ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第2番
CD
■ D・ショスタコーヴィチ作曲/ピアノ協奏曲第2番
▲ C・オルティス(ピアノ)/V・アシュケナージ指揮/ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
1989年録音。
息子マクシムのために作曲された曲で、ショスタコーヴィチの作品としては珍しい屈託のなさ。特に第2楽章の甘美で詩的な音楽は『裏読み』の入る余地もなく、ストレートに美しい。
第1楽章のピアノのカデンツァ(モーツァルト風)の前などは、いかにもショスタコーヴィチらしい雰囲気を感じる。
この曲を最初に聴いたのが、このCDで、今でもとても気に入っている。特に第2楽章がいい。
ちなみに、第1楽章がディズニー映画「ファンタジア2000」で使われていて、アンデルセンの童話「スズ(錫)の兵隊」によるエピソード。
物語はオリジナルとは違って、いかにもディズニー風のハッピー・エンドに変えられているのだけれども、これが実に見事に映像(ストーリー展開)とシンクロしているのだ。
発想として、曲が先なのか、ストーリーが先なのかは分からないけれども、本当によく出来ていて一見の価値あり。
▲ E・リスト(ピアノ)/M・ショスタコーヴィチ指揮/モスクワ放送交響楽団
1975年録音。この曲を献呈されて、初演時にピアノを弾いた息子マクシムの指揮による録音。
第1、3楽章はピアノもオケも猛烈な勢いとテンションで突っ走る。まさに息をつく間もないような演奏。
第2楽章はもっと繊細さが欲しい気もするけれども、両端楽章の魅力は絶大。
▲ P・グルダ(ピアノ)/V・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団
1993年録音。
厚みのあるオーケストラの充実したサウンド。
終楽章、弦のユニゾンで動き回る16分音符などはショスタコそのもの。第2楽章の抒情もいい。
カップリングはピアノ協奏曲第1番。
ソリストのパウル・グルダは1961年ウィーン生まれ。有名なフリードリヒ・グルダの長男だそうです(言われてみれば似ているような)。
ただ、この写真で見る雰囲気は、今一つ風采が上がらない中学校の音楽の先生みたいで、もっといい写真無かったのかしら...。
▲ A・メルンニコフ(ピアノ)/T・クルレンツィス指揮/マーラー・チェンバー・オーケストラ
2010年録音。
室内(少人数)オケによる演奏、メンバー表によると弦の編成は "8+6+4+3+2"。
クッキリとクリアなサウンド。ピアノの表情は多彩でニュアンスが豊か。特に第2楽章は最高に美しい。
▲ A・トラーゼ(ピアノ)/P・ヤルヴィ指揮/フランクフルト放送交響楽団
2011年録音。
第1楽章はやたらと威勢がよくて、さすがに粗っぽい感じがする。
オーケストラの編成は決して大きくはないのだけれども(金管はホルンだけ)、ピアノに煽られたかのように、あたかもシリアスなシンフォニーの如く鳴り響く。
第2楽章になると様相は一変、遅いテンポ、静けさの中に神経質な緊張感、繊細さが感じられる。
第3楽章ではまた第1楽章の雰囲気が戻ってきて、この振幅の大きさを面白いととるか、やり過ぎと取るか...。
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