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ラヴェル ボレロ(シェルヘン)

CD

 ■ M・ラヴェル作曲/ボレロ

 Scherchen_2

 ▲ H・シェルヘン指揮/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

 1957年録音。『迷演』として有名な録音。

 とにかく、私がかつて聴いた「ボレロ」の中で最も『ヘンな』演奏がこれ。

 この手の話になると話題に上るのがマゼール指揮/VPO盤(BMG)かもしれないけれど、あくまでアイデアというか仕掛けであって、面白いかもしれないが(かといって繰り返し聴きたいとは思わないが)決して『ヘン』ではない。

 このシェルヘン盤の最大の功労者(?)は小太鼓奏者ではなかろうか。

 と言うのも...

 ① 響き線をはずしている...そのため「とんとこ、とんとこ」和太鼓のような音がする。
 ② 妙な「決め」を入れる...指揮者の指示か奏者のアドリブかは不明。
 ③ トロンボーンのソロのバックで一瞬音が途切れる...これは奏者の技術的問題か。
 ④ 途中から2台になったときに2人が全然合ってない...これも技術的な問題、あるいは人間関係か。
 ⑤ 最後の数小節前で一人だけ突然響き線を入れる(音が変わる)...これは意味不明。
 ⑥ 最後の音、別な所を「カシッ!」と叩いてリムショットになっている...興奮した?

 ソリストなのだが基本的に第2の主題(ファゴット、サキソフォン)の演奏がみんなオカシイ。リズムもふらふらしているし、音色もヘンだ。「下手」というのとは違う、とにかく『ヘン』なのだ。

 唯一まともなのが(なぜか)トロンボーンであるが、しかし問題はリズムの小太鼓で、ここまでくると相当に音量を増しているために、刻まれるリズムはほとんど「盆踊り」、あるいは「ロンド・イン・バーレスク」(by 伊福部昭)状態。しかも、フレーズ毎に「(クレッシェンドしながら)トコト・トコト・トンッ!!」と妙な「決め」を入れてくる。結果ソロとの息が合わなくなり、何と一瞬音が消えてしまうのだ。少しして思い直したように叩き出す(上述)。

 初心者には絶対オススメできない、上級者向け。とにかくヘンです、この演奏。

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