リムスキー=コルサコフ 「見えざる町キーテジの物語」組曲
CD
■ N・リムスキー=コルサコフ作曲/「見えざる都市キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲
▲ E・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1949年録音。BMG国内盤。UK盤(下記)には音の欠落があるので要注意。
モノラルではあるけれども、もともと迫力一辺倒の曲ではないので十分に楽しめます。
同名のオペラからの組曲。
1.前奏曲<自然への讃歌>
2.婚礼の行列~タタール族の侵略
3.ケルシェネッツの戦い
4.フェヴローニャの昇天と見えざる町の礼賛(アポテオーズ)
最後から2つ目のオペラで晩年の作品。組曲版への編曲はR=コルサコフの教え子であるM・シテインベルク(「金鶏」組曲と同様)。
ちなみに、このシテインベルクはリムスキー=コルサコフの娘婿。
凝った大掛かりなオーケストレーションの中に、抒情的で美しいメロディが散りばめられた音楽。
先日のノセダ指揮によるN響の演奏では「2」にバラライカも加わっていました。
終曲は演奏時間10分の長丁場。
淡々と終結へと向かう音楽は、下手すると単調で退屈になってしまうけれど、さすがムラヴィンスキー、テンポを落とした力強い金管楽器のコラールまで緊張感が緩むことなく持って行ってくれる。
鐘の音が鳴り響くヘ長調の大団円は、音楽そのものは単純な(陳腐な?)ものではあるけれど、見事なオーケストレーションによって幻想的な世界を描き出している。
カップリングは1949年録音の「悲愴」。この時、ムラヴィンスキーはまだ40代だけれど、基本路線は後年と変わらず、その演奏は凄まじいものです。
以下はUK盤。
なぜか1曲目最後の弦楽器による和音が欠落しています。カップリングの「弦楽セレナーデ」でも同様の欠落がある欠陥品。要注意です。
▲ ミハイル・ユロフスキ指揮/ベルリン放送交響楽団
1996年録音。指揮のミハイルは、最近話題の指揮者、ウラディーミル・ユロフスキの父上。
演奏は素晴らしく 柔らかく温かみのあるオケのサウンドがとてもいい。丁寧な音楽作りで、美しいメロディが際立つ。
第3楽章の「闘い」の音楽も十分に迫力があり、フィナーレのクライマックスの金管のコラールで大きくテンポを落とす(ムラヴィンスキー張りの)演出も決まっている。
ロシア的な土臭さを求めなければ、まず申し分ない演奏。
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