ドヴォルザーク 「自然と人生と愛」3部作(クーベリック)
CD
■ A・ドヴォルザーク作曲/3部作「自然と人生と愛」
▲ R・クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団
1973年(「謝肉祭」のみ)、1976年録音。
「自然と人生と愛」という演奏会用序曲の3部作。
序曲「自然の王国で」(作品91)
序曲「謝肉祭」(作品92)
序曲「オセロ」(作品93)
ドヴォルザークは3曲続けて演奏されることを意図していたそうで、「自然の…」のテーマが他の曲でも現れます。
ただ、現実は「謝肉祭」が単独で演奏(録音)されることが殆ど。
「自然の…」はのどかな田園風景を思わせる穏やかな音楽。
大きな盛り上がりや華やかな演奏効果が無いので(最後も静かに終わる)、コンサートではまず取り上げられないけれども、ドヴォルザークらしい伸びやかな音楽がとても魅力的だ。
ヘ長調という調性からも「田園交響曲」を意識しているところもあるのかもしれない。
鳥の鳴き声を模倣するようなフレーズも聴かれて、深刻な影が無い、終始のどかな音楽が展開され、ワルツ風の第2主題部もいい。
このクーベリック盤は作為のない暖かな音楽。ヴァイオリンの対向配置も効果的。
続く「謝肉祭」の陽気な賑わい、楽しさ。中間部はしっとりと聴かせる。
一転して「オセロ」ではドロドロとした人間模様。
最後の『愛』(オセロ)が幸せな満ち足りたものでなく、そこから生まれる『嫉妬』をテーマにしていたり、また、後年に書かれた4曲の交響詩も『暗い』題材を描いているところなど、ドヴォルザーク自身の一面を感じることができる。
この3部作を続けて聴くことで、聴き慣れた(?)「謝肉祭」も、また違った趣が感じられる。
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