ベルリオーズ 幻想交響曲(ノリントン&LCP)
CD
■ H・ベルリオーズ作曲/幻想交響曲
▲ R・ノリントン指揮/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
1988年録音。ノリントンの旧録音盤(EMI)。
初演当時の「楽器や演奏法(instruments and playing style)」による演奏。ノリントン自身による「演奏ノート」にある、"First of all, we try to play the score." という言葉が全てであるように思う。
第2楽章のコルネットは無し。第1、4楽章のリピートは行なっている。
現在では通常チューバで代用されるオフィクレイドをオリジナル通りに使用していて、その音の違いというのはハッキリと聴き取れる。
前半3つの楽章は軽やかなサウンドと肌触り(木管と弦)、流れの良い音楽。
第3楽章のオーボエとイングリッシュ・ホルンはぶっきら棒な感じだけれども、実際に羊飼いが吹く笛の音をイメージさせ、いかにも『描写的』。
第4楽章のテンポは落ち着いて感じるけれども、ベルリオーズの指定は「アレグレット・ノン・トロッポ(Allegretto non troppo)」なのだ(決して「アレグロ・モルト(Allegro molto)」ではない)。
さらには指定されたリピートを行っているので、演奏時間は約7分半。それにより、この交響曲の中での1楽章としての存在感が出てくる。
終楽章も現代の高性能オケによるパワー全開の演奏に比べると随分と大人しい感じもするけれど、これが当時響いていた音なのだろうか。
しかし、それによって後半2楽章が突出することもなく、さらには「5楽章の交響曲」という古典的な面が前面に出てくる、とても面白い演奏だと思う。
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