ホルスト ハマースミス(フェネル&EWE)
CD
■ G・ホルスト作曲/ハマースミス(前奏曲とスケルツォ)
オーケストラ版もあるけれども、オリジナルは吹奏楽曲。
1930年にBBCの依頼によって作曲されたものの、公の場では演奏されず(ホルスト自身も聴くことはなかったらしい)、1954年にカントリックの指揮で、ピッツバーグにて初演された...と(フェネルによる)解説に書いてあるけれど、事実は下記のようです。
http://www.bandpower.net/soundpark/05_olaf/03.htm
知名度は低いし、吹奏楽のための2つの組曲と違って、少なくともアマチュア楽団で演奏される機会は非常に少ない(ほとんど無い?)。
理由としては、まずは技術的な難易度が非常に高いこと、その割には地味である、派手な演奏効果が無い、一般人(奏者にも?)にウケそうにない...等々。
前奏曲はベースによるヘ短調(♭×4)のオスティナートの上に、木管がホ長調(#×4)で旋律を奏するという、大胆な構成。
フルートに始まるフーガ風のスケルツォは、その2つの調性の要素を含んでいる。
シンプルで親しみやすい2つの組曲に比べると、はるかに複雑で『ホルスト的』な渋い名曲だ。
▲ F・フェネル指揮/イーストマン・ウインド・アンサンブル
1958年録音。私(の世代のファン)が親しんできたのは、このフェネル盤。
逆に、この録音(当時のLP)のおかげで、この曲を聴く機会が持てたとも言える。昨今であれば、数多い選択肢の中から、わざわざこの曲のCDを買おうという人も少ないだろう。
これが世界初録音で、管楽器は各パート1人の25人編成での演奏とのこと。
B&H社のスコアにはオプション・パートもあり、それを除いて、スコアの音に抜けが無いように演奏するとなると、下記の編成と思われる。
1 Piccolo(Flute持ち替え)
1 Flute
1 Oboe
1 Eb Clarinet
4 Bb Clarinet (solo,1,2,3)
1 Alto Saxophone
1 Tenor Saxophone
2 Bassoon (1,2)
2 Horn (1,2)
3 Cornet (solo,1,2)
2 Trumpet (1,2)
3 Tronbone (1,2,3)
1 Baritone
2 Bass Tuba (div.)
以上で25名。これにパーカッションが加わる。
とにかく『アンサンブル』としての見事さ、面白さは抜群で(特にスケルツォ)、これはオケ版では決して味わえない、一種の爽快感だ。
これを聴いてしまうと、下手糞なバンドは、とても手を出す気にはならないかもしれないけれど、逆に腕に自身のあるバンドなら、是非チャレンジしてみたいという気にもなるのではなかろうか。
カップリングは「ウィリアム・バード組曲」(ジェイコブ)、「クラウン・インペリアル」(ウォルトン)、「バンドのためのシンフォニック・ソング」(ベネット)、「ファンファーレとアレグロ」(C・ウィリアムズ)。吹奏楽ファン必携の一枚。
これは、録音当時の(?)若々しいフェネル氏。
【管弦楽版】
以下は管弦楽版の録音です。いずれもホルストの管弦楽作品を集めたアルバム。
▲ R・ヒコックス指揮/ロンドン交響楽団
▲ E・ボールト指揮/ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
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