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シベリウス 組曲「歴史的情景」(ラシライネン)

CD

 ■ J・シベリウス作曲/組曲「歴史的情景」

 Sibelius_hs

 ▲ A・ラシライネン指揮/ノルウェー放送管弦楽団

 2001年録音。

 「第1番(作品25)」と「第2番(作品66)」の2つの組曲があるけれど、内容的に関連性は無く、楽器編成、作風も全く異なる。同時に初演され、スコアの曲順も通し番号になっています。

 【組曲「歴史的情景」第1番】

  組曲「歴史的情景」第1番は、1899年に上演された民族的歴史劇ための音楽から3曲を抜粋・編曲したもので、以下の3楽章から成る。

  1.序曲風に
  2.情景
  3.祝祭

 ちなみに、この劇音楽の終曲は交響詩「フィンランディア」に編曲されました。

 知名度は低いとはいえ、いかにもシベリウス的な魅力的な音楽。交響詩を思わせるような第1楽章、カスタネットも加わったボレロのリズムを持つ第3楽章。

 なにより第2楽章の後半、混沌の中からハ長調の和音が沸きあがり、トランペットを中心とした金管楽器が堂々たる『愛国的』行進曲を奏でる部分は、本当に胸が熱くなる。「フィンランディア」に匹敵する高揚感がある。

 ラシライネンは1959年フィンランド生まれの指揮者。

 Rasilainen_2

 第1曲目冒頭の深い響きから音楽の『ハート』をしかっりと掴んでいる、見事な演奏。

 【組曲「歴史的情景」第2番】

 組曲第1番とは成立の由来が全く違う曲。同時に初演されているけれども、曲の趣きなどは全く異なる。

 楽器編成も第1番に比べると小さく、金管は4本のホルンのみ。でも、このホルンが大活躍します。

 第1曲「狩」。冒頭のホルンの響きからしてシベリウス以外の何物でもない。駆け回るような無窮動風な音楽から、最後は壮大なコラールに。

 第2曲「愛の歌」。ビオラの旋律から始まりハープの響きと共に高揚する、とても美しい音楽。シベリウスと言うと『自然』であったり『民族的』という言葉が思い浮かぶけれども、こういう曲も書いているのだ。

 第3曲「跳ね橋にて」。これはどういう情景だろうか。軽快な舞曲風。3度で重なったフルートのデュエットで始まり、エンディングでもフルートのソロが繰り返される。独特の『世界観』を持った音楽。

 このラシライネン盤は響きも瑞々しく、力強さもある、第1組曲同様、素晴らしい演奏。

 シベリウスは決して「フィンランディア」や「交響曲第2番」だけではない、こういう曲も是非。

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