ショスタコーヴィチ 交響曲第8番(ムラヴィンスキーの映像)
DVD
■ D・ショスタコーヴィチ作曲/交響曲第8番
▲ E・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1982年の録画。
収録されているインタビューによると、コンサート本番の翌日に、同じホールで観客を入れずにTV収録用に演奏されたものらしい。
時々ソロ奏者がアップになるものの、それ以外は殆ど指揮者を中心に収録されている。
CDで出ているライブ録音はこれと同じものか、あるいは前日のコンサートだろうか。タイミングは微妙に違うけれども、映像の方は楽章の間にクレジットが入っているので、単純比較はできない。
この曲は具体的な表題こそ持っていないけれども、紛れもない『当事者』としての音楽であり、ハ長調で終わる終結部も(作曲者によれば「楽観的」で「人生肯定」の音楽らしいけれど)、決して紋切り型の解決ではない。
ムラヴィンスキーの身振りは大きくないものの、完全にこの音楽を自分のものとしている。見ているだけでも恐ろしさを感じる部分もあり、音だけ聴くならCDの方が状態がいいけれども、映像のインパクトは計り知れない。この曲に関しては『必見』と言ってもいいのでなかなかろうか。
インタビューでは初演時のエピソードや、ムラヴィンスキーが使用しているスコアに彼が演奏した全ての記録を書き込んでいること(実物を見せてくれる)、それらのほとんど全てに作曲者自身が立ち会っていることなどが語られる(例によって不機嫌そうな顔で)。
今後いかなる演奏が出てこようと、この音楽が作られた時代を再現することはできない。そういう意味で、この映像の価値は永遠に変わらないだろう。
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