ドヴォルザーク 交響曲第1番「ズロニツェの鐘」(スイトナー)
CD
私が若い頃は「交響曲第9(5)番『新世界より』」と表記されていて、つまり、その昔、「新世界交響曲」は「交響曲第5番」でした。
これは、現在の第6番が第1番として出版されたことによるもので(その時、第5番以前の交響曲は出版されていなかった)、やがて、全9曲が出版されて番号が振り直されます。
新旧対応は以下の通り(カッコ内が旧番号)。
第1番「ズロニツェの鐘」
第2番
第3番
第4番
第5番(旧第3番)
第6番(旧第1番)
第7番(旧第2番)
第8番(旧第4番)「イギリス」
第9番(旧第5番)「新世界より」
第2番の出版が1959年。第1番の出版が1960年なので、番号が振り直されたのは1960年以後ということになるだろうか(意外に最近の話だ...)。
閑話休題。
■ A・ドヴォルザーク作曲/交響曲第1番「ズロニツェの鐘」
▲ O・スイトナー指揮/ベルリン国立歌劇場管弦楽団
1979年録音。ブラームスとドヴォルザークの交響曲全曲を収録したボックス・セット。
この第1番は作曲者が24歳の時に書かれた、最初の交響曲。
コンクールに応募したけれども落選。楽譜は紛失するものの、ドヴォルザークの死後にコレクターの遺品からスコアが発見されて1936年初演。
当然ながら、ドヴォルザークは演奏されるのを聴いたことは無く、楽譜も紛失していたので第2番のように改訂されることもなく、手つかずのままに残っていたのが現在出版されているスコア。
「ズロニツェの鐘」は作曲者自身による副題で、ズロニツェは作曲者が若いころ過ごした町の名前。
第1楽章提示部の管楽器による音型(↓)は明らかに「鐘」の音を模倣したものだし、それ以降も同様のフレーズが多々現れる
ホルンによるオープニングからしてカッコイイし(これも鐘の音を意識しているのか)、分かり易く親しみ易いメロディ、楽想が次から次へと現れ、音楽の勢い、流れが停まることが無い。
第2楽章の終結部のフレーズは涙ものだし、終楽章でのホルンなど管楽器の掛け合いによるエンディングも見事。第3楽章も後の交響曲では聴かれない曲想。
確かに『交響曲』としての構えは今一つにしても、単なる『習作』と片付けられない、極めて魅力的な音楽なのだ。
このスウィトナー盤は力強く、堅実な音楽と素晴らしいオーケストラのサウンド。この曲の魅力を十分伝えてくれる。
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