ショスタコーヴィチ 映画音楽「ハムレット」
CD&DVD
■ D・ショスタコーヴィチ作曲/映画音楽「ハムレット」作品116
▲ D・ヤブロンスキー指揮/ロシア・フィルハーモニー管弦楽団
2003年録音。
1964年に公開されたコジンツェフ監督の映画のための音楽。
「マニアも泣いて喜ぶ、出版譜による初の全曲盤!」だそうで、アトフミャンによる『組曲版』に、オリジナル・スコアからの15曲(全音版のスコアに収録されている曲)を加えたもの。
曲としてのまとまりは組曲版の方が上だとは思うけれども、オリジナル・スコア版も中々面白い。
オフィーリアを表す音楽ではチェンバロが用いられ、ファンファーレ以外にも管打楽器だけによるナンバーが何曲かあり、中でも金管と打楽器による「軍楽」は不協和音の強烈な響きがする。
CDのイラストを見ると、何となく『B級映画』の雰囲気が漂ってしまうけど(映画の写真は使えなかったのか?)、音楽は3管大編成によるシンフォニックなもので、序曲の出だしもムチを加えた鋭いハーモニーにホルンと弦の荘重なテーマで始まり、また後期の作品らしい打楽器も活躍する。
ちなみに、同じ作曲家による劇音楽「ハムレット」(作品32)は全くの別物なので要注意
演奏は正攻法のまっとうなもので、スケール感は今一つではあるけれども、かえって映画音楽の雰囲気は出ているし、少なくともサウンド的には、妙に明るいシャイー盤よりはシックリくる。
収録曲は上の通り。"Suite, No.X" と記載されているのが『組曲版』の曲。
▲ 全音から出版されているスコア
【抜粋盤】
▲ R・シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1998年録音。7曲の抜粋盤。選曲も演奏も中途半端な感じがする。
【組曲版】
アトフミャンによる8曲から成る組曲。この映画音楽のエッセンスは十分楽しめる。
▲ L・グリン指揮/ベルリン放送交響楽団。
▲ T・クチャル指揮/ウクライナ国立交響楽団
【映画DVD】
『ソビエトの<ハムレット>』として知られる映画。2時間半の長丁場。モノクロ、重厚なドラマ。
父親の幽霊が登場する場面のインパクト、「オフェーリアの死」での静謐な音楽など、映像との相乗効果でショスタコーヴィチの音楽が見事に生きてくる。
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