ディーリアス アパラチア(バルビローリ)
CD
■ F・ディーリアス作曲/アパラチア
▲ バルビローリ指揮/ハレ管弦楽団
1970年録音。
古い奴隷の歌による変奏曲。
ホルンの呼びかけから始まる冒頭部分は夜明けの光景だろうか。やがて人々の活気が増し(素晴らしいオープニング)、それが静まったところでイングリッシュ・ホルンが主題を提示する。素朴で懐かしい調べだ。
変奏は、ワルツ風であったり、行進曲風であったり、様々な表情を見せるけれども、自然の中での黒人奴隷たちの生活、日々の喜怒哀楽を表しているようにも思える。
曲の途中、コーラスが何度かエコーの様に聞こえてくる(座ったまま歌うように指示されている)。
フィナーレではコーラスによって歌われる主題に続き、バリトンのソロが「愛しい人よ、朝になると私は河を下ってゆく」と別れの歌を歌い、それにコーラスが呼応する。
ここからは正に『ドラマ』であり、この曲最大の聴き所。この部分があるからこそ、何度も何度もこの曲を聴きたくなるのだ。
30分以上の(ディーリアスとしては)大曲を締めくくるに相応しい、感動の大団円。名残惜しさの中に冒頭のホルンが再現し、曲を閉じる。
これはバルビローリが亡くなる直前の録音。
音楽への思い入れは格別だし、途中のバリエーションもさることながら、フィナーレの素晴らしさは格別だ。
バルビローリ指揮によるディーリアス作品集。2枚組。
特典として「リハーサル風景」も収録されていて、たった2分であるけれども、チェロに始まる最初の変奏部分。和気藹々とした雰囲気の中に、出だしの部分を何度も何度も繰り返し(しつこく)リハーサルを行なっている。
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