シベリウス レンミンカイネン組曲(4つの伝説曲)
CD
■ Jシベリウス作曲/レンミンカイネン組曲(4つの伝説曲)
フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に基づいた、4曲から成る連作交響詩。
1.レンミンカイネンとサーリの乙女たち
2.トゥオネラの白鳥
3.トゥオネラのレンミンカイネン
4.レンミンカイネンの帰郷
初版では「2」と「3」の曲順が逆。
「トゥオネラの白鳥」が圧倒的に有名で録音の数も多く、単独で演奏される機会も多いです。しかしながら、他の3曲も非常に魅力的な音楽。
【全曲版】
▲ ユッカ=ペッカ・サラステ指揮/フィンランド放送交響楽団
1989年録音。カップリングは交響曲第7番。
サラステは1956年生まれのフィンランドの指揮者。
シベリウスの交響曲、主要な管弦楽曲を録音しているものの、話題になることは殆どありません。
でも、いい指揮者だと思うんですけど...この「レンミンカイネン組曲」(旧盤の方)も私の中ではベストです。
後にトロント響と再録音していますが、この旧録音盤の方が若々しい勢いを感じ、私は好きです。
▲ ユッカ=ペッカ・サラステ指揮/トロント交響楽団
1998年録音。カップリングは「夜の騎行と日の出」。
中間2曲の曲順を入れ替えて、「トゥオネラの白鳥」を3曲目に持ってきています。
▲ C・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団
2000年録音。
落ち着いたテンポで、丁寧に音楽を作っていて、特に中間2曲、「トゥオネラの白鳥」「トゥオネラのレンミンカイネン」がいい。
「トゥオネラの白鳥」は、本筋とは違うアプローチかもしれないけれども、人を寄せ付けない佇まいではなく、人間的な情感の感じられる音楽を、共感と緊張感を持って感動的に聴かせてくれる。
終曲の「レンミンカイネンの帰郷」は勢いに任せることなく、コントロールの効いた演奏で丹念に音楽を描いてゆき、途中のティンパニの効果、テンポを速めたコーダで、この組曲を締めくくる。
▲ E・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団
1978年録音。
響きは明るめで、確かに音色感に違和感を感じることもあるけれど、弦楽器を中心とした分厚いサウンド、密度の濃い音楽。
特に、第1曲目の後半、頂点へ向けての息の長い盛り上がりなどは圧倒される。
【抜粋版】
▲ J・バルビローリ指揮/ハレ管弦楽団
1966年録音。「レンミンカイネンの帰郷」と「トゥオネラの白鳥」の2曲のみを収録。
その昔買った、バルビローリ&ハレ管による「シベリウス作品集」のLP。
「フィンランディア」や「カレリア組曲」のような有名曲も入っていたけれど、中でも最も強烈な印象を受けたのが、この「レンミンカイネンの帰郷」。
4曲から成る「レンミンカイネン組曲」の終曲。
トゥオネラの白鳥を射るためにトゥオネラ川へ向かったものの、殺されてしまったレンミンカイネンは母親によって蘇生し、失意の中、故郷へ帰る。
演奏時間数分。故郷へ向かって、馬を駆るレンミンカイネン。16分音符による無窮動風の、ひたすら前へ進む音楽、金管楽器の荒々しく、厳しい響き。
組曲4曲をまとめた録音も多いけれども、この曲に関してだけは、これデフォルト。全てが「斯くあるべし」という演奏。
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