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ショスタコーヴィチ バレエ組曲「ボルト」

CD

 ■ D・ショスタコーヴィチ作曲/バレエ組曲「ボルト」

 3幕から成るバレエ音楽からの組曲で、以下の2つの版があります。

 【1931年版】

  1.序曲
  2.官僚の踊り
  3.荷馬車引きの踊り
  4.コゼルコフの踊りと彼の友人たち
  5.破壊者
  6.植民地の女奴隷の踊り*
  7.調停者*
  8.フィナーレの踊りと大団円

  *→1934年版ではカット

 【1934年版】

  1.序曲
  2.ポルカ※
  3.変奏※
  4.タンゴ※
  5.間奏曲※
  6.フィナーレの踊りと大団円

  ※→1931年版から曲名を変更(曲そのものはほぼ同じ)

 全音から出版されているスコアは1931年版。以下のCDではシャイーのみが1934年版。

 Dsch_m

 ▲ M・ショスタコーヴィチ指揮/ボリショイ劇場管弦楽団

 1966年録音。息子マキシムはまだ20代。当然、ソヴィエト時代の録音。

 「序曲」のオープニング、ビリつくようなスネア・ドラムのロールから朗々たるトランペットの吹奏。これから一体何が起きるのかというような不穏な雰囲気で始まる。

 圧倒的な迫力とエネルギー。金管楽器も素晴らしく鳴っているけれども(トランペットはドクシツェル?)、文化省オケのような荒っぽさ、泥臭さは無く、見事にまとまったサウンドを聴かせてくれて、当時のこのオケの実力を感じさせてくれる。


 Jazz_1_2

 ▲ D・ヤブロンスキー指揮/ロシア国立交響楽団

 2001年録音。カップリングは「ジャズ組曲第1番」「ジャズ組曲第2番」「タヒチ・トロット」。

 オケの非力感はあるけれども(特にボリショイなどと比べてしまうと)、なかなかいい雰囲気は出ている...

 ...と思って聴いていたら、何と「フィナーレ」のバリトンのソロをテナー・サックスで吹かせているのだ。さらには、バンダが入っていない。

 バンダはともかく、バリトン(ユーフォニアム)奏者の一人くらい何とか調達できなかったのか...というわけで、とんだ『珍品』です。


 Chailly_dance

 ▲ R・シャイー指揮/フィラデルフィア管弦楽団

 1995年録音。1934年版(6曲)での演奏。

 さすがにオケは上手く、明るく華やかなサウンドが楽しめる。ただ、あまりにキレイ過ぎて逆に違和感も...。終曲のバンダは無し。

 ショスタコーヴィチとしては珍しくホルン6本を使い、さらには大編成のバンダも加えるという、若き日のエネルギー、才気を爆発させるような音楽が、ずいぶんと大人しく(丸く)なってしまっているようにも感じる。


 Jarivi_bolt

 ▲ N・ヤルヴィ作曲/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

 1988年録音。カップリングは交響曲第5番。

 豪快にオケを鳴らした演奏。豪華な響きはするけれども、単にキレイなだけではなく、土臭い雰囲気も持っている。非ロシア系の録音としてはイチ推し。

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