ディーリアス 夏の庭園にて(バルビローリ)
CD
■ F・ディーリアス作曲/夏の庭園にて
▲ J・バルビローリ指揮/ハレ管弦楽団
1968年録音。バルビローリのディーリアス録音を集めた2枚組輸入盤。
作曲者の妻イェルカ・ローゼンに捧げられた曲で、スコアには詩人ロセッティによる詩が添えられている。
「すべてわが花盛り。春と夏が歌っているあいだに、甘い愛の花盛りのすべてを君に与えん」
弦楽器を背景に木管が鳥の囀りを模すような音形を呼び交わす。
しかし、この曲の聴き所は "Very quietly." と指定された4分の6拍子に始まる中間部にある。
8分音符で揺れ動く木管のユニゾン、そして4部に分かれた弦楽器のハーモニーをバックに、ヴィオラが旋律を奏する。聴いていて頭がクラクラするほどの陶酔感。
そして、これは紛れもない「夏」なのだ。決して「春」でも「冬」でも「秋」でもない。
そして、ここから後のクライマックスまで、こんなに濃密な幸福感に満ちた音楽が他にあろうか。
バルビローリは不器用な感じもするけれども(もっと上手くまとまっている演奏は他にもある)、しかし、一音一音気持ちを込めた演奏は、まさにこの音楽に相応しいと思う。
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