コープランド 赤い子馬
■ A・コープランド作曲/「赤い子馬(The Red Pony)」組曲
スタインベック原作による映画「赤い子馬」(1949年)のために書かれた音楽を基にした組曲。
1.牧場の朝
2.贈り物
3.夢の中の行進/サーカスの音楽
4.Bunkhouse(飯場?)へ向かって
5.おじいさんの物語
6.ハッピー・エンディング
「西部劇」系。とにかく分かりやすくて楽しい音楽。譜面も変拍子などの凝った箇所が殆どない。もちろん、サウンドは紛れもないコープランド。
この曲、個人的には吹奏楽向きではないかと思っていて、「エル・サロン・メヒコ」や「カウボーイの休日」のようなヤヤコシイ曲よりも(それに快感を覚える人もいるかもしれないけれど)、こちらの方がよほど演奏して楽しいのではなかろうか。
ちなみに「サーカスの音楽」は管打楽器のみの編成。
ただ、出版されている吹奏楽版(作曲者自身による編曲?)は「3~6」の抜粋版。「6」では「1」の音楽を再現し、全体としてシンメトリカルな構成になっているので、「1」が抜けているのはちょっと寂しい。
▲ L・スラットキン指揮/セントルイス交響楽団
1982年録音。明るくて決して重くならない音楽は、この曲を楽しむには十分の演奏。
▲ A・プレヴィン指揮/セントルイス交響楽団
1963年録音。
明るくて、暖かみのあるサウンド。ハッピーな雰囲気の楽しい演奏は、この曲にはピッタリだと思う。
カップリングのブリテン作曲の「シンフォニア・ダ・レクイエム」(1940年)共々、当時としては完全に同時代の音楽と言える。(「赤い子馬」は1948年)
CDの解説には「『シンフォニア・ダ・レクイエム』が録音されたのは初めてのこと」とあるけれども、作曲者自身の指揮によって1953年に録音(ただしモノラル)されている(オケはデンマーク国立放送響)ので、正しくは「初めてのステレオ録音」ではなかろうか。
ちなみに、ブリテン指揮によるステレオ新録音は1964年。
▲ E・バティス指揮/メキシコ市フィルハーモニー管弦楽団
スラットキンやプレヴィンと違って、サウンドもリズムも垢抜けない。
また、「夢の行進」ではトロンボーンとチューバがすっぽり抜け落ちたり、次の「サーカスの音楽」では途中からテンポが走り出し、不安定なまま、最後に大太鼓が「ドン!」と飛び出してしまう。
続く「Bunkhouseへ向かって」は「4分の(3+2)拍子」なのだけれども、どうもそのリズムに乗り切れない。
2曲目冒頭のハープの低い音が聞こえないけれど、この演奏なら「まっ、いいか」と寛大な気持ちになる。
以上をまとめると...
① 熱くなるとテンポが速くなる
② 時々落ちる
③ ムツカシイ譜面は苦手
このアバウトさと勢いは「さすがメキシカン(@ラテン系)」...と言ってよいのか分からないけれど、元気がいいのは間違いない。
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