プロコフィエフ バレエ組曲「ロメオとジュリエット」から(アンセルメ)
CD
■ S・プロコフィエフ作曲/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」から
▲ E・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
1961年録音。
第1、2組曲から10曲を抜粋してストーリー順に並べ替えている。
収録曲は以下の通り。
モンタギュー家とキャピュレット家
少女ジュリエット
マドリガル
メヌエット
ロメオとジュリエット(バルコニーの情景)
タイボルトの死
踊り
ロメオとジュリエットの別れ
ジュリエットの墓前のロメオ
この曲には多くの録音があるけれども、この音楽を単なるコンサートピースではなく、人間のドラマとして描いている点では、この演奏を超えるものを知らない。
それは1曲目の「モンタギュー家とキャピュレット家」から明らかで、続く「少女ジュリエット」と、2人の出会いの音楽「マドリガル」。フルートはジュリエットであり、ロメオは弦楽器が受け持つ。
華やかな「メヌエット」を経て「ロメオとジュリエット(バルコニーのシーン)」。プロコフィエフの作品中でも最高に美しい音楽であり、クライマックスではコルネットが素晴らしいソロを聴かせてくれる。これを聴いてしまうと、他のどの演奏も物足りない。
「タイボルトの死」で始まる後半部分は、一転悲劇へと向かう。「別れ前のロメオとジュリエット」の導入部のフルートのソロ、ここでのジュリエットはもう昔の彼女ではない。そして不安な気持ちの中での別れ。低音に終曲のテーマが現れ、後の悲劇を予感する。
結びは「ジュリエットの墓の前のロメオ」。バレエではこの後に「ジュリエットの死」(第3組曲の終曲)が続くのだけれども、この曲で十分だろう。前の曲も含めて、これもアンセルメ以上の演奏は知らない。
バレエ全曲版を聴くとか、ここに収録されていない組曲のナンバーを聴くとか、アンセルメ盤だけあればOKとは思わないけれども、自分にとっては最も魅力的な演奏なのは間違いない。
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