もちろんオーケストラは鳴っているし、そのサウンドもいい。

 バルビローリの熱さとか、バーンスタインのようなドラマチックな展開は無く、個人的には若干物足りなくも感じるのだけれども、余計な色が付いていないとも言える。


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 ▲ C・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団

 1994年録音。定評のあるデイヴィスのシベリウス。

 決して声を荒げることがない、落ち着いた、暖かみのある音楽。懐の深さを感じさせる、堂々としたスケールの大きい演奏。

 ただ、長らくバルビローリ盤(EMI)に慣れ親しんだ身からすると、どこか肌合いが違うように感じるのも事実。

 要は『穏やか』なのだ。特にティンパニが大人しく感じる(節度がある?)。また、第2楽章でティンパニが抜け落ちるの個所があるのは指揮者の判断なのか、単に奏者のミスなのか(だったら録り直してほしいけれど...)。

 「クレルヴォ交響曲」を含む全交響曲と主要管弦楽曲を網羅した7枚組み。2,000円ちょっとという価格を考えると、とてもコスト・パフォーマンスがいいセットです。


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 ▲ P・ベルグンド指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

 1986年録音。

 スケールの大きいドラマチックな感動巨編...そんなイメージもある曲だけれど(行き着く先はバーンスタイン盤か)、この演奏は全く趣きを異にするのだ。

 優しく繊細な表情が付けられ、テンポも停滞せず(演奏時間は40分を切る)、これ見よがしな『溜め』を作ることもない。第4楽章の第1テーマも何の気負いもなく演奏される。

 決して荒々しくならない金管、ティンパニも控えめだけれども、終結部のロールは効果的だ。

 「これ1枚あれば...」というものではないけれども、アグレッシブなシベリウスに耳が疲れた時、こういう「シベ2」もいい。


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 ▲ L・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1964年録音。

 まずは、オーケストラのローカルな、垢ぬけしていない響きがいい。

 マゼールは強力に自己主張するけれども、それがストレートに出過ぎずに、オケの音楽と上手く中和されているように感じる。

 いわゆる『北欧的』な雰囲気は無いにしても、とても楽しめる。


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 ▲ O・カム指揮/ヘルシンキフィルハーモニー管弦楽団

 1982年2月4日、大阪フェスティバルホールでのライブ録音。

 冒頭の弦楽器の4分音符の、暖かく広々とした響きからホッとする思いがする。これが自分の中での「シベ2」だ。

 超有名曲だけに、あの手この手を駆使、あるいはスコアに書かれている指示を意図的に強調するような演奏も多いけれども、音楽の流れが自然であり、それが、まさに自分の気持ちの動きと一致するのだ。

 カップリングの「フィンランディア」も◎。


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 ▲ 渡邉暁雄指揮/東京都交響楽団

 1973年4月17日、第52回定期演奏会。東京文化会館でのライブ録音。

 個人的な思い入れもあるかもしれないけれど、とても魅力的な演奏。

 このコンビの演奏は何度となくコンサートで聴き、渡邉暁雄さんについては温和で紳士的な印象があるのだけれども、これは全く違う。

 ティンパニや金管の強奏は荒削りではあるけれども、強力に自己主張する。(悪い意味ではなく)アマチュアっぽい感じすらある。

 第2楽章や第4楽章の第1主題なども、速めのテンポで、どんどん音楽を前へ進めていく。

 昨今のインバルなどとのライブ録音と比べれば、技術的な精度という点では遠く及ばないと思けれど、まだ新しいオーケストラが渡邉氏を音楽監督に迎えて、さあ、これからビッグになるぞという、その勢い、ポテンシャルの高さを感じさせる。

 カップリングは交響曲第1番。


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 ▲ O・ヴァンスカ指揮/ラハティ交響楽団

 1996年録音。

 とても丁寧に作り込まれた演奏...ではあるけれども、音楽と距離感を置いた感じがあって、今一つ入り込むことができない。

 テンポやダイナミック(強弱)の設定が、あくまで『解釈』としてしか見えてこず、その向こう側にあるはずの音楽が感じられない。

 例えば第2楽章。終わり近くの木管や弦楽器の32分音符の動きは譜面通りにきちんと揃えて演奏しているのだけれども、そこまで。また、ほとんど聞こえないような弱音も、さすがにやり過ぎではと思う。

 カップリングは交響曲第3番。


 【映像】

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 ▲ L・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1986年のライブ録画。

  1,2,5,7の4曲が収録されているDVD。シベリウス作品の映像ソフトは少ないので、そういう面では貴重。で、バーンスタインには、やっぱり最初の2曲が合ってると思う。

 第2楽章、果てしなく引き伸ばされた金管楽器のクレッシェンド(息が...)。そして、その後の長い間(ま)は、そこで時間が止まってしまったかのようだ。

 フィナーレは予想通り大きく盛り上がり、演奏が終わった後は指揮者も感無量といった体。

 CDで音だけ聴くと「さすがに、これは...」となるかもしれないけれども、映像が付いていると引き込まれてしまう。


【スコア】

 

 その昔に買った、シベリウス作曲の「交響曲第2番」のポケット・スコアがぼろぼろになってしまったので、新しいスコアを購入した。

 以前から持っていたのはブライトコプフ版(海外版)だったけれど、安いし、すぐに入手できるので国内版(音楽之友社版)を発注。届いたスコアを見てみると...

 もちろん、曲(音符)そのものは両方とも同じなのだけれども、その譜面の版組(レイアウト)で、見た目はもちろん下手すると曲の印象そのものも、こんなに違ってしまうものかと驚いた。

 見慣れていたというのもあるにしても、ブライトコプフ版は『密度が濃く』、音友版は『スカスカ』な感じなのだ。

 当然、これは主観なので良い悪いの話ではなく、逆の印象を持つ人もいると思います。

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 ▲ ブライトコプフ版

 S2_score_2

 ▲ 音楽之友社版

 ちなみに、市販されている吹奏楽譜のスコアを見ると、妙に『汚い』譜面に出くわすことがある。おそらく何らかのコンピュータ・ソフトで入力し、レイアウトもそのソフトの設定に任せているのかもしれない。

 「音にしてしまえば同じ」と言うかもしれないけれど、楽譜の見た目は、その曲の印象そのものにも影響を及ぼすと私は思っている。

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