オッフェンバック(ロザンタール編) パリの喜び
CD
■ J・オッフェンバック作曲(ロザンタール編曲)/バレエ音楽「パリの喜び」
序曲と23曲のナンバーから構成されるけれど、似たような曲も多く長いので抜粋で録音されることも多い。
小長谷宗一編曲による吹奏楽版(数曲の抜粋版)が演奏されることも多いけれど、ここでは「天国と地獄」の華やかなカンカンで終わります。
【全曲盤】
▲ C・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団
指揮者・作曲家のM・ロザンタールがオッフェンバックの曲をベースに編曲(作曲)したバレエ音楽。オーケストレーションは今一つ洗練されていないけれど、しかしメロディはいいし、カンカンなどの賑やかな雰囲気も楽しい。
このデュトワ盤は本当に素晴らしい演奏。特にスローなワルツの雰囲気は最高。甘い(甘ったるい?)音色もピッタリ。正直、全曲通して聴くのはしんどいですが、好きな曲だけ抜き出して聴くのは最高です。
▲ M・ロザンタール指揮/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
1996年録音。ロザンタールの新録音盤。
とにかく編曲者自身の指揮であり、ロザンタールは指揮者としても有名なので、そういう意味では貴重な音源。
落ち着いたテンポで雰囲気で流さない(その分、もっさりした感もあるけれど)、基本、1976年録音の旧盤(EMI)と同じアプローチで(リピートの仕方など異なっているが)、遅いテンポがいい味を出している部分もあり、もたれる部分もあり。
▲ M・ロザンタール指揮/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
1976年録音。旧録音盤。
ロザンタール盤については、正直、新旧どちらか持っていればいいような気もするけれど、カップリングが旧盤はボスコフスキー指揮によるワルトトイフェルのワルツ集(御存知「スケートをする人々」、TVのCMでも使われた「女学生」、シャブリエのメロディによる「スペイン」など)。新盤の方は、これもロザンタールが編曲した「オッフェンバッキアーナ」という組曲。
後者は音源的に貴重だし、かと言って前者も捨てがたい...で結局両方買ってしまう羽目になるのか(安いし)...
しかし、サウンドや雰囲気であればデュトワ&モントリオール盤(Decca)に敵うものは無し。
【抜粋盤】
以下は抜粋盤。
▲ L・マゼール指揮/フランス国立管弦楽団
1979年録音。
序曲と17曲の抜粋だけれども、カットされているのはあまり面白くない曲や、ロザンタール自身が新たに作曲した曲なので全く問題ない。
マゼール自身、この手の曲は得意なのだろう。各曲を見事に描き分けていて、オーケストラのサウンドも文句なし。「ホフマンの舟唄」によるエンディングも雰囲気満点。
「全曲盤」に拘らなければイチ推し。
ただ、曲ごとにトラックが分かれていないので、特定の曲を取り出すには不便。
LPでは「死の舞踏」(マゼール自身がヴァイオリンを担当)、「魔法使いの弟子」とのカップリングで出ていて、そのジャケットのデザインはこれ(↑)でした。
▲ カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1971年録音。あくまで雰囲気重視。
アップ・テンポの曲は、結構粗い(雑な)感じもするけれど(最後の「カンカン」では打楽器が飛び出している)、、ワルツ系のナンバーでこそカラヤンの本領発揮といえる。
思いっ切りポルタメントをつけた、人口甘味料たっぷりの甘ったるい音楽。身体に悪いとは思いつつも、ついつい手を伸ばしてしまう魔力がある。もはや理性は一欠けらも無い。
特に14曲目の「ワルツ」は、この1曲を聴くためにだけでも、このCDを所有する価値がある。
元々、似たような曲が並んでいるので、ハイライト盤でも十分楽しめるけれど、最後は「ホフマンの舟唄」で余韻をもって締める(このカラヤン盤の様に)...これが、この曲のミソだろ。
▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
1963年録音。カラヤンのような陰はなく、もっとあっけらかんと、健康的。
抜粋版ではあるけれども、美味しいところは全て入っているし、最後は(当然ながら)「ホフマンの舟歌」で締める。
華やかで賑やかな(騒々しい)、そして理屈抜きに楽しい音楽は、正に、このコンビのものだと思う。
▲ P・シュトラウス指揮/ベルリン放送響
デュトワのような洒落っ気もないし、カラヤンのような色気(イヤラシさ)もなく、なんだか素っ気ないけれども、活き活きとした、妙に味のある演奏。でも「ヴァルス・レント」のテンポは速過ぎ。
木管楽器(特にPiccolo)がハイ・トーンを息も絶え絶えに「ヒーヒー」吹いているけれども、これはロザンタールのスコアがそうなっているので仕方がない
ロザンタールはラヴェルに作曲を学んだらしいけれど、一体どんな曲を作曲しているのだろうか。「吹く人の身にもなってほしい」という以前に、何だか大雑把だなぁ(ラヴェル先生の繊細さや緻密さは皆無)、という印象なんだけれど...。
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