ホルスト(ジェイコブ編) 「吹奏楽のための組曲」の管弦楽版
CD
■ G・ホルスト作曲(G・ジェイコブ編)/吹奏楽のための組曲(管弦楽版)
ホルストが作曲した2曲の「吹奏楽のための組曲」の管弦楽版を収録したCD。編曲はG・ジェイコブ。
ちなみに「ムーアサイド組曲」の管弦楽版も入ってます。
▲ N・ブレイスウェイト(Nicholas Braithwaute)指揮/ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
1993年録音。
■ 組曲第1番 変ホ長調
なにはともあれ、弦楽器のパワー(表現力)は強力だ。第1楽章もそうだけれど、第2楽章の中間部。こればっかりは管楽器では敵わない。
ジェイコブの編曲は原曲のイメージを逸脱してはいないけれども、「シャコンヌ」の最後の和音に打楽器のロールを加えているところは大きな違和感がある。
原曲を知っている人には中々楽しく聴けると思うけれど、あくまで『コピー』といった感じなので、知らない人には果たしてどうだろうか。
演奏はロンドン・フィルなので悪くはないけれども、アンサンブルなど今ひとつ締まらないところもある。
■ 組曲第2番 ヘ長調(ハンプシャー組曲)
第1楽章「行進曲」の前半部はとてもいい。速目のテンポも快適。オケの管打楽器メンバーには、吹奏楽版を演奏したことがある人もいるのではなかろうか。
第2マーチはユーフォニウムではないので(ヴィオラなどで演奏)、そこが不満の人もいるかもしれないけれど、これはこれで英国風の気品のある行進曲に仕上がっている。
ただ、中間部はちょっと居心地が悪い。原曲のクラリネットのメロディは音域の関係からか1オクターヴ上げてヴァイオリンで演奏され、色々と楽器の変化が付けられているけれども、なんだかとりとめない。
これは第4楽章も同様。ごちゃごちゃして、「グリーン・スリーヴス」の効果も薄く、弦楽合奏版(セントポール組曲)の方がはるかにいい。エンディングのピッコロのソロはそのままだけれども、チューバは弦楽器(ベース)が担当。
第2楽章ではさすがにヴァイオリンの力が大きい。第3楽章も良い雰囲気。個人的には anvil(かなとこ)を、もっと派手に思い切り叩いて欲しいところだけど、ちょっと控え目。
「第1組曲」終曲の「マーチ」のみ、ボールト指揮による録音があります。
▲ E・ボールト指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
オリジナルのコピーではなく独自の世界を作っている。オーケストラは同じだけれども、「役者が違う」といった感じの見事な演奏。
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