ガーシュウィン ポーギーとベス
BD&CD
■ G・ガーシュウィン作曲/オペラ「ポーギーとベス」
▲ サンフランシスコ歌劇場
2009年、サンフランシスコ歌劇場でのライブ録画。
「サマータイム」を始めとするナンバーや、オーケストラ、吹奏楽の抜粋版、編曲版で演奏されることが多い名作オペラ。そのオリジナル全曲版のステージ。
ドラマ、音楽の素晴らしさはもちろん、ポーギーとベスを引っ掻き回す荒くれ者でベスの元夫クラウン、いかにも『小悪党』といった風体のスポーティンライフが、ヒールとしての見事な存在感。
ポーギーがベスを追ってニューヨークへ向かうエンディング、「おお主よ、出発します(O Lawd, I'm On My Way)」は感動モノ(決してハッピーエンドではない)。
結局、ポーギーはベスに会えたんだろうか。でも「行かない」という選択肢は無かったんだろうなぁ...。
▲ S・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1995年(ベルリン・フィル首席指揮者就任前)のヴァルトビューネ・コンサート。
コンサート形式での抜粋版の演奏。見ものはスポーティング・ライフ役のデーモン・エヴァンスの悪党ぶり。
【管弦楽版】
管弦楽によって演奏されるハイライト版としては主に以下の2種類があります。
1.ベネット編曲による「交響的絵画」
2.ガーシュウィン自身による演奏会用組曲
【1】 G・ガーシュウィン作曲(R・R・ベネット編曲)/交響的絵画「ポーギーとベス」
▲ A・ドラティ指揮/デトロイト交響楽団
1982年録音。
同名の名作オペラをベネットが編曲した管弦楽作品。
オペラのストーリを追っているのではなく、また単純に有名なナンバーを繋いだものでもなく、このオペラの持っている『雰囲気』を見事に表現している、「メドレー」でも「ハイライト」でもない、まさしく「交響的絵画」として再構成している。
演奏は生真面目な雰囲気もあるけれども、"symphonic" と題されたこの曲にはふさわしいと思う。
カップリングは「グランド・キャニオン」組曲。
▲ C・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団
1988年録音。全盛期のコンビによる華やかなオーケストラサウンドが聴ける。
▲ A・プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団
1980年録音。抜粋版。
ひたすら派手でゴージャスなサウンド(映画音楽風?)、金管の鳴りが気持ちイイ。
プレヴィンはベネット版を大胆にカットして、有名なナンバーの『メドレー』として作り上げている。
冒頭の数分間、物売りの声などキャットフィッシュ・ロウの情景を描いた音楽をばっさりカット、いきなりオペラのオープニングの華やかな音楽で始まり、「サマータイム」へと続く。途中の嵐の音楽もカット。
こうなると、ベネットが意図した「交響的絵画」というコンセプトからは外れてしまっているけれども、そう割り切ってしまえば(ベネット版に拘らなければ)、最高に楽しい「メドレー」になっている。
カップリングはガーシュウィン作曲の「セカンド・ラプソディ」と「ピアノ協奏曲」。
▲ E・スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団
1980年のライブ録音。所々カット有。
ギトギト濃厚の「サマータイム」や「ベス、お前は俺のもの」。アップテンポになると阿鼻叫喚。そして、エンディングは思いっきり引き伸ばします。
受け付けない人は一口で吐き出す(私は大好物)。劇薬注意!
【2】 G・ガーシュウィン作曲/「キャットフィッシュ・ロウ」組曲
▲ E・カンゼル指揮/シンシナティ・ポップス管弦楽団
オペラ「ポーギーとベス」に基づく、ガーシュウィン自身による組曲。
1.キャットフィッシュ・ロウ
2.ポーギーは歌う
3.フーガ
4.ハリケーン
5.おはよう、シスター
有名曲のメドレー(接続曲)と言うよりは、原曲を重視したオーケストラ用の組曲。
1曲目はオペラのオープニング、華やかな導入からジャズボ・ブラウンの弾くピアノのブルース、続いて有名な「サマー・タイム」。
2曲目は有名なナンバー、バンジョーによる「俺にはないものばかり」と、ベスとのデュエット「ベス、お前は俺のものだ」。
続く2曲は緊迫感のあるドラマチックな音楽が展開され、最後はポーギーが旅立つオペラのエンディング「おお主よ、私は出発します」。朝の情景から晴れやかな幕切れになる。
カンゼル盤は明るいサウンド、決してシンフォニックに重くなり過ぎない、ある種の軽さがあるところがいい。
▲ J・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団
1990年録音。
予想通、りパワフルで勢いのある筋肉質の演奏。速めのテンポでキビキビと進められる。
2曲目のバンジョーは大人数で弾いている?
シンフォニックと言えばそうだけれども、個人的にはもっとリラックスした雰囲気の演奏を聴きたい。
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