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シベリウス 交響曲第1番

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 ■ J・シベリウス作曲/交響曲第1番

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 ▲ L・ストコフスキー指揮/ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団

 1976年録音。

 まず、曲想からしてストコフスキーにピッタリの曲であると思う。

 導入部のクラリネットのソロは表情豊かで、こちらに語りかけてくるようだ。

 第1楽章は正攻法ではあるけれど、第1主題導入のヴァイオリンのトレモロを弱音で演奏させるなど、独特のニュアンスがあり、再現部第2主題のハープも幻想的で美しい。

 第2楽章は遅いテンポでじっくりと曲を進め、快速の第3楽章はティンパニもビシビシ決まる。

 第4楽章は普通の演奏で聴くと、何とも大袈裟で居心地が悪いこともあるのだけれども、ストコフスキーは一気呵成に飛ばし、そのようなことは全く感じさせない。雄大な第2主題部はお得意とするところだろう。

 最後、コーダに入って再びテンポ・アップ。そのため音楽がもたれることが無い。

 この曲の多くの録音を聴いたけれども、その中でも出色の演奏だと思う。「ストコフスキーだから・・・」と敬遠するなかれ。


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 ▲ L・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1963年録音。

 第1楽章、クラリネットの長いソロによる序奏から主部へ入ると、バイオリンの刻みがささやくような弱音で始められる。

 そこから勾配を徐々に登って行き、トランペットも加えた「fff」の頂点へ到達して爆発。荒々しい金管楽器、ティンパニ。お見事。

 音楽はアグレッシブであり、随所に「そう来るか」という表現が見られ、下手すると手持無沙汰になる(冗長な)音楽が、最後まで弛緩することがない。

 音の感触は『北欧』的ではないにしても、とにかく面白く聴ける。

 しかし、若干33歳で、ウィーン・フィルを振ってこれだけの音楽を作り上げるのだから、やっぱりタダ者ではない。


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 ▲ P・ベルグルンド指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

 1986年録音。

 第1楽章、主部冒頭のバイオリンの刻みはクッキリと鮮やかに。マゼールとは反対のやり方だけれども、これもインパクトがある。

 その第1主題の頂点では、やみくもにパワーを爆発させるのではなく、キッチリと抑制が効いている。

 第1楽章のエンディング、コントラバスの「E」の音の上にチェロが「E-F#-G」と動き、ここにティンパニのロール(H)が重なってくるものだから、多くの演奏では混沌としてしまっているのだけれども、ここもはっきりと音の動きが聞こえてくる。

 スタッカートの指定をテヌートに変えたりなど、『譜面通り』という訳でもないけれど、全曲、しっかりとコントロールされ、音楽が作り込まれている。

 迫力や勢い一辺倒の演奏に辟易している向きにはオススメ。


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 ▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1962年録音。CBS盤。

 シベリウスの交響曲の中では、一番オーマンディに合っているように思える曲。

 第1楽章や、第4楽章の第2主題部など、遅めのテンポを取り腰を落ち着けた演奏。イケイケ一方の、浮ついた感じはしない。

 ただ、全体的に穏やかに過ぎるというか、のんびりとした感じに聞こえ、正直、これと言った魅力は少ない。

 細かい部分でスコアには手を加えているけれども、第1楽章でシンバルを追加しているのはいただけない。

 シベリウスはこの楽章に1箇所だけシンバルを入れていて(再現部、第1主題の最後)、それが非常に効果的なのだけれども、他の箇所にも加えることによって、その効果が薄れてしまっている。


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 ▲ O・ヴァンスカ指揮/ラハティ交響楽団

 1996年録音。シベリウス録音で有名になったコンビの録音。

 第1楽章主部は速めのテンポ感が心地よく、曲想のコントラストもあり、とても面白い。熱く語るというよりもドライな、いわば『今風』な感じがする。

 第3楽章も速いテンポで、ティンパニの打ち込みとともに小気味よく音楽が進む。

 フィナーレの主部も快適。第2主題部もスッキリとした味わいでベタな感じがなく、ここは好みの問題か。

 第2楽章の途中、"Meno" と指定された部分で大きくテンポを落とすけれど、ちょっと間延びした感じ。


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 ▲ サラステ指揮/フィンランド放送交響楽団

 1993年、サンクト・ペテルブルグでのライブ録音。

 泥臭さ、汗臭さはない、スマートに、またニュアンスを豊かにまとめられた演奏。その中にライブとしての『熱さ』もある。余計な自己主張もないのでオススメ。

 金管もやみくもに鳴らすということはなく、ティンパニも同様で、決めるところは決めるけれども、第1楽章のエンディングも音量を抑えて低弦の動きをはっきりと聞かせる。第3楽章などはスリリングだ。

 同じコンビによるセッション録音もあり、そちらもいいのだけれども、第4楽章はこちら(ライブ録音)の方がはるかにいい。


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 ▲ C・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団

 1994年録音。

 堂々と恰幅の良い、ある種『貫禄』を感じさせる演奏。

 金管は鳴っているけれども、響きが汚くなったり、荒々しくなったりはしない。

 冒頭のクラリネットの大きな表情とか、第4楽章の途中でいきなりテンポを落としたり、意外に自己主張が強い所もある。

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 そんな感じで結構楽しめるのだけれど、第3楽章のティンパニ(↑)は何だか気が抜けた感じがして物足りない。ここはピシッと決めてほしい。

 他の楽章では相当な存在感を見せている部分もあるので、スコアの指定(「f」「ff」「fff」)を意識して叩き分けさせているんだろうか。


 【映像】

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 ▲ L・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1990年のライブ録画。

 メガネ(老眼鏡?)を左手に持ち、それを掛けたり外したりしながらの指揮。

 第1楽章冒頭の長いクラリネットのソロは、シュミードル氏が身を乗り出すように(腰を浮かせて)演奏するが、音楽が高揚し、第1主題が金管楽器で演奏される部分では、観ている(聴いている)こちらも熱くなり、思わず身を乗り出してしまう。

 若書きの荒々しさも感じる、ストレートな音楽。バーンスタインのシベリウスでは、この曲が一番合っているように思う。

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