ドヴォルザーク 交響曲第3番
CD
■ A・ドヴォルザーク作曲/交響曲第3番
ドヴォルザークの交響曲中、一番有名なのが第9番「新世界より」、次いで第8番(昔の名前は「イギリス」)...とこれから番号を遡るに従って知名度も演奏頻度も少なくなっていき、第5番以前の曲が演奏されることは非常に稀だろう。
で、この「第3番」、中々面白い曲なのだ。
ドヴォルザークの交響曲の中で唯一の3楽章形式。
第2楽章にはハープが、第3楽章にはトライアングルが加わり、また独立したイングリッシュ・ホルンのパートがある(兼任ではない)。
調性が変ホ長調なのはベートーヴェンを意識しているのか、嬰ハ短調の第2楽章も "tempo di marcia"(行進曲のテンポで)の指定がある。
しかし、結婚目前に作曲されたということもあるのか、英雄的な力強さ、立派さよりも、その音楽は伸びやかで幸福感に満ちている。
▲ チョン・ミュンフン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1995年録音。イチ推し。
この無名の交響曲の素晴らしさを認識させてくれる演奏。「なんていい曲だ!」としみじみ思ってしまう。
暖かな情感、繊細さ、力強く安定感のあるオーケストラ。
この録音がある限り、この曲は私の中で後期の交響曲と同列のポジションに並びます。
カップリングは「交響曲第7番」。
▲ R・クーベリック指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1972年録音。このクーベリック盤は力強く堂々たる演奏。
中でも遅いテンポで進められる第2楽章(演奏時間18分弱)はスケール感があり、ブルックナーの交響曲を思わせる雰囲気もある。
【演奏時間】
クーベリック 11:56/17:55/8:13
N・ヤルヴィ 10:53/12:55/8:53
▲ N・ヤルヴィ指揮/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
1987年録音。このヤルヴィ盤は特に第1楽章がいい。
金管やティンパニを抑えたソフトな感触。情感を前面に出し、優美で抒情的な音楽はとても魅力的だ。
ただ、鳴らすところは鳴らし、エンディングのティンパニのロールなど、いかにもヤルヴィ(@父)らしい豪快さがある。
ただ、第2楽章の後半部から第3楽章については、もっとメリハリが欲しい気がする。
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