兼田敏 日本民謡組曲「わらべ唄」
CD
■ 兼田敏作曲/日本民謡組曲「わらべ唄」
▲ 小野田宏之指揮/東京佼成ウインドオーケストラ
1990年録音。
1962年、ヤマハ吹奏楽団のために作曲された、氏の最初の吹奏楽作品。
兼田敏は吹奏楽の世界ではビッグ・ネームであるけれども、氏の吹奏楽作品については、今ひとつ掴みどころが無い印象があるけれど、この曲は例外。
よく知られている民謡(「山寺…」が民謡かは?だけど)のメロディを使っていて親しみやすく、最初の2楽章を金管、木管のアンサンブルにして、最後に全奏という構成もよく出来ている。
第1楽章 あんたがたどこさ(金管+打楽器)
第2楽章 江戸子守唄(木管+打楽器)
第3楽章 山寺の和尚さん(全奏)
いずれの曲も、オーケストレーションはさすがに素晴らしい。
民謡(童謡)の編曲物ではあるけれど、そこら辺にある類似の作品とは一線を画するものがある。
第2楽章のフルートのソロはオリジナルだろうけれど、これが音域も含めて本当に見事に書かれていて、兼田氏はフルート吹きだったのではなかろうか、とすら思ってしまうほどだ(実際にはコルネット奏者だったらしい)。
第3楽章(第1楽章も)のジャズ的なノリも楽しいし、最初と最後を銅鑼によるお寺の鐘の音でまとめるというのも洒落ている。
「演奏用」「観賞用」、両方の要素を兼ね備えた名曲だと思う。
ちなみに、第2楽章のフルートに合いの手を入れる打楽器は、スコアでは「ウッド・ブロック(W.B.)」の指定だけれども、イメージとしては、この録音の様に「拍子木」でしょう。
このアルバムはTKWOによる邦人作品集(JAPANESE BAND REPERTOIRE)の記念すべき第1集。
1.日本民謡組曲「わらべ唄」(兼田敏)
2.吹奏楽のための神話(大栗裕)
3.あるとサクソフォーンと吹奏楽のための幻想的協奏曲(伊藤康英)
4.行進曲「普門バンドフェスティヴァル1987」(青島広志)
5.嵌め込み故郷(阿部亮太郎)
6.吹奏楽のための「木挽歌」(小山清茂)
7.吹奏楽のための「深層の祭」(三善晃)
8.メトセラII(田中賢)
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